11月の後半辺りから、銀行株の動きが良くなっています。今回は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、みずほフィナンシャルグループ(8411)のメガバンク3社のPERを比較します。
3社のPERはほぼ横並び
トレーダーズ・ウェブのデータをもとに3社のPERをみてみると、2025年12月17日時点で三菱UFJが13.28倍、三井住友が12.59倍、みずほが12.40倍となっています。
3社のPERに大きな開きはなく、ほぼ横並びと言えます。三菱UFJは銀行株の動きが良くなる局面では先導役となることが多く、相対比較ではPERがやや高めとなっています。
中期では上昇基調が継続
こちらは三菱UFJの週足チャートとなります。

今年の4月にいったん大きく水準を切り下げたものの、その後は右肩上がりのトレンドが続いています。三井住友やみずほも似たような動きとなっています。12月に入ってみずほは年初来高値を更新しており、三菱UFJと三井住友は上場来高値を更新しています。
銀行株にとって利上げは追い風
足元で銀行株の動きが良くなっている要因としては、日銀の利上げが意識されていることが挙げられます。12月18日~19日に日銀金融政策決定会合が開催されますが、市場ではこれまでの植田日銀総裁の発言やメディア報道などから、追加の利上げが実施されるであろうことを織り込んでいます。
金利の上昇は株式にとってはネガティブと受け止められることも多いですが、銀行株にとっては利ザヤが改善して業績への恩恵が期待できるという点で、ポジティブな材料となります。
また、金利の上昇ペースが緩やかである点も、銀行株の息の長い上昇をサポートしています。利上げのペースが速すぎると、利ザヤは改善してもお金を借りてくれる人が少なくなる上に、貸し倒れなどのリスクも高まります。景気の悪化が鮮明になってくると、金利は上がりづらくなります。
現状では日本は他国に比べて長期金利の絶対水準が低いです。それでも「金利のある世界」に突入したことで、銀行には収益の改善がみられています。決算発表時に上方修正があれば、1株利益は増加します。業績を確認しながら据え置きの会合では小休止しつつ、今回のように利上げがありそうという状況になれば買いが入るという良い循環が続いています
業界全体でまだ過熱感は乏しい
3メガバンクに関しては、10倍台前半のPERには過熱感はありません。特定の銘柄のPERが突出して高い状況でもありませんので、今の銀行株は好材料があれば買いが入りやすい状態にあると言えます。
12月の日銀金融政策決定会合では、利上げに関しては織り込みが進んでいますので、会合後の植田総裁の会見などで、今後の利上げに対する示唆があるかどうかが注目されます。銀行株は金利の影響を受けやすい業種です。2026年に関しては、どこかの時点で利上げ打ち止め感が出てくるかどうかがポイントとなります。これまでのように緩やかなペースで利上げが行われ、2027年以降もその流れが続くとの見方が強まるようなら、銀行株にもフォローの環境が継続すると考えられます。



