運用会社のfundnote(東京都港区)は、公募投資信託「匠(たくみ)のファンド kaihou(かいほう)」について11月分の月次レポートを公開しました。
著名個人投資家の井村俊哉氏が投資助言を行う投資信託であり、別名「井村ファンド」とも呼ばれる投資家に人気の同ファンドですが、11月のパフォーマンスは、基準価額が14933円。前月比で935円(6.68%)高となりました。設定来では49.33%の上昇です。
同月の日経平均株価は前月比2157円(4.12%)安となり、歴史的な上昇となった10月の反動からAI関連が大きく調整する月となりました。なお、TOPIXのパフォーマンスが同プラス1.4%、グロース250指数はマイナス2.1%でした。
AI関連銘柄などいわゆるハイベータ株が調整し、日経平均株価を押し下げた一方、これまで生成AI関連に集中していた資金がバリュー株などにも流入したことでTOPIXは上昇。バリュー株を選考する同ファンドも高いパフォーマンスにつながりました。
組み入れ上位銘柄

組み入れ上位10銘柄については、組み入れトップは変わらず。有価証券届出書や大量保有報告書からも明らかになっているように大垣共立銀行<8361.T>となります。組み入れ比率は10月の30%から32%に上昇しています。
組み入れ2位からは大きく変化しました。まず2位が、大量保有報告などから、川田テクノロジーズ<3443.T>になったものと思われます。というのも10月に同2位だった大末建設<1814.T>は保有割合の減少が明らかになっています。一方で、川田テクノロジーズは保有増が明らかになっており、業種が金属製品セクターであることや、組み入れ比率が14%となっていることなどから、同社が該当すると思われます。
3位は業種が電気機器で組み入れ比率は9%。こちらは11月に提出された大量保有報告から日本CMK<6958.T>であると予想します。日本CMKについては11月中旬に保有が明らかになって以降、11月末に買い増し。さらに、月次レポートの範囲外ではありますが、12月に入ってからも買い増しの報告が提出されており、直近の保有割合は9.39%にまで上昇しています。
4位は建設業種で組み入れ比率が6%。こちらは前述したように保有割合が減少した大末建設<1814.T>でしょう。
また、8位に入っている業種電気機器、組み入れ比率4%の銘柄がエノモト<6928.T>だと思われます。こちらも11月に新規取得が明らかになり、12月以降も買い増していることが報告されています。直近の保有割合は10%を超えて、10.21%まで上昇しています。
一方でエフアンドエム<4771.T>は保有株をすべて売却したことが確認されています。また、10月のレポートでは組み入れ上位10銘柄に入っていた食料品の銘柄も、11月では見られなくなりました。バリュー投資というと長期保有というイメージがあるものの、井村ファンドは常によりよいパフォーマンスをめざし、積極的にポートフォリオの入れ替えを行っている印象があります。
また、11月は組み入れ上位3銘柄で55%を占めるなど、個人投資家時代の井村氏の特徴であった集中投資の傾向も感じらます。月次レポートでの井村氏のコメントにおいても「2026年を見越した布陣へとPFを大胆に組み替えています。11月末時点で新PFへの移行は7~8割程度完了」しているとの記述がありました。
2025年末、そして2026年に向けて、どんな動きを見せるのか、引き続き注目していきたいと思います。



