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ドル円、日銀利上げでも157.78円まで上昇
今週のドル円は週末に急伸する展開となりました。日銀は18-19日に開いた金融政策決定会合で市場予想通り政策金利を現行の0.50%から0.75%に引き上げることを決めたと発表。声明では「政策金利の変更後も緩和的な金融環境は維持される」との見解を示しました。また、植田和男日銀総裁は会合後の記者会見で「中立金利の推計、相当なばらつきがあり前もって特定は難しい」「利上げ余地は経済・物価・金融への影響をチェックして判断」などと発言。市場では「今後の利上げのペースについて具体的な言及がなく、次の利上げには時間がかかる」との見方が広がり、円を売る動きにつながったようです。
市場関係者からは「日銀の政策金利は30年ぶりの高い水準に引き上げられることになった。円安による物価上昇への警戒感がある中での利上げだったが、決定後は一段と円安が進み、今後の政策は経済情勢だけでなく為替の動向も意識した判断となりそうだ」との声が聞かれました。
海外市場でもこの流れが継続し、週末NYの取引終了間際には一時157.78円と11月20日以来約1カ月ぶりの高値を付けています。
なお、片山財務相は日本時間19日夜に「(為替)一方向で急激な動きがこの半日、この数時間明らかにあるので憂慮している」「行き過ぎた動きには適切に対応する」と述べ、足もとの円安進行をけん制。ドル円は一時156.94円付近まで下押しする場面もありましたが、反応は一時的となりました。

*Trading Viewより
今週は日銀金融政策決定会合以外にも重要イベントが相次ぎました。16日には米労働省が米政府機関の閉鎖の影響で遅れていた11月米雇用統計を発表。非農業部門雇用者数は6.4万人増と予想の5.0万人増を上回った一方、失業率は4.6%と予想より弱い内容となりました。また、18日には同じく米労働省が11月米消費者物価指数(CPI)を発表。結果は前年比2.7%上昇と予想の前年比3.1%上昇を下回り、エネルギーと食品を除くコア指数も前年比2.6%上昇と予想の前年比3.0%上昇より弱い内容となりました。ただ、米CPIについては懐疑的な見方も聞かれました。米政府機関閉鎖の影響で10月分のデータが公表されなかったため、一部のエコノミストは「CPIで比重の大きい住居費の主要項目が、この2カ月間にほぼ横ばいとなっている」と指摘し、「政府閉鎖中のデータ収集の欠落は、無視しがたい懐疑的な見方をもたらす。インフレ率をより明確に読み取るには、来月まで待つ必要がある」との見解を示しています。
投機筋の円買いポジション、縮小
米政府機関の閉鎖が終了したことで、米経済指標のなどの公表も始まり、米商品先物取引委員会(CFTC)による投機筋のポジションも公表が再開されています。ただ、最新のデータではなく、集計がまとまり次第、これまで公表されなかった分を順次発表しているという状況です。CFTC が12月19日(日本時間20日早朝)に発表した12月9日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は1万7448枚の円買い越し(ドル円のショート)となり、前週から1万8970枚減少しました。

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
投機筋の円のポジションは昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが優勢に。4月29日には17万9212枚と過去最大を更新しています。もっとも、それ以降はその動きが一服し、円買いポジションを縮小する動きが続いています。
ドル円の一目均衡表チャートを見ると
ドル円の一目均衡表チャートを見ると、週末の終値(157.75円)で転換線(156.09円)や基準線(155.76円)、雲(上限:153.07円、下限:150.26円)を全て上回っており、テクニカル的にも底堅い展開が予想されます。また、マクロファンドなどが重要視している50日移動平均線が位置する154.45円も引き続き上回っており、上サイドへの期待が高まります。

*Trading Viewより
なお、現在の私のポジションはドル円ロング@145.327円。日銀が利上げを公表する前と比べて、2円近く円安が進行。急ピッチで上昇したことから、為替介入への警戒感も高まりますが、基本的には上サイドを目指す展開が予想されます。11月20日の高値157.89円を上抜けた場合は年初来高値158.87円が視野に入ります。
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