【米国株インサイト】業績上振れ銘柄:リーバイ・ストラウス、直接販売増加で採算改善

リーバイ・ストラウス、25年11月期の業績予想を上方修正

ジーンズメーカーのリーバイ・ストラウス(LEVI)が発表した2025年6-8月期決算は売上高が前年同期比7%増の15億4300万ドル、純利益が10.5倍の2億1800万ドルとなりました。調整後EPS(1株利益)は0.34ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.31ドルを9.7%上回っています。


2021年に買収したヨガウエアのブランド「ビヨンド・ヨガ」ののれんとその他無形資産の減損損失1億1100万ドルを前年同期に計上した反動が大幅増益の要因です。


また、製品の値上げで売上高が伸びる中、粗利益率は前年同期の60.6%から61.7%に上昇しています。自社サイトなどを通じた直接販売を増やして値引きを小幅にし、収益性の低い卸売販売を絞り込んだことも採算の改善につながりました。



ミシェル・ガス最高経営責任者(CEO)は、一部のジーンズと衣料品の値上げを始めた点を確認した上で、来年にはさらに引き上げる方針を示しています。現状では「(値上げが)需要にインパクトを与えていない」と話しており、継続的に注意深くモニタリングすると明らかにしています。


決算発表時のガイダンスでは2025年11月通期の売上高の増加率を3%と予想し、7月に発表した前回のガイダンスの1-2%から上方修正しました。調整後EPSについては1.27-1.32ドルと予想し、前回発表時の1.25-1.32%から引き上げています。



ペプシコ、関税などの影響で売上原価が増加

飲料・食品大手のペプシコ(PEP)が発表した2025年7-9月期決算(9月6日までの12週)は売上高が前年同期比3%増の239億3700万ドル、純利益が11%減の26億300万ドルとなりました。非GAAP(米国会計基準)のEPS(1株利益)は2.29ドルで、LSEGがまとめた市場予想の2.26ドルを1.3%上回っています。


前年同期比で純利益が減少するのはこれで3四半期連続です。売上高は小幅に増えたものの、関税の影響などで売上原価が7%増と膨らみ、採算が悪化しました。営業利益は8%減の35億6900万ドルです。


また、2025年7-9月期には主力市場の北米で販売量の減少に見舞われました。北米では食品部門が4%減、飲料部門が3%減にとどまり、世界全体でもそれぞれ1%減と低迷しました。


ラモン・ラグアルタ最高経営責任者(CEO)は販売量の減少について「価格に敏感な消費者を念頭にパッケージを小さくしたことで販売量は縮小したが、売上高は増えた」と説明しています。



トランプ関税が業績に波及すると見込まれる中、トランプ政権が掲げる「米国を再び健康に(Make America Healthy Again=MAHA)」への対応も迫られる見通しです。「米国を再び偉大に(Make America Great Again=MAGA)」をもじったもので、トランプ政権で保健福祉長官を務めるケネディ氏が提唱しています。


MAHAムーブメントへの対応策としてはスナック菓子などへの人工着色料や人工香料の使用制限を講じる方針です。ペプシコはさらに消費者の健康意識の高まりを背景にタンパク質の豊富な食品の開発を重視するもようです。


決算発表時に発表したガイダンスでは2025年12月期の売上高を1桁台前半の伸び(自律成長分)、コアEPSを前年並み、年次の実効税率を約20%と予想しています。



ドミノ・ピザ、ドアダッシュとの提携も増収要因

ドミノ・ピザ(DPZ)が発表した2025年7-9月期決算は売上高が前年同期比6%増の11億4700万ドル、純利益が5%減の1億3900万ドルとなりました。EPS(1株利益)は4.08ドルで、LSEGがまとめた市場予想の3.97ドルを2.8%上回っています。


2025年5月にフードデリバリー大手のドアダッシュ(DASH)と提携したことに加え、物価高の中で「9.99ドルピザ」を復活させた取り組みなどが奏功し、増収を確保しました。既存店売上高は米国が5%増、国外が2%増で、前年同期の3%増、1%増をそれぞれ上回っています。



ドアダッシュとの提携はまず米国で始め、カナダにも拡大することで合意している。消費者はドアダッシュのマーケットプレイスでドミノ・ピザに注文を出すことが可能。ただ、ピザのデリバリーはドアダッシュではなく、ドミノ・ピザの配達スタッフが手掛けます。


四半期末の店舗数は米国の直営店が2店増の260店、フランチャイズが27店増の6830店、国外が185店増の1万4660店です。


中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

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