【暗号資産レポート】2025年12月まとめ

市場動向


現物ETFは月間で流出超が継続


2025年12月(12月1日-12月31日)の暗号資産市場は、年末特有のポジション調整売りや現物ETFからの資金流出が重なり、価格・時価総額ともに上値の重い局面が継続しました。


対ドルでBTCは、月初の約90300ドルから月末には87500ドル前後へと下落し、ETHも約2990ドルから2960ドル台へと小幅に下落しました。価格面ではBTC・ETHともに方向感を欠く推移となり、特にBTCは、ETF資金フローの弱さが上値を抑える要因の一つとなった可能性があります。


同期間、暗号資産全体の時価総額は約3.16兆ドルから約3.07兆ドルへと減少し、月間で約2.6%の縮小となりました。価格下落と歩調を合わせる形で市場規模もやや縮小しており、市場参加者のリスク選好姿勢は、引き続き慎重な状態にあったとみられます。


オンチェーン流動性は概ね安定推移


ステーブルコイン供給は、月初めの約3060億ドルから月末には約3077億ドルへと小幅に増加し、全体としては概ね横ばい圏で推移しました。オンチェーン流動性の観点では、主にステーブルコイン供給に代表される待機資金が高水準を維持しており、次なる投資機会に備えたドライパウダー(待機資金)が滞留している可能性が示唆されます。


一方で、DeFiプロトコルへの資金の預入規模を示すTVL(Total Value Locked)は、月初めの約1177億ドルから月末には約1167億ドルへと小幅に減少しました。ステーブルコイン供給と同様、TVLの変動幅は限定的であり、積極的なリスクテイクよりも、様子見姿勢を保った資金運用が続いている状況を示しています。


暗号資産市場は、オンチェーン流動性およびDeFi TVLが底堅く推移する一方で、BTC・ETHの価格調整と現物ETFからの資金流出が続く構図となりました。短期的には、ETFフローが再び安定的な流入基調へ転じるかどうかが、市場全体が調整局面を脱し、持続的な回復へ向かうための重要な判断材料となるでしょう。


BTCなどの価格推移


2025年12月の主要暗号資産は、月を通じて方向感に欠ける推移となり、BTC・ETHともに小幅な調整局面となりました。市場全体としては明確なリスクオフには至らないものの、積極的な買いが入りづらく、投資家心理は「中立-やや慎重」な状態が続いたとみられます。


BTCは月初めの約90364ドルからスタートし、月末には約87497ドルまで下落しました。月間では約3.0%の下落となり、上値の重い推移が続きました。現物ETFからの資金流出が続くなか、現物市場では下値を支える動きもみられたものの、上昇トレンドを形成するまでには至りませんでした。


BTCドル、日足チャート

出所:TradingView

 

ETHも月初めの約2991ドルから月末には約2966ドルへと小幅に下落しました。下落率は限定的であり、BTCと比較すると相対的に底堅い値動きとなりました。ETFフローの弱さは共通していたものの、DeFiやエコシステム全体への期待が下支えとなり、大きな調整局面には発展しませんでした。


ETHドル、日足チャート

※出所:TradingView


ETFフロー


2025年12月のETF市場では、BTC・ETH現物ETFがともに月間ベースで資金流出となり、現物価格の下落と同様、機関投資家の資金スタンスは慎重な姿勢が続きました。

 

BTC現物ETFは、12月合計で約10億9000万ドルの純流出となりました。月中には12月12日や17日に大口流入がみられた一方、月末には12月31日の大幅流出が確認されました。こうした動きには、年末要因による短期資金のポジション調整や価格変動が影響した可能性があります

 

BTC現物ETFの日次資金フロー

※出所:sosovalue


 

ETH現物ETFも、12月合計で約6億1682万ドルの純流出となりました。9日や10日にかけて一定の資金流入がみられた一方、15日および16日には大幅な流出が連続しました。月末にかけても流出超基調が続きました。

 

ETH現物ETFの日次資金フロー

※出所:sosovalue


12月の現物ETF市場全体を見ると、月中に一時的な資金流入がみられたものの、月間ベースではBTC・ETHともに流出超となりました。価格が比較的落ち着いた推移を示すなか、ETFを通じた資金の戻りは限定的でした。


オンチェーンデータ


2025年12月末時点では、価格や時価総額が調整するなかでも、オンチェーン上の流動性は概ね維持されました。ステーブルコイン供給は概ね横ばい圏で推移した一方、DeFiのTVLは月末にかけてやや調整する動きとなり、オンチェーンの資金環境は月を通じて慎重な状態が続きました。

 

ステーブルコインの総供給量は、月初めの約3060億ドルから月末には約3077億ドルへと0.6%の小幅な増加に留まりました。一方で、暗号資産全体の時価総額は同期間に約2.6%縮小しており、結果としてステーブルコイン比率は相対的に横ばい圏で推移しました。


市場が調整局面にあるなかでも、オンチェーン上の待機資金が大きく減少していない点は、流動性が一定水準で維持されていることを示しています。


ステーブルコイン供給総額の推移

※出所:defillama

 

DeFiセクターのTVL(Total Value Locked)は、月初めの約1177億ドルから月末には約1167億ドルへと小幅に減少しました。月中には一時的な持ち直しもみられたものの、全体としては調整基調で推移しており、利回り獲得を目的とした資金流入は限定的な水準にとどまりました。オンチェーン資金は引き続き慎重に運用されている状況がうかがえます。


暗号資産関連ニュース


2025年12月は、米国・日本・欧州を中心に、暗号資産に関する制度・監督体制の整備が進展しました。

 

米国では、12月22日にCFTC(米商品先物取引委員会)の新議長としてマイケル・S・セリグ氏が就任しました。デジタル資産やデリバティブ市場に精通した人物の就任により、今後の暗号資産関連規制や執行方針の明確化が注目されます。2026年以降に予定される関連ルール整備に向け、規制当局の体制が正式に整いました。

 

日本では、金融審議会の「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」が最終報告書を公表しました。暗号資産を資金決済法から金融商品取引法(金商法)の枠組みへ移行する方針が示され、投資家保護や市場の透明性向上を目的とした制度改正が検討されています。銀行による暗号資産保有に関する制度見直しの議論やIEO制度の見直しなど、日本市場の制度環境が中期的に変化する可能性があります。

 

欧州では、ESMA(欧州証券市場監督機構)を中心に、暗号資産市場の監督権限をEU全体で統一する動きが進んでいます。あわせてMiCAR(暗号資産市場規制)の適用が本格化するなか、一部の国では事業者数が減少するなど、規制強化に伴う市場構造の変化も確認されています。

 

これらの動きは、暗号資産市場が各国で制度面の整備段階に入りつつあることを示しており、今後の実務運用や市場環境への影響が引き続き注目されます。


アナリスト

チョウ シンウ

広州生まれ。香港浸会大学で学士課程を修了後、コペンハーゲン大学にて学び、修士号を取得。香港の金融データ分野における実務経験を経て、現在はDZHフィナンシャルリサーチにてブロックチェーン・暗号資産分野に関する分析を担当している。

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