バレンタインデーではあったが…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年2月19日1時頃、対円では1050万円前後と前週(7日前)比で約2.5%高い水準で取引されています。BTCドルが6万7800ドル付近と、依然として節目とされた7万ドルの下で推移しています。
ここ1週間のBTC相場は、反発力は限られたものの下値も限られた動きでした。BTC円は13日早朝に1000万円を再び割り込むも、997万円付近までと浅めの下押しでした。BTCドルも6万5000ドルで何とか踏みとどまります。
1月米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る伸び率となり、米長期金利の低下がリスク資産の支えとなったようです。また、Xが「数週間以内」に暗号資産および株式取引を開始予定、とのニュースもBTC買い戻しに繋がりました。
Xを所有するマスク氏からBTC相場へのバレンタインデー・プレゼントに思われましたが、BTC円は1089万円前後、BTCドルが7万1000ドル手前まで上昇したところから失速します。Xプロダクト責任者が「Xは取引執行やブローカー業務を行わず、金融データと取引業者リンクの提供のみを行う」と述べたことが失望売りを呼びました。

※Trading Viewより
中東の政府系ファンドが!
「Abu Dhabi wealth funds bitcoin ETF holdings topped $1 billion at end of 2025」CoinDesk
(アブダビの政府系ファンド、ETF保有額が2025年末で10億ドル超え)
中東アブダビには、政府が出資する大規模な投資機関が複数あり、その中でも「ムバダラ・インベストメント・カンパニー」は世界的に知られるソブリン・ウェルス・ファンドとして位置づけられています。もう一つの「アル・ワルダ・インベストメンツ」も、政府関連機関の資産を幅広く運用する投資会社で、エネルギーやテクノロジーなど多様な分野に長期的な視点で投資しています
2025年末時点で、ムバダラはブラックロックのビットコインETF(IBIT)を1270万株、アル・ワルダは820万株保有しており、評価額は合計で10億ドルを超えていました。特に注目されたのは、ビットコイン価格が四半期で23%下落した局面で両社が保有を増やしていた点です。短期的な値動きよりも、長期的なエクスポージャー構築を優先していたことがうかがえます。
政府系ファンドが下落局面でビットコインETFを10億ドル規模で保有していた事実は、暗号資産が国家レベルの長期ポートフォリオに組み込まれつつあることを示しています。特に資源国であるアブダビが、石油以外の成長資産としてビットコインを位置づけ始めている点は象徴的です。
アブダビの動きで、他のソブリンファンドや機関投資家の行動も影響を受けるのではないでしょうか。市場環境が弱い中でも買い増しが続いたことは、ビットコインが長期的なマクロ資産として認識されつつあることを示す重要なシグナルかもしれません。

※Trading Viewより
証券大手、国内参入に向けて
さて今月に入り、大手証券会社が暗号資産市場参入に向けて動いているとの報道が見受けられました。
「野村系、26年に暗号資産交換業を申請へ 大和証券・日興証券も検討」日経新聞
野村ホールディングスは、スイス子会社の「Laser Digital(レーザー・デジタル)」を通じて、2026年中に日本国内で暗号資産交換業の登録を目指しています。これまで同社は海外を中心にデジタル資産の運用や管理を行ってきましたが、いよいよ国内での事業基盤づくりに本格的に取り組む段階に入ったようです。
背景には、米国などで現物ETFが普及し、暗号資産が主要な投資対象として定着しつつある国際的な流れがあります。野村はこうした潮流を踏まえ、まずは法人や機関投資家向けに、安全性と実務性を重視した取引・管理サービスの提供を計画しています。
国内大手の参入によって、日本の資産運用の選択肢がより実務的な領域へ広がることが期待されます。
業界の流れや制度整備が
こうした動きは野村に限らず、他の大手証券でも加速しています。SMBC日興証券は2026年2月に専門部署を立ち上げ、ブロックチェーン技術を活用した決済や新規事業の検討を始めました。大和証券も参入を視野に入れており、業界全体で暗号資産関連の体制整備が進んでいます。
各社が取り組んでいるのは、単なる売買仲介にとどまりません。3メガバンクと連携し、価格が安定したデジタル通貨(ステーブルコイン)を使って株式や債券を即時に決済できるインフラの構築も進めています。
暗号資産の技術を既存の金融システムに組み込み、より効率的な取引環境を整えるという、実務面での取り組みが目立っています。
こうした企業の積極姿勢を後押ししているのが、2026年から2028年にかけて予定されている法改正や税制見直しです。現在、暗号資産は「雑所得」として扱われていますが、将来的には株式と同じ「申告分離課税」へ移行する方向で議論が進んでいます。
また、2028年には国内でも投資信託のように扱える「暗号資産ETF」の解禁が見込まれています。これらは、暗号資産を公的な金融商品として位置づけるための制度整備といえます。証券会社が今このタイミングで動いているのは、数年後に控える制度の転換点と、それに伴う需要拡大を見据えた確実な布石と考えられます。




