24時間で急落、その後に持ち直すも
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年2月12日13時頃、対円では1033万円前後と前週(7日前)比で約7.5%低い水準で取引されています。BTCドルは6万7400ドル付近と、年初来で22%ほど下落した水準です。
暗号資産市場は2月5日から6日にかけて急落します。

※Trading Viewより
BTC円は5日夜に1100万円を割り込むと、6日の早朝には2024年10月(米大統領選でトランプ優勢が伝わっていた時期)以来の1000万円割れを記録しました。流動性の薄いなか、ロングの投げを巻き込みながら940万円台まで下落幅を広げました。
BTCドルも5日夜に7万ドルを下抜けると、こちらも24年10月以来の6万ドルまで売り込まれました。
もっとも6日以降、BTC相場は鋭角的に切り返します。7日未明には対円で1125万円超え、対ドルで7万1000ドル超えまで反発しました。

※Trading Viewより430
依然として複数の要因が…
BTCが24時間で20%以上下落した要因は、やはり複数ありました。マクロ経済の前提が変化し、マイナーの戦略的売却、そして蓄積したレバレッジの解消が重なりました。
1 心理的節目「7万ドル」の突破
BTCドルは重要サポートラインだった7万ドルを割り込み、自動売買等のテクニカル売りを加速させました。上昇トレンドの崩壊を検知したアルゴリズム取引が「損切り注文」を連鎖的に誘発し、下落圧力を強めたようです。
2 ETF(上場投資信託)からの資金流出
現物ビットコインETFから数日で数十億ドルが流出。マクロ経済の不透明感を背景に、市場はリスク回避姿勢を強めました。BTC相場が軟調な中でも「静観」していた一部の機関投資家が、「実効的な資金引き揚げ」フェーズに移りました。
3 投機ポジションの解消
先物市場の未決済建玉が1週間で120億ドル減少。積み上がっていたレバレッジポジションが整理されたということです。過剰なレバレッジが一掃され、短期的には流動性の枯渇による価格の乱高下を招いたとされています。
4 マイナーによる事業資金確保の売り
ビットコインのマイナー(採掘業者)がAI事業への投資資金や運転資金を確保するため、保有するBTCを市場で売却。半減期後の収益性悪化を補うための「AIインフラへの先行投資」が、現物市場の需給バランスを直接的に悪化させました。
5 米国需要の消失(コインベース・プレミアムのマイナス)
コインベース(大手交換業者)価格が他取引所より低い状態が3週間続き、米国内の大口投資家の買い意欲が減退。米国機関投資家による「買い支えの不在」が数値化したものであり、価格の反発を妨げる大きな障害となりました。
※コインベース( 主に米国の機関投資家や大口が使う)と、バイナンス(主に世界の個人投資家が使う)という二大取引所で、ビットコインの価格がどれくらいズレているかを計算したものが「プレミアム」。
6 信頼性の低下
トランプ家関連プロジェクト(World Liberty Finance、WLF)の不透明な運営実態が報じられ、業界全体への不信感につながりました。透明性に欠け、チェック機能が働いていない身内びいきの運営が、コンプライアンスを重視する機関投資家層に強い警戒感を与えました。
※WLF、トランプ大統領とその一族が全面的にバックアップしている分散型金融(DeFi)プロジェクト。
香港系ヘッジファンド
BTCの下落した要因はまだあります。
「What caused the massive Bitcoin crash? Clues point to a blow-up at Hong Kong hedge funds」yahoo!finance
(ビットコイン急落の原因は何だったの-香港ヘッジファンドの破綻が手がかりに)
この記事では、BTC急落の背景に、香港系ヘッジファンドのレバレッジ取引が破綻した可能性を強く指摘しています。これらのファンドは低金利の円を借りる「円キャリートレード」で資金を調達し、資産運用大手BlackRockのビットコインETFのコールオプションに大規模なポジションを積み上げていました。
しかしながら、10月以降の相場低迷で含み損が拡大。くわえて、(高市トレードによる長期債価格の下落で)円の調達コストが上昇し、資金繰りが急速に悪化していきました。
さらにこのヘッジファンドは、損失を取り戻すために銀市場にも手を出したようです。当初は銀価格の急騰で上手くいっていたのかもしれませんが、1月末の暴落が逆風となり、ファンドの損失は制御不能な水準に達しました。
最終的にポジションは強制清算され、それによるETF大量売却が市場に流れ込み、ビットコイン価格の急落を直接的に引き起こしたという見方です。これらのファンドはETFを通じてのみ取引していたため、暗号資産業界内では異変が察知されず、事前の警戒が働かなかったことも相場をパニックにさせました。
さて次回は、もう少しポジティブな材料を取り上げたいと考えています。



