新NISA2年目、2025年の投資信託市場を振り返る

新NISAが始まって2年目の2025年は、金利や為替の動きに影響を受けた一年となりました。相場の変動に戸惑う場面も見られたものの、個人投資家の投資スタイルが少しずつ定着してきた年でもありました。日本の公募投資信託市場では、積立投資を続ける人が増える一方、投資信託の種類ごとに資金の集まり方にも違いが表れています。


本コラムでは、一般社団法人投資信託協会の「統計データ」や「投資信託概況」をもとに、2025年の投信市場をわかりやすく振り返ります。


2025年末の投信残高は300兆円を突破、うち株式投信は約285兆円


投資信託協会は毎月、国内籍の投資信託の残高や資金の流出入などのデータを集計し、「投信概況」として公表しています。


2025年12月末時点における国内籍の公募証券投信全体の純資産総額は、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)などの公社債投信やETF(上場投資信託)を含む全体で301兆5,851億円。初の300兆円台となり、前月比4兆2,068億円増加しました。7ヵ月連続の過去最高額を更新です。


投信の純資産総額が増減する要因は、大きく分けて「運用による時価変動」と「資金の流出入」の2つです。


公社債投信を除いた公募株式投信は、2025年に純資産総額を54.4兆円増やしました。その内訳は、運用によって時価を45.2兆円増やし、資金の出入りで14.3兆円の純流入、ここから収益分配金を5.1兆円支払いました。2025年末の純資産総額は284兆6,847億円となりました。


一方、公社債投信は1.1兆円の純増で、純資産総額は16兆9,003億円でした。金利の上昇に伴い、公社債投信にも資金が入るようになってきたようです。


公募株式投信からETF(上場投資信託)を除くベースでは、運用による時価の増加が22.7兆円で、純流入額が14.3兆円、3.1兆円の収益分配金を支払い、純資産は33.9兆円の純増となりました。純資産総額は174兆7,879億円で、3年連続で増加しました。この3年間の純資産増加はハイペースで、2022年末の83.6兆円から2倍以上の残高となっています。


なお、ここで集計している「国内籍の投資信託」とは、日本国内で設定されている投資信託のことで、投資対象は国内に限りません。


残高は海外の資産を一部でも含む投信が国内投信を上回る


国内籍の公募株式投信(ETFを含む)の純資産を投資対象地域で分けると、【グラフ1】のとおりです。



投資対象が日本国内の残高は134.13兆円で全体の47.1%です。海外に投資をする投信の残高は、79.45兆円で全体の28.0%、国内と海外のミックス(内外)は71.10兆円で全体の25.0%となっています。


純資産総額は、投資地域が国内のみの投信と海外を含む投信でおおよそ半々ですが、徐々に海外を含む投信(投資対象が海外+内外の合計)の割合が増えています。


資金集めは海外株式と全世界株式に軍配


次は、投資信託への資金の出入りを見ていきましょう。投信の設定額から解約金額や償還金額を差し引いた資金フローです。プラスの年は、購入額が解約・償還の金額を上回る「純流入」で、マイナスは「純流出」を示します。


2025年の資金フローは、国内籍公募株式投信と公社債投信の合計で15兆5,004億円の純流入で、2004年以降22年間連続純流入を記録しています。株式投信全体では14兆3,188億円の純流入で、こちらはなんと1998年以降28年連続です。ETFを除くベースでも14兆2,706億円の純流入ですが、連続記録は2020年からの6年です。


資金フローを投資対象別にみてみましょう。【グラフ2】は、国内籍公募株式投信における主な投資対象別の資金動向です。



グラフの全体を眺めると、2010年代は国内株式投信への純流入が多いことが読み取れます。


2020年頃から潮目が変わり、内外株式投信や海外株式投信の純流入額が増え始めます。特に近年の海外株式への資金流入は規模が大きく、2024年は10兆円を超えました。


一方で、2025年の国内株式投信の純流入額は縮小しました。4,086億円の純流入で1兆円に満たないため、グラフでは読み取れないほどです。月ごとにみても、2025年は純流入だったのは7カ月で純流出が5ヵ月。特に5月は1.7兆円の純流出と規模が大きく、その後8月まで4ヵ月純流出が続きました。4月の株価急落を受けて、年初の水準まで株式市場が回復するまでの間、解約が続いたことになります。


内外株式は2024年、2025年と安定的に純流入となっています。内外株式は、全世界株式(オール・カントリー)が属するカテゴリです。NISA(少額投資非課税制度)が改正されて新NISAを機に、資金を集めている様子がうかがえます。内外資産複合は、投資地域は全世界、投資対象は株式、債券、不動産などで、国際分散投資を目的とした運用の投信が属しています。


インデックス型投信が全体の6割超


新NISAを機に注目されているタイプといえば、インデックス型の投信も同様です。2025年のインデックス型投信への資金純流入額は9.3兆円でした。2024年の11.2兆円には届かなかったものの、5兆円前後の純流入だった2022年、2023年の2倍の規模の資金が入っています。


2025年末時点の純資産は、インデックス型が公募株式投信の63%を占めています。日インデックス型との残高割合の推移は【グラフ3】のとおりです。



紅色の折れ線グラフが示す公募投信全体の純資産残高の伸びとともに、黄緑色の棒グラフの高さが示すインデックス型投信の純資産総額の割合が増えています。つまり、近年における投信の純資産の伸びは、インデックス型投信の純資産の増加が引っ張っているといえそうです。


これらのデータから、投資信託を保有するような投資家は、国際分散投資やインデックス型投信で資産形成を行っていることが読み取れます。リスクを抑える手法としては王道といえる分散投資の広がりから、中長期を見据えた資産形成が根付いていることがうかがえます。


【参考サイト】

●一般社団法人 投資信託協会「統計データ



ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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