年金積立金を管理・運用している「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が、2025年度第3四半期の運用状況を公表しました。運用状況は、四半期ごとに公開されています。年金運用は長期的な視点で行うもので、短期的な結果に一喜一憂するものではありませんが、運用の現状を知っておくことは大切です。
年金積立金293兆円、投信を上回る規模
日本の年金制度では、現役世代の納める保険料が、その時々の年金給付に充てられる「賦課方式」が採用されています。ですが、将来の年金支払いに備えた予備資金のようなものが確保され、それを安全かつ効率的に運用する仕組みも取り入れられています。この予備資金のようなものを「年金積立金」といい、財政計画に基づいて将来世代の年金給付を補うために運用されています。
年金積立金の役割は、保険料と国庫負担(税金投入分)を合わせても年金給付額に足りない場合の補てんです。将来の人口構成比を考えると、将来の現役世代が納める保険料の負担が重くなると予測されるため、GPIFでは、年金積立金を運用して備えているのです。
年金積立金は、国内外の株式や債券などで運用されています。残高は、2025年12月末時点で293兆4,276億円です。その規模の大きさから「市場のクジラ」と呼ばれることもあります。国内販売の公募株式投資信託の純資産総額が285兆6,848億円(2025年12月末時点)ですので、日本の投信全ての残高をやや上回る規模の巨大な資金です。
この年金積立金の2025年10~12月期の収益額は、プラス16兆1,878億円、期間収益率は5.84%(運用手数料等控除前の時間加重収益率)となりました。2025年4~12月(第1~第3四半期累計)では、プラス40兆8,410億円、4~12月累計の期間収益率は16.25%です。
2001年度に市場運用を開始してからの累積収益額は、196兆3,721億円。収益率は、年率換算で4.71%となりました。
年金積立金は「4つの資産に均等に投資」
年金積立金の現在の資産配分は国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の各資産を、4分の1ずつ均等に保有する方針となっています。【グラフ】は、2025年12月末時点における4つの資産額の配分と、各資産の2025年度第3四半期の収益率です。

2025年度は、第1四半期から第3四半期まで、いずれもプラス圏で推移しています。4~12月の各資産の期間収益率は、国内債券が-3.59%、外国債券が12.04%、国内株式が29.94%、外国株式が29.38%です。
「ミニGPIF」を作ってみては
年金積立金の運用は、市場の一時的な変動に捉われず、資産・地域・時間を分散し、安定的な収益を目指しています。5年に1度、中期目標を定めて計画的に運用されています。長期的な観点からの資産配分は、現在、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式に4分の1ずつとなっています。
このポートフォリオは、個人投資家でも参考にすることができます。GPIFでは、年金積立金の運用のベンチマークを公表しています。現在の年金積立金の各アセットクラスのベンチマークは【表】の通りです。

GPIFの考え方をそのまま縮小して取り入れるとすれば、公表されているベンチマークと同じ指数に連動するインデックスファンドを組み合わせる、という発想も考えられます。いわば「ミニGPIF」というイメージです。ただし、必ずしも同じ配分にする必要はありません。
インフレが定着しつつある今、物価に負けない資産管理が必要になります。「どの市場を、どんな基準で見ているのか」を知ることは、自分のポートフォリオを考える上でも、十分に参考になるのではないでしょうか。
【出典】
年金積立金管理運用独立行政法人「2025年度第3四半期運用状況(速報)」



