【暗号資産レポート】2026年1月まとめ-暗号資産、軟調 オンチェーン流動性には大きな変化なし

市場動向

 

2026年1月の暗号資産市場は、現物ETF(上場投資信託)からの資金流出と価格調整が重なり、下落基調となりました。月末の最終取引日には金・銀相場が従来の上昇基調から一転して急落し、暗号資産も週末にかけて連れ安となりました。BTCの対ドルにおける月間下落率は約10%、ETHに至っては23%超も下げ幅を広げました。

 

同期間、暗号資産全体の時価総額は約2.93兆ドルから2.63兆ドル程度まで減少しました。価格下落と軌を一にして市場規模も明確に縮小しており、市場参加者のリスク選好姿勢は慎重な水準に留まっています。

 

ステーブルコイン供給は、3000億ドルを超えた水準で推移し、月間では0.5%の小幅減少に留まりました。変動幅は限定的であり、全体としては概ね横ばい圏で推移しています。価格下落や現物ETFからの資金流出が続くなかでも、オンチェーン上の待機資金は大きく減少しておらず、流動性環境は一定水準を維持していました。 

 

DeFiプロトコルへの資金の預入規模を示すTVL(Total Value Locked)も、1100億ドル台と月間の減少率は約1.5% に留まりました。積極的なリスクテイクは手控えられているものの、オンチェーン資金は引き続き慎重に運用されている状況がうかがえます。

 

暗号資産市場は、BTC・ETHの価格下落と現物ETFからの資金流出が続く一方で、オンチェーン流動性は相対的に底堅く推移しました。短期的には、ETFフローの動向に加えて他資産市場の変動が、市場全体の調整局面の行方を左右する要因の一つとなりました。

 

BTCやETHの価格推移


2026年1月のBTCは月初の約87500ドルから、月末には約78600ドルまで下落しました。月末にかけては貴金属市場の急変に連動する形で、暗号資産市場でも売り圧力が強まり、下落が加速しました。

 

現物ETFからの資金流出も下押し要因の一つとなったものの、下落局面の主因はクロスアセットでの調整にあったとみられます。

※クロスアセットとは、株式・債券・為替・コモディティ・暗号資産など、異なる資産クラスを横断して市場動向を分析・運用する考え方。

 

※BTCドル、日足チャート

※出所:TradingView

 

ETHも月初の約2950ドルから月末には2250ドル前後まで下落しました。下落率は24%に迫り、BTCと比べても弱さが目立ちました。暗号資産市場では、急落局面においてアルトコインがBTCより下落するケースが多く、今回もこうした傾向に沿ったものでした。月末には、BTCと同様に貴金属市場の動きに連れ安する展開となりました。

 

※ETHドル、日足チャート

※出所:TradingView


ETFフロー


2026年1月のETF市場では、BTC・ETHの現物ETFがともに月間ベースで資金流出を記録しました。なお、月末の急落は最終週の週末に発生しており、当月のETF資金フローには直接的な影響は及ぼしていません。   

 

BTC現物ETFは、1月合計で約16.1億ドルの流出超となりました。13日から15日にかけては一定の資金流入が確認された一方、29・30日には大口の流出がみられました。

 

※BTC現物ETF、日次資金フロー

 

※出所:sosovalue

 

ETHの現物ETFも、1月合計で約3.5億ドルの流出超でした。月半ばにかけては一定の資金流入が確認されましたが、21日や29・30日には大口の流出がみられました。

 

※ETH現物ETF、日次資金フロー

 

 

出所:sosovalue

 

1月の現物ETF市場全体を見ると、月中に一時的な資金流入が確認されたものの、月末には流出が優勢となりました。なお、月末の週末に発生した急落の影響を受け、2月初めにかけてETF資金フローが大きく振れる可能性には留意が必要です。

 

オンチェーンデータ


2026年1月末時点では、価格・時価総額の大幅な調整下でも、オンチェーン上の流動性は概ね維持されました。現物ETFからも資金流出が進んだ一方で、オンチェーン指標に急激な悪化はみられませんでした。

 

ステーブルコインの総供給量は、月初めの約3070億ドルから月末には約3054億ドルへと小幅に減少し、全体としては概ね横ばい圏で推移しました。市場が調整局面にあるなかでも、オンチェーン上の待機資金が大きく減少していない点は、流動性環境が一定水準で維持されていることを示しています。

 

※ステーブルコイン供給総額

 

 出所:defillama


DeFiセクターのTVL(Total Value Locked)は、月初の約1174億ドルから月末には約1156億ドルへと小幅に減少しました。価格下落に比べ調整幅は限定的と言えるでしょう。月中には一時的な持ち直しもみられたものの、オンチェーン資金は引き続き慎重に運用されている状況がうかがえます。

 

暗号資産関連ニュース


2026年1月は、米国において暗号資産市場の制度設計を巡る議論が繰り広げられました。暗号資産の法的分類と市場構造の明確化を目的とした「Digital Asset Market CLARITY Act(CLARITY Act)」において、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の監督権限の整理が進められました。

 

一方、ステーブルコインへの利息付与を巡って暗号資産企業と銀行業界の対立が表面化しました。銀行側は預金流出や金融安定への影響を懸念しており、ホワイトハウスが関係者との調整に乗り出すなど、法案成立には依然として不透明感が漂っています。

 

1月28日には、SECがトークン化証券に関する声明を公表しました。ブロックチェーン上での発行・管理の有無にかかわらず、証券該当性は従来の証券法に基づいて判断されるとの見解を示しました。

 

あわせて、ニューヨーク証券取引所の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)が、トークン化株式やETFを対象とした24時間取引プラットフォームの開発を進めていることが報じられました。制度整備と並行して伝統的金融市場でのブロックチェーン活用が進展しつつあります。


アナリスト

チョウ シンウ

広州生まれ。香港浸会大学で学士課程を修了後、コペンハーゲン大学にて学び、修士号を取得。香港の金融データ分野における実務経験を経て、現在はDZHフィナンシャルリサーチにてブロックチェーン・暗号資産分野に関する分析を担当している。

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