これまで2回にわたり、日本証券業協会の「新NISA開始後の利用動向に関する調査結果」から、新NISA利用者の実像や投資行動を見てきました。
7,926人の調査結果からは、よく言われるような「投資は一部の人のもの」ではなく、ごく普通の家計の中で無理のない範囲で活用されているようです。では、新NISAはどの程度、利用者に受け入れられているのでしょうか。
20代の4割以上が、月に1回は新NISAを話題にする
この調査では「新NISAの評価」として、「満足度」「周囲で話題に出る頻度」「勧めた頻度」の3点を尋ねています。
新NISAの満足度について「とても高い」「やや高い」と答えた人の合計は、66.6%にのぼりました。3人に2人が満足しているという結果は、決して小さい数字ではありません。制度が一時的なブームにとどまらず、着実に受け入れられていることがうかがえます【グラフ1】。

職場・学校・家庭等で新NISAの話題が出る頻度については、「週に1回程度」と回答した人は4.5%で「月に1回程度」という人が21.2%。合計25.7%で、4人に1人が日常の中で新NISAの話をしています。さらに、「3ヵ月に1回程度」という人は25.6%で、「年に1~2回程度」が19.3%です。年に1回以上、話題になったという人は7割超にのぼります。
特に30歳代以下の若年層が多く話題にしているようです。月に1回程度以上の頻度で話していた人は、20代以下が42.8%で、30代では33.9%でした。一方、50代・60代・70代以上で月に1回以上話題になった人は2割以下にとどまっています。
また、周囲の人に新NISAを勧めるような話をした頻度は、「週に1回程度」が4.7%で「月に1回程度」が19.5%。月に1回程度は新NISAを誰かに勧めている人が4人に1人いる計算で、「年に1回以上」となると6割超になります。勧めた頻度も年代が若いほど高い傾向です。
金融経済教育を受けた人は4人に1人以下
「投資は勉強しなければならないもの」というイメージがありますが、新NISA利用者のうち、金融経済教育を受けた経験のある人は22.7%でした。年代別では【グラフ2】のとおりです。

若年層は「経験あり」が高い傾向です。20代以下は37.2%で、世代別で最も高くなっています。その一方で、最も低い世代は50代の15.1%。60代以上になると年齢が高い層ほど「経験あり」が高くなる傾向となっています。
さらに、金融経済教育を受けた1,798人にどこで教育を受けたかを尋ねると、「職場」が36.9%で最も多く、次が「証券会社や金融機関など」で32.3%、「学校」25.9%、「家庭」20.9%と続きます。
ここは年代によって傾向がはっきり分かれます。学校で金融経済教育が行われる時代になったことで、若年層は学校での経験が多くなっており、働き盛りの世代は職場での学ぶ機会もあるようです。学校や職場で学ぶ機会がほとんどなかった中高齢層は、証券会社や金融機関を通じて学んだ人が多い傾向です。
なお、金融経済教育を受けた人のうち、つみたて投資枠と成長投資枠を併用している人は66.8%でした。教育を受けていない人は53.5%で、13.3ポイントの差がついています。
よりNISAを使いやすくするために
ここまで見てきたように、新NISAを利用している人はおおむね満足度が高く、周囲にも勧めている人も多いようです。ただし、要望も挙げられています。
「NISAをさらに使いやすくするために必要だと思う制度やサービス」を尋ねたところ、「NISA保有商品を非課税で子や孫に相続・贈与できるようにしてほしい」が最も多く23.8%、次いで「NISA保有商品を別の商品に入れ替えしやすい制度にしてほしい」が18.4%、僅差で「NISA保有商品を子や孫のNISA口座に移管できるようにしてほしい」の18.1%が続きます。
NISA口座で上場株式や投資信託を保有する人が死亡して相続する際、相続人自身がNISA口座を開設していても、現在のルールでは課税口座で受け取らなければなりません。相続の際にNISA口座で受け取れるようになれば、高齢者の間でNISAの利用が進むでしょう。
また、NISA制度の改善要望については、「シンプルな制度としてほしい」が最も高い28.0%で、次が「成長投資枠の非課税保有限度額を拡大してほしい」で20.8%でした。
NISAが投資の第一歩となっている実態から、制度をシンプルにすることで利用者増につながりそうです。また、利用者の年代が幅広いことを踏まえると、現状1,200万円という成長投資枠の非課税保有限度額拡大の要望も理解できます。
他にも、「複数の証券会社・金融機関で、同一年にNISA口座を利用したい」(17.4%)、「NISAで保有している資産を、NISAで保有したまま他社に移管したい」(17.3%)、「金融機関の変更を年1回ではなく、いつでもできるようにしてほしい」(12.0%)、「職場つみたてNISAの奨励金について、所得税・住民税を非課税としてほしい」(11.3%)といった要望も、改正によって利便性が高まれば、さらに利用者が増えたり、購入金額が増えたりするでしょう。
新NISAは、資産形成の第一歩として多くの人に受け入れられつつあります。一方で、制度の理解や金融リテラシーの向上、さらには制度の改善が求められている点も見えてきました。
制度を正しく理解し自分に合った使い方をすることで、より安定した資産形成が可能になります。新NISAによって、改めて金融経済教育の重要性が感じられるようになったのではないでしょうか。
【参考資料】 日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(概要)」
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