ボラティリティが高い相場は、押し目買いのチャンスとなり得るか 過去の事例とやってはいけないこと

イラン情勢の緊迫化を受け、日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)は一時66まで急上昇しました。

日経平均VIは「恐怖指数」とも呼ばれ2020年以降40を超えるのは4回目で、近年ボラティリティが高い相場が続いていることが分かります。

今回は、ボラティリティが高い相場で個人投資家がやってはいけない行動、過去の事例から「押し目買いのチャンスなり得るのか」を解説していきます。


イラン情勢で日経平均株価が乱高下、日経平均VIは66に

2月28日にアメリカ・イスラエルがイランを攻撃したことを受け、株価が乱高下しています。特に日経平均株価はボラティリティが高く、攻撃発表後の7営業日で日経平均は約7.8%下落しました。


 

出典:TradingView(以下のチャートも同様)


今後30日間の相場変動の大きさを年率換算した指標・日経平均VIは、高ければ高いほど投資家が先行きを警戒していることを示しています。アメリカではVIX(恐怖指数)とも言われています。

通常の相場では24前後で推移することが多いですが、2026年3月9日には一時66まで急上昇しました。


背景にあるのは原油高への懸念で、NY原油先物(WTI)も不安定な状況です。

 


今後は紛争の行方が相場の焦点となるでしょう。


ボラティリティが高い時に個人投資家がやってはいけないこと

ボラティリティが高い相場で、個人投資家が避けたい行動は主に以下の3つです。


1.狼狽売り

ボラティリティが高い時、投資初心者に多い行動が「狼狽売り」です。

投資を始めたばかりの人、知識が少ない方は、相場が急落すると恐怖で焦って狼狽し底値付近で売ってしまう傾向があります。

感情的な取引をすると損失が生じるだけではなく、その後の反発を取り逃がすリスクも生じます。

「○○円を下回ったら損切り」と事前にルールを決めておきましょう。

利益確定においても、「○%上がったら売る」など決めておくことで感情にまかせた取引を避けられます。


2.レバレッジの高い信用取引

ボラティリティが高い相場では、1日の値幅が数千円規模になることも珍しくありません。信用取引でレバレッジを使っていると、予想と逆の動きをした際に追証(追加証拠金)が発生し、強制決済に追い込まれてしまいます。

リスク(リターンのばらつき)が高くなっている状態ですので、レバレッジを使った取引はさらにリスクが高くなることをおさえておきましょう。


3.無計画なナンピン

保有している銘柄の株価が下がった際に、さらに買い増しをして平均購入単価を下げるナンピンは自身で企業や業績・将来性などの分析を行った上であれば有効な手段の1つであると言えます。ただし、根拠が無く単純に「安くなったから買い増す」と、「落ちてくるナイフを素手で掴む」行為となってしまいます。

根拠のないナンピンを続けると、資金が枯渇し株価が再上昇した際に資金が足りずに買い増しができなくなる事態も招いてしまいます。



日経平均VI40超えは「買い場」のシグナルか?

2020年以降で日経平均VIが40を超えたのは、今回を含め4回ですが「押し目買いのチャンス」なのでしょうか?

過去3回の事例を振り返ってみましょう。


 2020年3月:コロナショック

コロナショックによる世界同時株安により、日経平均VIは60.67に上がりました。2020年2月も49.84と高めの数値が出ています。

先行きの不透明感が高まった局面でしたが、その後の相場は急回復し、結果的には買い場となりました。


 2024年8月:日銀の利上げ

日銀の利上げと植田総裁のさらなる利上げに前向きな姿勢の発言、米国の景気減速懸念が重なり、円高が進行、日経平均VIは70.69となっています。8月5日には歴史的な下落幅を記録しましたが、数週間後に相場は大きく反発しました。


 2025年4月:関税ショック

アメリカ・トランプ政権の関税政策をめぐる混乱が引き金となり、世界的にリスクオフが加速し、58.39までVIが上昇しました。一時的な急落に留まり、その後は落ち着きを取り戻しています。


2020年以降のVI急上昇の相場は、直後に反発しており、一時的な市場の混乱は長期投資家にとって買い場サインになり得る傾向があります。

ただし今回のイラン情勢は、不確実性が高くウクライナ侵攻のように長期化する可能性もあります。過去のVI急上昇の事例はあくまで参考にしながら、焦らず慎重に状況を注視していきましょう。


まとめ

ボラティリティが高い相場で、狼狽売り・高レバレッジによる強制決済・根拠のないナンピンは避けることをおすすめします。

過去の事例が示す通り、VIの急上昇は長期投資家にとって買い場になり得る側面もあります。ただし、今回のイラン情勢はウクライナ侵攻のように長期化するリスクも否定できません。

取引時には、「事前に決めたルール」と「余裕のある資金管理」を前提に、冷静に状況を見極めながら判断しましょう。


ファイナンシャル・プランナー/ライター

田中 あさみ

1級FP技能士、CFP(R) 認定者。ライター。 会社員を経て独立し、金融・投資・相続・法律などの記事を執筆している。 自身でも米国株やETF・投資信託等を運用中。

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