日本当局、円買い介入
4月末にドル円が心理的節目の160円台を回復し、2024年7月以来の高値となる160円後半まで上昇し、大台定着を狙う動きとなり、日本当局は円買い介入に踏み切りました。その直前には、片山財務相が「いよいよ断固たる措置を取るタイミングが近づいている」「外出のときもお休みのときもスマホを離さずに、ということだけ申し上げる」、三村財務官が「これは最後の避難勧告」とそれぞれ最大限の予告をしていました。
また、1日午前には三村財務官が「大型連休はまだまだ序盤」と発言し、連休中に介入を継続する姿勢を露にし、政府関係者は連休中に複数にわたって円買い介入を行ったことを明らかにしています。介入でドル円は上値が抑えられたが、155円割れを回避しています。
介入資金確保に米国債売却に動いたか
米連邦準備制度理事会(FRB)が外国当局などのために保管している米国債の残高が約1カ月ぶりに減少したことを受けて、市場では日本が通貨防衛のため為替市場に介入した可能性が高い時期と重なっていることもあり、円買い資金の確保に向けて日本が米国債を売却したのではないかとの思惑が浮上しています。
FRBが外国の公的機関や国際機関のために保管する米国債は6日までの1週間で87億ドル(約1兆3650億円)減少し、2兆7300億ドルとなりました。一方、日本の財務省は同期間に約8兆5400億円を投じて円買い介入を行ったと推計されています。
原油価格の上昇やイラン戦争による財政赤字拡大への懸念で既に上昇している米国債利回りは、日本が米国債保有残高を減らせば一段と上昇する可能性があります。日本は米国債の最大の海外保有国であります。
介入も円売りポジションの解消進まず
日本当局が為替相場への介入姿勢を強める中でも円に対する弱気ポジション(持ち高)を解消する動きは強まっていません。原油価格の上昇が日本の交易条件を悪化させ、円の理論価値を押し下げています。市場では、ファンダメンタルズに大きな変化がない限り対ドルで170円程度まで円安が進む可能性があるとの声が聞かれています。
介入効果は一時的にとどまり、円が再び下落基調に戻るとの見方は少なくありません。エネルギー価格の大幅下落や日銀のタカ派的な政策転換がない限り、円への下押し圧力が続きそうです。
円売り、投機的とは言えないか
ドル高・円安の要因に投機筋の円売り拡大を要因と指摘する声もあります。日本当局も非商業筋のポジションが円ショートに傾いていることから、投機的な動きを抑制することを目的に介入を行ったとも説明しています。ただ、非商業筋の内訳をみると、25年末くらいから積極的に円ショートの方向にポジションを傾けてきたのはアセットマネージャーであります。このアセットマネージャーのポジションは、日銀がサプライズ的な利上げを行った24年夏以降に一貫してロングに傾いています。
まだ、この間は実際に円安圧力が弱くなっていたことから貿易赤字が縮小傾向にありました。貿易収支といったマネーフロー、中央銀行の政策スタンス(金利差)、高市政権の財政拡張への懸念など、ファンダメンタルズに則した理由で円売りが進んだ可能性が大きく、これは投機的な動きとは言えないでしょう。
ドル円、上昇加速の阻止はドル安に期待か
日銀が金融政策の引き締め姿勢を強めなければ、円安トレンドが今後も続く可能性が高く、ドル円の上昇加速を阻止できるのはドル安を期待するしかないかも知れません。
米・イランが終戦に向かい、原油価格が安定を取り戻し、「有事のドル買い」が後退すること、米利下げが再開すること、トランプ米大統領の暴走でドル離れが加速することなどが、今後ドル安につながる可能性があります。





