「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回は2026年2月に上場したイノバセル(504A)をみていきます。
同社は、ヒト細胞を用いた細胞治療製品より成るパイプラインに注力しており、現在は便失禁・尿失禁疾患に対する再生医療等製品を開発しています。
具体的には、ICEF15(ターゲット疾患:切迫性便失禁)、ICEF16(ターゲット疾患:漏出性便失禁)、ICES13(ターゲット疾患:腹圧性尿失禁)となっています。
これらの研究開発パイプラインのうちで最も進んだ開発ステージ(第III相国際共同治験)にあるのは、切迫性便失禁をターゲットとするICEF15です。また、腹圧性尿失禁をターゲットとするICES13は欧州において後期第II相臨床試験を終えた段階にあります。漏出性便失禁をターゲットとするICEF16は、現在第I/II相試験準備を行なっている段階です。
失禁領域には多くの潜在患者が存在すると考えられるとしており、大人用おむつの市場規模が国内だけでも1150億円とされていることから、ブロックバスター(従来の治療体系を変えるような画期的な薬効をもつ新薬)候補として注目されます。
既存株主の中にはコーエーテクモの投資子会社と、それを率いるファンドマネジャー顔負けの投資家として知られる襟川恵子氏、さらにマネックスの松本大氏も名を連ねていることでも注目を集めていました。
イノバセルの初値については、開発後期のパイプラインを複数持つうえ、規模感のある市場を対象とすることから成長期待が高い半面、大赤字(24.12期の実績は営業赤字18億円、25.12期の会社予想は営業赤字24億円、26.12期の会社予想は営業赤字33億円)で上場することへの反応が警戒されていたことから、様子見姿勢が強いとみられていました。では、イノバセルの上場からの株価の動きをみていきます。
イノバセルの株価推移(上場から2026年4月30日まで)
2026年2月24日に東証グロースに上場した同社の初値は1248円と公開価格1350円を下回りました。寄り付き後は一段安となり、一時は1000円の大台も割り込みました。いったんは自律反発するも1100円台後半で足踏みすると再び失速。その後は大台割れを回避しつつも手じまい売りに押される展開となり、終値は1050円となりました。なお、初値の1248円が上場来高値(2026年5月7日時点)となっており、きれいな初値天井となっています。
同社は上場日(2月24日)の8時に「東京証券取引所グロース市場への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」を発表。25.12期の営業赤字は22億円となり、会社予想の24億円から赤字幅は縮小しました。なお、26.12期の会社予想は営業赤字33億円に変更はありませんでした。
その後の株価は3月中旬まで1000円前後でのもみ合いとなっていましたが、その後はずるずると下値を切り下げる展開となり、4月30日に600円まで下落し上場来安値を更新しました。
【イノバセルの日足チャート(上場から2026年4月30日まで)】

今後について
ブロックバスターとしての期待はあるものの、開発先行型のビジネスモデルであり今後数年は赤字が続くとみられています。ただ、赤字はバイオベンチャーであることから仕方のないことです。上場で得た資金は100億円程度ありますので、しばらくは追加のファイナンスの可能性は低いといえます。
注目されるICEF15(ターゲット疾患:切迫性便失禁)は、26.12期に第III相国際共同治験の推進(患者組み入れの完了を含む)を見込んでいます。順調な進展が確認できれば、いよいよ承認期待が高まります。
同社の株価は600円前後となっており、公開価格1350円の半値以下まで下落。さらに上場前株価の850円も下回っています。ここまで大きく下げていますので、ICEF15の承認期待が高まれば、株価の底打ち反転が期待されます。全力投資はリスクが高いですが、NISA口座の片隅で数百株程度保有してみるのも面白いと考えます。





