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「ナフサショック」を個人投資家はどのように考えるか

2026年5月12日、お菓子メーカーの最大手であるカルビーが「ポテトチップス」などの主力商品のパッケージを白黒にすると発表しました。中東情勢の緊迫化によってナフサが不足し、カラー印刷に必要なインクの原料そのものが入手できない状況となっていることが原因です。次いで伊藤ハムなど他社も追随する動きを見せており、「ナフサ・ショック」として影響が広がっています。

ナフサとは


ナフサ(naphtha)とは

原油を常圧蒸留装置で分離して得られる混合物です。粗製ガソリンとも呼ばれ、合成樹脂をはじめとしたさまざまな商品に使われています。中東情勢に起因するホルムズ海峡の閉鎖は、日本国内全域においてナフサが不足する事態を引き起こしています。今回の有事まで知名度は決して高くなかったですが、日本人の日ごろの生活をしっかりと支えている社会的インフラであると広まった形です。主だったものでも、以下のようなものがナフサから作られています。


「ナフサ」から作られる主な生産物:合成樹脂・ゴム・インキ・溶剤・洗浄液など


国が必要量の確保にいち早く動いたため、「ナフサ不足=医療用品不足」という認識がまず広まりました。そのなかで大手企業であるカルビーが白黒パッケージ化を発表したことで、特定の産業ではなく多方面に影響する問題と再認識されました。


医療用品においても国が安全宣言を出したものの、根本的な解決の糸口は見えません。ナフサを必要とするこれらの幅広い産業が行き詰まると、多くの会社経営に影響があります。特にプラスチック製品の供給網や、製造業への影響は甚大です。


流通の優先度

ナフサショックの問題は、事業者の規模によっても異なります。中東情勢の緩和により少しずつナフサの供給は復活していますが、大企業を中心とした流通網に優先して供給される特徴があります。これまでも特定の素材が不足することはありましたが、「大企業を優先して」と報じられるのはあまり記憶にありません。


この影響で中小の事業者が多い医療業界や、中小企業・個人事業主の多い建築業界は、仕事をするうえで欠かせないナフサを長期間にわたって入手することができません。当然ながら、経営に直結します。カルビーによる白黒パッケージとは異なる観点で、ナフサショックの本質を捉えることが大切です。



個人投資家は「代替」に注目

ここからは個人投資家の視点で見ていきましょう。ナフサショックが回復するまでに、関係産業には大きな影響があります。では、そのなかからいち早く回復する企業には、どのような特徴があるでしょうか。1つ目は代替力です。ナフサの代替には「調達先の代替」と「ナフサそのものの代替」があります。


具体的な関連銘柄としては、原油からナフサを精製・供給する出光興産(5019)やENEOSホールディングス(5020)が挙げられます。またナフサの精製・生産で高いシェアを有するコスモエネルギーホールディングス(5021)にも注目です。


調達先の代替

ナフサの輸入において中東依存からの脱却を目指し、アメリカやブラジル、アフリカ諸国からの輸入が進んでいます。今回のように特定地域の紛争などが発生した際に短期間で供給不足とならないように、多角化は歓迎すべき取り組みです。もともと中東への高い依存率は業界で懸念されており、今回の注目で一気に代替が進むと考えられます。


ナフサの代替

またナフサ自体の代替も進んでいきます。石油由来に代わり、環境負荷が低く安定調達が可能な材料へのシフトも進んでいます。植物など生物資源由来の「バイオマスナフサ」や、廃プラスチックを活用した「ポリエコレン」の活用などが広まっています。


ナフサを生産・保管するプラント事業や、実際にナフサを使っている会社にて代替を進めることができれば、企業のイメージとしても大きなプラスとなります。脱ナフサを前面に出して企業価値を上げるという取り組みです。先んじてナフサ不足に向き合い、チャレンジをする企業の株を購入し、注目された時点で売却するスイングトレードができれば、投資家も利益を得ることができるでしょう。


どちらにしろ鍵を握るのは、上流でナフサを精製する企業群です。調達先の代替・素材の代替いずれにおいても、上記の関連企業に注目しましょう。


2026年5月現在、ナフサの不足が全国的に報じられているなかに、代替原料の開発が進んでいるというニュースが隠れている可能性があります。これを見つけられれば短期間での株価上昇で利益を掴む、「スイングトレード」のチャンスです。


もし現在中東紛争が起きず、ナフサの不足が報じられていなかったら。わたしたちはナフサの代替調達先や「ナフサの代替品は」などと気づくはずがありません。日頃から投資のチャンス、上昇可能性の高い銘柄を探していたとしても変わらないでしょう。今回のような状況の変化にいち早く気づき、注目銘柄を考察することが、「将来株価」を考えるときに大きな武器となるでしょう。


独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

FP事務所MYS代表。ファイナンシャルプランナー(FP)。日本最大級のマネースクール事業に参画。上場株、貴金属、為替のほか、これまで約700本の執筆記事を手掛ける。1982年北海道生まれ。

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