セントラル短資_トップ_5月
PR

投資ビギナーのための用語解説「アクティビスト」とは?

6月は「株主総会シーズン」と言われます。日本では3月に決算をする企業が多く、これらの企業が決算や監査を終えた6月に、株主総会が集中するためです。株主総会を控えて、この時期のニュースでは「アクティビスト」「株主提案」といった言葉が飛び交うようになります。


ですが、投資ビギナーにとっては、アクティビストが何をしている人なのか、なぜ企業ともめるのかが分かりにくいことでしょう。そこで今回は、「物言う株主」とも呼ばれる「アクティビスト」について解説します。


「アクティビスト」とは


アクティビストは、大量に株式を保有している株主で、投資企業に対して経営などについて提案を行う投資家のことです。一言でいえば「経営に口を出す株主」です。「モノ言う株主」などと表現されることもあります。


その提案内容は、主に「企業価値を高めるべきだ」という主張が柱になっています。たとえば、「株主配当金の増加」「自社株買い」「不採算事業部門の売却」や、親会社と子会社が同時に上場している「親子上場の解消」などを要求するケースがよくあります。


アクティビストは、会社に眠っている、現状で使われていないお金や事業、設備などをもっと効率よく使えば「利益や株価の向上につながる」と考えて、企業にその提案を行います。


お金などが使われずにただ持っているだけなら、株主配当金を増やしたり、成長のための投資に回したりする方が、多くの投資家から高く評価されやすいといえます。「この会社はお金の使い方がうまい」と評価されれば、株価が上がりやすいという流れになります【図1】。



総会シーズンは、これらを株主として株主総会に提案する「株主提案」が増えてくる時期なのです。


なぜ、キャッシュリッチ企業がアクティビストに狙われるのか


現預金を多く持っている企業は、「キャッシュリッチ企業」と呼ばれます。日本にはキャッシュリッチ企業が多い一方で、「企業価値に対して株価が割安に放置されている企業」や、「持っている資本を十分に利益につなげられていない企業」が少なくありません。


株式市場では、こうした状態を「PBR1倍割れ」や「低ROE」などと表現します。


「PBR1倍割れ」は、会計上の企業価値よりも株式市場で評価される価値の方が低いことを意味します。「PBR」は「株価純資産倍率」といい、純資産に対して株価がどの程度かを示します。また、「低ROE」は、企業の利益の生み方の効率が悪いことの表れです。「ROE」は「株主資本利益率」といい、株主の出したお金からどれぐらい利益を上げたかを示す指標です。


つまり、「PBR1倍割れ」や「低ROE」は、「現預金を多く持っている一方で、その価値が株式市場で十分に評価されていない企業」や「持っている資本を十分に利益につなげられていない企業」を表現しています。


アクティビストは、このような企業には「会社に眠っているお金を、もっと有効活用してほしい」と考え、株主提案を行います。


以前、日本企業が「ハゲタカ」などと呼ばれる海外の投資ファンドを警戒する時代もありましたが、昨今の投資ファンドは、企業価値を高めるための株主提案を行い、これを受け入れた企業が効率を高めて経営が良くなり、株価を押し上げるケースが増えています。


アクティビストの良い面・注意点


ここまで述べてきたように、一見、否定的に受け取られがちなアクティビストですが、アクティビストは「悪者」でも「正義の味方」でもありません。


アクティビストが大株主に名を連ねる場合、良い面として考えられるのは以下のような点です。


・経営に緊張感が生まれ、より良い経営がなされる

・株主配当金の増額や自社株買いなどの株主還元策が改善される

・企業の資本効率が向上する


もっとも、アクティビストの提案には良い面だけでなく、難しいところもあります。


たとえば、配当の増額や自社株買いは投資家から評価されやすい一方、「企業が持つ資金は将来の成長に向けて使われるべき」という本来の考え方も重要です。


新製品の研究開発や、工場への投資、人材育成、海外展開などには、長い時間と多くの資金が必要になります。短期的な株主還元を重視しすぎてこれらの投資を怠ると、将来の成長力が弱くなるのではないか、と見られてしまいます。


企業としては、目先の株主還元を優先する「短期の利益」と、将来への投資を優先する「長期の成長」の両立が必要です【図2】。


企業に眠る資金を有効活用すべきなのか、それとも将来の成長のために蓄えておくべきなのか――。株主総会では、こうした考え方の違いも議論されています。


株主総会シーズンは、「誰がどんな提案をしているか」を見るとニュースが理解しやすくなるでしょう。投資ビギナーとしては、まず、「株主配当金」「自社株買い」「PBR」「ROE」などのキーワードと一緒にニュースを読んでいくことをおすすめします。


ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

石原 敬子の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

セントラル短資_右カラム1
PR

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております