情報洪水時代と金融市場の混迷
これまでFX業界をはじめとする金融市場は、通信社が配信するニュースを基に動いてきました。
その後、1990年代にインターネットが一般へ普及すると、ニュースの時差は急速に縮小。
現在では、ほぼリアルタイムで世界中の情報を得られる時代となっています。
しかし、AI技術の発展も相まって、近年は「何が事実なのか」を判断すること自体が難しくなっています。
実際、ロシアがウクライナから攻撃を受けたとされる映像が、後にAI生成だったと判明した例もありました。
また、「オールドメディアは偏向している」との批判がある一方で、SNS上ではさらに根拠の乏しい情報やデマが拡散されやすいのも事実です。
深刻化する“発言リスク”
さらに問題なのは、政治家自身が無責任な発言を繰り返していることです。
特に、トランプ米大統領は、自身に不都合なニュースや統計を「フェイクニュース」と断じる場面が目立っています。
その発言力は極めて大きく、金融市場は毎回反応を余儀なくされるため、市場参加者にとっては大きなリスク要因となっています。
波紋を広げた原油価格に関するSNS投稿
先週話題となったのが、トランプ大統領による原油価格に関するSNS投稿です。
8日の投稿では、「眠たげなジョー(バイデン前大統領)の時代から原油価格は1バレル当たり25-30%下落した」と主張し、120ドルから90ドルへ下がったと説明しました。
しかし、トランプ大統領が就任した2025年1月20日の直前営業日である1月17日のWTI原油先物価格の終値は77.88ドルでした。
では、この“120ドル”という数字はどこから出てきたのでしょうか。
おそらく、バイデン政権時代にロシアのウクライナ侵攻によって原油価格が急騰した局面を指しているのだと思われます。
「演出された和平期待」に市場が振り回される現実
いずれにせよ、世界最大の影響力を持つ国家のトップがこのような発信を行っていることで、米国発ニュースの信頼性そのものが揺らいでいます。
最近も、米メディアを通じて「トランプ政権関係者が和平交渉の進展を示唆した」との報道が流れるたびに、原油価格や為替市場が大きく反応しています。
ただ、市場では「これは本当に和平が進展しているのではなく、ガソリン価格高騰による支持率低下を抑えるための演出に過ぎない」との見方が大勢を占めています。

“何を信じるか”が最大のテーマに
このように、AIによるフェイク情報が増える中で、政治的な情報操作や誇張表現まで加わり、市場参加者は「どの情報を信頼するべきか」という極めて難しい局面に直面しています。
個人的には、和平交渉に関するトランプ政権発の情報については、基本的に割り引いて考えるようにしています。
むしろ、イラン側から発信される情報の方が、現時点では相対的に信頼できるのではないかと感じているほどです。
また、日本政府についても、過去に“フェイク的な記者会見”が行われたと感じる場面がありました。
今後のFX取引では、単にニュースを追うだけでなく、「誰が」「どの目的で」発信している情報なのかまで精査する姿勢が、これまで以上に重要になるでしょう。





