市場動向
2026年5月の暗号資産市場は、主要銘柄を中心に軟調な展開となりました。ビットコイン(BTC)は対ドルで月間約3.4%下落し、イーサリアム(ETH)は約11.1%下落しました。
同期間、暗号資産全体の時価総額は約2.54兆ドルから約2.49兆ドルへと減少しました。月間では約2.0%減少し、市場全体でも上値の重い動きがみられました。BTCは小幅安にとどまった一方、ETHの下落率が相対的に大きくなりました。
現物ETF市場では、BTC、ETHともに月間ベースで純流出となりました。月初には流入がみられたものの、中旬以降は流出超となる日が増え、ETF経由の資金流入は弱含みとなりました。
一方、ステーブルコインの供給総額は月間で約0.1%の減少にとどまりました。オンチェーン上の待機資金はおおむね横ばいで推移しましたが、DeFiプロトコルへの預入資産の規模を示すTVL(Total Value Locked)は、月間で約3.5%の減少となりました。
短期的には、ETFフローに加え、ステーブルコイン供給総額やTVLの推移が市場の地合いをみるうえで引き続き注目されます。
BTCやETHの価格推移
2026年5月のBTCは月初の約76300ドルから、月末には約73700ドルまで下落しました。月間では約3.4%の下落となり、月中に振れを伴いながらも、全体としては上値の重い展開となりました。
現物ETF市場では月間で純流出が確認されており、BTCの需給面では重しとなったとみられます。

※BTCドル、日足チャート 出所:TradingView
ETHも月初の約2250ドルから月末には約2000ドルまで下落しました。下落率は約11.1%となり、BTCと比べて下落幅は大きくなりました。主要銘柄のなかでは、ETHの軟調さが相対的に目立ちました。

※ETHドル、日足チャート 出所:TradingView
ETFフロー
2026年5月の現物ETF市場では、BTC、ETHともに月間ベースで純流出となりました。月初にはいずれも流入がみられましたが、その後は流出超となる日が増え、月間では資金流出が優勢となりました。
BTC現物ETFは、5月合計で約24.3億ドルの純流出となりました。1日、4日、5日には比較的大きな資金流入がみられました。一方、13日、18日、27日には大きめの流出がみられ、特に27日には単日で約7.33億ドルの流出となりました。月初の流入額を中旬以降の流出額が上回り、月間ベースでは純流出となりました。

※BTC現物ETF、日次資金フロー 出所:sosovalue
ETH現物ETFは、5月合計で約5.41億ドルの純流出となりました。1日、4日、5日には流入がみられたものの、7日、12日、18日、28日には大きめの流出がみられました。特に12日には単日で約1.31億ドル、28日には約1.21億ドルの流出となり、月間では純流出となりました。

※ETH現物ETF、日次資金フロー 出所:sosovalue
ETH現物ETFは月初に流入がみられたものの、その後は流出優勢となりました。ETH価格の下落率はBTCを上回っており、価格とETFフローの両面で、BTCと比べて軟調な動きとなりました。
オンチェーンデータ
2026年5月末時点では、主要暗号資産の価格が下落する一方、オンチェーン指標の動きにはばらつきがみられました。ステーブルコインの供給総額はほぼ横ばいとなった一方、DeFi TVL(Total Value Locked)は低下しました。
ステーブルコインの供給総額は、月間では約3204.9億ドルから約3201.8億ドルへと小幅に減少しました。月間では約0.1%の減少にとどまり、オンチェーン上の待機資金はおおむね横ばいで推移しました。主要銘柄の価格が下落し、ETFフローも純流出となる中でも、ステーブルコイン市場では大きな資金流出は確認されませんでした。

※ステーブルコイン供給総額 出所:defillama
DeFiセクターのTVLは、月初の約832.7億ドルから月末には約803.3億ドルへと減少しました。月間では約3.5%の減少となりました。ステーブルコイン供給総額に大きな変化がみられなかった一方、DeFi分野への資金流入は弱く、オンチェーン上のリスク選好は限定的だったとみられます。
暗号資産関連ニュース
2026年5月は、米国を中心に、暗号資産を巡る制度整備が引き続き焦点となりました。米国では、暗号資産市場構造法案を巡る議論が進展したほか、暗号資産デリバティブの規制市場での提供に向けた動きもみられました。日本では、外国発行ステーブルコインの国内での取扱いに関する制度整備が進みました。
米国では、暗号資産市場構造法案「Digital Asset Market Clarity Act(CLARITY Act)」について、5月14日に米上院銀行委員会が同法案を可決しました。同法案は、デジタル資産に関する連邦レベルの規制枠組みを整備し、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の管轄を明確化することを目的としています。今後は上院本会議での審議が焦点となります。
また、米国では暗号資産デリバティブを規制下の市場に取り込む動きもみられました。5月29日、Coinbase(コインベース)とKalshi(カルシ)は、米国投資家向けに規制下の暗号資産永久先物を提供する方針を示しました。永久先物は、従来は海外取引所を中心に取引されてきた暗号資産デリバティブであり、CFTCの監督下で米国内の規制市場に取り込む動きとして注目されます。
日本では、外国発行ステーブルコインの取扱いを巡る動きもありました。金融庁は5月19日、「電子決済手段等取引業者に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」等の公布及びパブリックコメントの結果等を公表しました。外国発行ステーブルコインの取扱いに関する基準を明確化する内容で、国内におけるステーブルコインの制度整備の一環として注目されます。





