BTC、米CPIの下振れがきっかけに
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年7月16日8時30分頃、対円では前週(7日前)比3.8%高の1051万円前後で取引されています。BTCドルが6万4800ドル前後と年初来では約26%安ですが、7月初めからだと10.6%高と底堅い動きです。
BTC円は週末にかけて1045万円超えまで上昇したところから、週明け13日のNY午後には1010万円割れまで売られました。BTCドルも、6万4500ドルを上回ったところから、6万1800ドル前後まで失速しました。
米国とイランの対立が再び激化し、中東情勢の緊迫化を受けて原油相場が週初から急騰しました。リスクセンチメントの悪化が嫌気され、リスク資産とされるBTCにも売り圧力が強まりました。

※Trading Viewより
BTC相場の地合いが一変したのが14日です。米労働統計局が発表した6月の消費者物価指数(CPI)が前年比3.5%と市場予想を大きく下回ると、米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ観測が後退。米金利の低下は、基本的に金利が付かないBTCにとってプラスとも受け取られ、買い戻しが一気に強まりました。
翌15日に発表された米国の6月卸売物価指数(PPI)も予想を下回る弱さだったことも支えに、BTCドルが一時6万5500ドル前後まで上げ幅を広げました。BTC円も1063万円台まで上値を伸ばしています。
クジラが静かに動いている
ところで長らく下落が続いていたBTC相場ですが、水面下では大口投資家(クジラ)が買い集めているようです。ロンドン拠点の大手暗号資産マーケットメーカーWintermuteによれば、200週移動平均線(およそ6万3000ドル)の前後で27万BTC以上が蓄積されていることが確認されました。この規模の月次買い集めは2013年以来最大とされており、長期目線の大口が着実に仕込んでいることがわかります。
注目すべきは、こうした買い集めが相場の下落局面でも続いている点です。一般的に、価格が下がると弱気な投資家が売りを急ぐ一方で、クジラは逆に買い増す傾向があります。今回もその構図が見られており、短期的な売り圧力と長期保有者の買いが綱引きを続けている状態です。相場が軟調な局面でも大口が着実に仕込んでいるという事実は、覚えておいてよいことかもしれません。
参照URL

#Trading Viewより
CLARITY法案、成立確率が上昇
米国では、制度面でも前向きな動きがあります。暗号資産を法律上どう分類するかを明確にし、銀行や機関投資家が参入しやすくする「CLARITY法案」について、予測市場のポリマーケット(Polymarket)では今年中の成立確率が52%を超えました。
前回の第203回では、財務省に100万BTCの購入を義務付ける「BITCOIN法案」や20年間の保有を強制する「ARMA法案」が議論されていることをお伝えしました。米国における暗号資産の法的位置づけを固める動きが着実に進んでいます。
法案が成立すれば、これまで規制の不透明さを理由に慎重だった銀行や機関投資家が、ビットコインを正式に扱いやすくなります。市場への影響は小さくないだけに、議会の動向から目が離せません。
大手銀行が警告する「見えないリスク」
一方で気になる指摘もあります。JPモルガンのアナリストは、金融機関が独自の閉じたネットワークを使って資産を動かす動きが広がっていると警告しています。こうした流れが続けば、ビットコインへの長期的な需要が想定より伸び悩む可能性があるというわけです。
大手銀行がビットコインそのものではなく、自社で管理できる独自のシステムを選ぶようになれば、期待されていた「機関投資家マネーの流入」が想定より小さくなる可能性があります。CLARITY法案など制度整備への期待が高まる一方で、金融機関が必ずしもビットコインを直接使うとは限らないという現実も忘れてはなりません。
ETH、ステーキング解禁で収益モデルが…
一方で、暗号資産で時価総額2位のイーサリアム(ETH)は、7日前比で10%超高とBTCをアウトパフォームしています。ETHのステーキングに関する報道が後押し要因の1つです。ステーキングとは、保有するイーサリアムをネットワークの運営に提供する代わりに報酬を受け取る仕組みで、いわば「預けて利息を得る」感覚に近いものです。
米SECと商品先物取引委員会(CFTC)が、ステーキング報酬を「非証券」と分類する共同解釈を出しました。これにより、米国上場のイーサリアム現物ETFがステーキング報酬を株主に還元できる道が開かれ、ブラックロックなど大手発行体がすでに対応を開始しています。
これまで米国のETFではこの仕組みが認められていませんでしたが、今回の解釈変更でETFの魅力が一段と高まります。ビットコインETFにはない「利回り」が加わることで、年金基金など安定収入を求める機関投資家にとって、イーサリアムETFが選択肢に入りやすくなるでしょう。



