「ハローキティで世界的に人気なのに、なんで暴落したの?」
「サンリオの株価、すごく下がってたのに最近また上がってる。」
サンリオ(証券コード:8136)は、ハローキティやシナモロールなど世界的な人気キャラクターを抱える会社です。業績は絶好調で、過去最高益を更新し続けています。
それなのに株価は、2025年8月の高値から2025年11月にかけて50%以上も下落しました。ところが2026年6月23日に発表された決算をきっかけに、株価は一転して急騰しています。
なぜ好業績なのに暴落したのか。そしてなぜ今になって急騰したのか。最新の決算データをもとに、その背景と今後の見通しをわかりやすく解説します。

参照:Trading View
サンリオってどんな会社?
サンリオは、といえばハローキティが最初に印象に出てくる企業ではないでしょうか。
ハローキティ、シナモロール、クロミ、マイメロディ。誰もが知るこれらのキャラクターを生み出し、その使用権(ライセンス)を世界中の企業に貸し出しています。
たとえば、アパレル企業がハローキティの服を作りたいとき、サンリオにライセンス料を払います。
このビジネスモデルはアセットライト型と呼ばれます。自社で大きな工場や在庫を抱えないため、少ない資産で高い利益を生み出せるのが特徴です。実際、サンリオの営業利益率は40%を超えており、非常に高い水準です。
加えて、自社で運営するサンリオショップや、サンリオピューロランドなどのテーマパーク事業も運営しています。キャラクターを軸にライセンス・物販・テーマパークと多角的に展開しているのです。
まず株価の動きを振り返る
サンリオの株価は、この1年でジェットコースターのような動きを見せました。
・2025年8月:上場来高値をつける
キャラクタービジネスの好調や大阪・関西万博でのコラボ成功などを背景に、株価は上場来高値(分割前で8,685円)をつけました。市場の期待は最高潮でした。
・2025年11月ごろ:暴落
高値をつけた後、株価は長く下落基調に入ります。2026年には800円台(分割後)まで下がり、高値からの下落率は50%を超えました。好業績が続いていたにもかかわらず、株価はほぼ半値になったのです。
なお、サンリオは2026年4月1日付で1株を5株に分割しているため、現在の株価は分割後の数字で見ています。

株価が暴落した3つの理由
【理由①】好決算でも期待を超えられなかった
サンリオ暴落の最大の理由は、皮肉なことに「期待が高すぎたこと」にあります。
2025年8月の高値の時点で、サンリオのPER(株価が1株あたり利益の何倍かを示す指標)は25倍を超えていました。
東証プライムの平均が18倍程度であることを考えると、かなり割高な水準であり、「将来もっと成長する」という期待が株価に織り込まれていたことを意味します。
サンリオは増収増益を続けていましたが、市場は増収増益では満足せず、「期待を上回る増収増益」を求めます。
良い決算を出しても、それが事前の期待ほどでないと期待外れとして売られてしまうのです。
高い期待で買い上げられていた反動で、決算のたびに少しずつ失望売りが出て、株価はだらだらと下げていきました。
【理由②】中国リスクへの警戒が広がった
2つ目は、中国をめぐる懸念です。
サンリオは中国でも大きく事業を展開しており、中国を含むアジア地域は売上の大きな部分を占めています。中国国内でのライセンス事業や店舗販売が伸びていることは、成長の原動力であると同時にリスクでもあります。
日中関係が悪化すると、中国でのキャラクター商品の販売や日本へのインバウンド(訪日中国人)消費に影響が出る恐れがあります。
2025年後半には高市政権誕生後に日中関係の緊張が意識される場面があり、中国依存がリスクとして警戒され、株価の重しになりました。
【理由③】決算発表の延期とガバナンス問題
サンリオは、2026年5月13日に予定していた通期決算の発表を、突然延期すると発表しました。
理由は、元常務取締役が米国子会社から不適切な報酬を受け取っていた疑いが発覚し、特別調査委員会を設置することになったためです。
調査の結果、この元常務は米国子会社から、正式な承認手続きを経ないまま生活費補助などの名目で総額約168万米ドル(約2.5億円)を受給していたことが発表されました。
伝統ある会社で起きたガバナンスの問題は、投資家に「裏切られた」という印象を与えました。決算発表の延期という異例の事態も加わり、株価の不安要素となりました。
6月の決算が期待を超える好成績だった
ここまで暴落の理由を見てきましたが、流れを変えたのが2026年6月23日に発表された通期決算です。中身は、市場の不安を吹き飛ばす力強いものでした。
過去最高益を大幅更新
2026年3月期の売上高は1,940億円(前年比+33.9%)、調整後営業利益は784億円(+41.0%)。5期連続の増収増益で、いずれも過去最高を更新しました。
地域別に見ると、日本が+31.2%、欧州が+83.6%、アジアが+62.6%と各地域で好調。特に欧州はファストファッションブランドとの連携が効いて、貢献利益が前年比+113.3%と倍以上に伸びています。

画像引用元:株式会社サンリオ 2026年3月期通期 決算説明資料12P
株主還元を大幅に強化
配当は1株69円と前年から16円増配。さらに総還元性向(利益のうち株主に還元する割合)を前年の30.1%から58.3%へ大幅に引き上げました。株主を重視する姿勢を明確に打ち出したのです。
ガバナンス問題の影響は軽微と判明
懸念されていた元常務の報酬問題については、連結業績への虚偽は確認されず、今後の調査費用の影響も軽微と説明されました。
社長は辞任こそしないものの月例報酬の30%(3か月分)を返納するなど、けじめをつける対応を示しています。
・業績は絶好調
・株主還元も強化
・ガバナンス問題の業績影響は限定的
この3点がそろったことで、暴落の理由として警戒されていた要素の多くが払拭され、株価は急騰しました。
サンリオの今後の見通し
サンリオは2027年3月期も、力強い成長を見込んでいます。
会社の業績予想は、売上高2,298億円(+18.4%)、調整後営業利益888億円(+13.2%)。達成すれば6期連続の増収増益・過去最高益更新となります。

画像引用元:株式会社サンリオ 2026年3月期通期 決算説明資料20P
成長を支える材料も豊富です。
まず、北米でのデジタル施策が効果を上げています。
決算説明会の質疑応答によると、SNS全体のインプレッション(表示回数)が前年比+25%、YouTube視聴者数が約2倍、ECサイトの閲覧数が+42%と指標が大きく伸びています。
関税の影響で北米の数字は一時的に鈍化したものの、ブランドの勢いそのものは強まっています。
最も大きな期待は、2028年7月公開予定のハリウッド映画です。ワーナー・ブラザースによるサンリオキャラクター初のハリウッド映画で、世界的な認知拡大につながる可能性があります。
中国事業も店舗数は59店舗規模に拡大しながら、まだ主要都市が中心で、市場規模に対しては成長余地が大きいとしています。
一方で、注意すべき点もあります。米国の関税政策の影響は依然として残っており、ライセンシー(ライセンスを借りる企業)の発注遅延などが起きています。
また、マーケティング投資を強化するため、売上に対する販管費の比率は37.2%から38.8%へ上昇する見込みです。投資が先行する分、利益率はやや低下します。
そして、株価が急騰したことで、再び高PERの状態に戻りつつあります。今後も「期待を超え続けられるか」が、株価を左右する最大のポイントになるでしょう。
まとめ
サンリオの株価が50%以上も暴落したのは、業績が悪化したからではありません。
暴落の本当の理由は、高すぎた期待の反動、中国リスクへの警戒、そして決算延期とガバナンス問題による信頼の低下が重なったことにありました。
しかし2026年6月の決算は、過去最高益と大幅増配でその不安の多くを払拭し、株価は急騰しました。2028年のハリウッド映画という大きな夢もあり、今後の成長にも目が離せません。
ただし、株価が戻ったことで再び高い期待が織り込まれつつあります。
サンリオは期待を超える決算を求められる銘柄です。今後も四半期ごとの業績と、関税・中国情勢の動向を確認しながら、冷静な目で向き合いたい銘柄といえるでしょう。



