「丸亀製麺、あんなに繁盛してるのに、なんでトリドールの株価は下がってるの?」
「トリドールの株価ってPERが高すぎない?今から買っても大丈夫?」
トリドールホールディングス(証券コード:3397)は、丸亀製麺を運営する外食大手です。丸亀製麺は過去最高の売上・利益を叩き出しているのに、株価は2025年8月の高値5,400円付近から2026年には3,500円台まで下落しました。
本業が絶好調なのに、なぜ株価は下がったのか。そして割高と言われるPERの高さは、今から買う人にとって危険なのか。
最新の決算データをもとに、下落の理由と今後の見通しをわかりやすく解説します。
トリドールってどんな会社?
トリドールは、丸亀製麺を中核とする外食チェーンの会社です。
丸亀製麺は、安くて美味しい讃岐うどんを、目の前で調理するライブ感とともに提供するスタイルで、外食チェーンの中でも屈指の人気を誇ります。
ただ、トリドールは丸亀製麺だけの会社ではありません。事業は大きく3つに分かれています。丸亀製麺、国内その他(コナズ珈琲、ずんどう屋、天ぷらのまきの、やきとり屋とりどーるなど多数のブランド)、そして海外事業です。
特に近年は海外展開に力を入れており、香港などで人気の麺料理「Tam Jai(タムジャイ)」、丸亀製麺の海外版「MARUGAME UDON」、そして2023年に買収したイギリスのピザ事業「Fulham(フランコマンカなど)」を抱えています。
この海外事業が、今回の株価下落に深く関わってきます。
まず株価の動きを振り返る
トリドールの株価は、この1年、明確な下落トレンドをたどりました。

参照:Trading View
2025年8月には5,400円付近の高値をつけていましたが、そこから株価はじりじりと値を下げ続けました。
2025年秋には5,000円を割り込み、2026年に入っても下落は止まらず、4,200円前後での推移を経て2026年6月には一時3,500円台まで下落しました。
直近では3,800円前後まで小幅に戻していますが、下落トレンドから明確に抜け出したとは言えない状況です。
本業の丸亀製麺は絶好調です。それなのに、なぜ株価はここまで下がったのでしょうか。3つの理由を見ていきます。
トリドールの株価が下落した3つの理由
【理由①】英ピザ事業の減損で利益が大きく削られた
最大の理由は、イギリスのピザ事業Fulhamの不振です。
2026年3月期の決算を見ると、本業の実力を示す事業利益は215億円で過去最高でした。丸亀製麺も海外事業も、それぞれ過去最高の事業利益を記録しています。

画像引用元:株式会社トリドールホールディングス 2026年3月期 決算説明資料・6P
ところが、その先の「営業利益」は106億円まで減ってしまいました。事業利益と営業利益の間で、100億円以上もの利益が消えているのです。
原因は、減損損失です。減損とは、買収した会社の価値が想定より下がったときに、その目減り分を会計上の損失として計上する処理のことです。
トリドールが2023年に買収したイギリスのFulhamShoreは、買収後にイギリスの金利上昇・高インフレ・人件費上昇という逆風に直撃しました。
外食市場が低迷し、Fulhamの業績が悪化して減損を迫られ、それが今期の利益を大きく削ったのです。

画像引用元:株式会社トリドールホールディングス 2026年3月期 決算説明資料・16P
本業は絶好調なのに、過去の海外買収のつまずきが利益を直撃したことが、投資家の失望を招きました。
【理由②】最終的な利益が会社計画に届かなかった
減損の影響は、最終的な利益(純利益)により表れます。
2026年3月期の親会社株主に帰属する当期利益は23億円でした。前年からは増益ですが、55億円の純利益を計画から比較して、達成率はわずか42%にとどまったのです。
会社が「これくらい稼げる」と見込んだ利益の半分以下しか達成できなかった。この大幅な未達が、投資家の信頼を揺るがし、株価の下押し圧力になりました。
【理由③】もともと割高だった株価の調整
3つ目は、株価そのものの割高感です。
トリドールは長らく、PER(株価収益率=株価が1株あたり利益の何倍かを示す指標)が非常に高い銘柄として知られてきました。
株価が高値圏にあった時期には、PERが70倍を超える場面もありました。
PERは数字が大きいほど、利益に対して株価が割高であることを意味します。東証プライムの平均が15~16倍程度であることを考えると、70倍超という水準は、将来の成長への期待が膨らんだ状態でした。
これだけ高い期待が乗っていると、少しでも期待を裏切る材料が出たときに、失望売りが出やすくなります。高い期待の反動で株価が調整した、という側面も見逃せません。
トリドールの株価が高いのはなぜ?
株価が下落した現在でも、トリドールのPERは約48倍前後と、依然として高い水準にあります。将来の成長への強い期待から、まだまだ投資家には人気の銘柄といえるでしょう。
丸亀製麺は国内で過去最高を更新し続け、うどんの海外版「MARUGAME UDON」は台湾や米国で好調に伸びています。
日本のうどんが世界で通用することが証明されつつあり、外食のグローバル企業として、まだまだ成長する余地があると市場は見ています。
つまり投資家は、「海外でどれだけ成長するか」という未来を織り込んで株を買っているのです。だからこそ、目先の利益に対しては割高に見えるPERがついています。
トリドールの今後の見通し:利益回復の仕込みフェーズ
今後を考える上で、明るい材料と注意すべき点の両方を見ておきましょう。
まず明るい材料です。2027年3月期の会社計画は、売上収益2,870億円、営業利益170億円、純利益70億円です。
営業利益は前期比+60.7%、純利益にいたっては+202.9%と、大幅な回復を見込んでいます。

画像引用元:株式会社トリドールホールディングス 2026年3月期 決算説明資料・21P
利益回復の最大の要因は、今期の利益を圧迫したFulhamの減損が一巡することです。
会社はFulhamについて、不振だったギリシャ料理業態「ザ リアル グリーク」から撤退し、主力のピザ業態フランコマンカの不採算店舗を整理する、抜本的な事業再建に着手。
店舗整理で組織を効率化し、来期は利益を取り戻す見込みである局面を、次の成長に向けた仕込みのフェーズと位置づけています。
一方で、注意すべき点もあります。
海外M&A(企業買収)の難しさは、今回のFulhamで露呈した通りです。自分たちで育てたうどん事業は海外でも通用しましたが、他社を買って統合するのは、タイミングや現地の経済環境に大きく左右されます。
Fulhamの再建が計画通り進むかは、引き続き注視が必要です。
また、原材料費の高騰や人手不足による人件費上昇は、外食業界全体に重くのしかかっています。
これを値上げでカバーしつつ客離れを防げるか、そして海外事業が安定した利益の柱に育つか。これらが、今の高いPERを正当化できるかどうかの分かれ目になります。
まとめ
トリドールの株価が下落したのは、イギリスのピザ事業Fulhamの減損損失が大きく関わっています。
利益を大きく削り、最終利益が会社計画を大幅に下回ったこと、そしてもともと割高だった株価が調整したことにありました。
ただ、来期はFulhamの減損が一巡し、営業利益は+60%の大幅回復が計画されています。会社は今を「仕込み」のフェーズと位置づけ、次の成長へ向けて構造改革を進めています。
PERが約48倍と依然高い水準にあるのは、丸亀製麺の海外展開をはじめとする将来の成長期待の表れです。
うどん人気の裏で進む海外事業の立て直しを、決算ごとに確認しながら見守りたい銘柄といえるでしょう。


