今回解説していく通貨はノルウェー・クローネ円(NOK/JPY)とスウェーデン・クローナ円(SEK/JPY)です。両通貨とも上昇トレンド内ながら調整局面に入ったことが明確になってきました。ここからは今後の調整余地を見極めながら慎重な動きが求められるでしょう。
ファンダメンタルズ面では、ノルウェー中銀は利上げへと金融政策を転換した後もタカ派姿勢を維持。スウェーデン中銀もインフレ警戒姿勢を示し、市場では年内に利上げに動くとの声も聞かれています。
今後の相場の焦点:ノルウェー中銀は9月会合時の見通しに注目、スウェーデン中銀も年内に利上げ開始か
まずはノルウェーおよびスウェーデンの現在の金融政策状況を確認していきます。
ノルウェー中銀(ノルゲバンク)は2025年6月から金融緩和を開始。2025年9月には政策金利を4.00%まで引き下げていましたが、2026年5月から金融引き締めへと転じました。現在の政策金利は4.25%となっています。
金利の据え置きを決めた直近8月会合時の声明文では
・インフレ率は依然として目標値を大幅に上回っており、近年の企業コストの急速な上昇は、今後もインフレ率の高止まりを招くだろう
・インフレ率を妥当な期間内に目標値まで引き下げるためには、依然として金融引き締め政策が必要であると判断
・インフレ率は予想を下回っているものの、6月からインフレ見通しが大きく変化したと結論付けるのは時期尚早
・政策金利の引き上げが必要になる可能性は依然としてある
などの見解を示しました。
次回会合(9月24日)での追加利上げなどは示唆しなかったものの、総じてインフレ警戒とタカ派的姿勢を維持しました。なお、次回会合では新たな経済・インフレ見通しが示される見込みとなっており、注目を集めそうです。
スウェーデン中銀(リクスバンク)は2022年4月に金融引き締めを開始。2023年9月には政策金利を4.00%まで引き上げていましたが、2024年5月から金融緩和局面へと移行しました。現在の政策金利は1.75%です。
金利据え置きを決めた直近8月会合時の声明文では
・中東における供給ショックの影響で、基調的なインフレ率が高くなりすぎるリスクも依然として残っている
・年内に利上げが行われる可能性は依然としてある
・夏に見られた予想外のインフレ率の上昇が、より大規模かつ持続的なインフレ加速の始まりであるとすれば、リクスバンクは金融政策をより引き締め的な方向へと調整することになるだろう
などの見解が示されました。
テデーン総裁も「時期はなおも不透明ながら、次の政策金利変更は利上げになる必要があると判断している」と言及しており、市場では年内に中銀が金利引き上げに動く可能性があるとみているようです。
NOK円 週足チャート分析:調整余地拡大の可能性を意識すべき
ではテクニカル面でも現在の状況を確認していきましょう。下図はノルウェー・クローネ(NOK)円の週足チャートになります。

NOK円は2020年3月に史上最安値となる8.97円まで下落した後は買い戻し基調となっています。現在は2023年3月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の青色実線)にあり、しばらくは2025年4月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)も維持してきましたが、今年6月になって下抜けてきました。
また、チャート下部に追加した「DMI」でも-DI>+DI(下落トレンド)を示唆。2013-14年の間に何度もレジスタンスとして意識されていた17円台(チャート上の四角で囲った部分)で再び頭を抑えられた上での伸び悩みとあって、目先の調整リスクも高まっていると捉えるべきでしょう。特に今年6月末につけた直近安値の16.24円付近を下抜けると調整余地の拡大も見込まれるだけに注意が必要となります。
SEK円 週足チャート分析:上昇トレンド内の調整局面に移行
次はスウェーデン・クローナ(SEK)円について、テクニカル面で現在の状況を確認していきましょう。下図はSEK円の週足チャートになります。

SEK円は2020年3月に直近安値をつけた後の買い戻し基調を維持。ただ、1998年および2007-08年につけた18円台に届くことなく失速しており、現在は上昇トレンド内の調整局面とみるべきでしょう。チャート下部に追加した「DMI」で確認しても-DI>+DIと下落トレンドを示唆しています。
中長期視点では押し買い方針の継続で問題ありませんが、調整余地を見極めながら慎重に進めたいところです。今後の下値目処としては2024年安値から2026年高値までの上昇幅に対する半値押し水準(15.46円)、2024年7月高値の15.42円などが意識されるでしょう。
今後の取引材料・変動要因をチェック:日銀の利上げで金利優位性は弱まる
最後に今後1カ月間の経済指標や重要イベント等も確認しておきます。注目は日本・ノルウェー・スウェーデンの金融政策。現状では日銀が0.25%の利上げ、ノルウェーとスウェーデンは金利据え置きとなる見込みです。対円で金利面の優位性が徐々に弱まるなか、為替市場への影響も注目されます。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
・9月17-18日 日本 日銀金融政策決定会合
・9月18日 日本 8月全国消費者物価指数(CPI)
・9月24日 スウェーデン スウェーデン中銀、政策金利公表
・9月24日 ノルウェー ノルウェー中銀、政策金利公表
・10月7日 スウェーデン 9月CPI
・10月12日 ノルウェー 9月CPI



