ビットコイン、下値を探る動きに
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年9月16日12時頃、対円では前週(7日前)比2.6%安の1180万円前後で取引されています。BTCドルが3.6%安の7万5900ドル台と、ドル買い円売り戻しとなった為替の影響を少し受けています。
BTC円は9月10日、11日と1200万円を割り込んで弱含み、週末や週明けに何度か反発した場面でも1230万円には届きませんでした。米長期金利が上昇幅を広げた15日夜中には、8月後半以来の1164万円前後まで売られました。
BTCドルも7万7000ドル割れからの持ち直しは8万ドル手前まででした。15日のニューヨーク午後につけた7万9600ドル前後を上値に、一時は約4週間ぶりに7万5000ドルを下回りました。逆に原油先物は上昇基調を強めています。混乱が続く中東情勢を受けた動きであり、同時にインフレ懸念も高まっています。

※Trading Viewより
今週の下落、3つの重なりが招いた
8月末から9月上旬にかけての大規模なETF流入が一転、9月第2週(8日-11日)に約4.6億ドルの純流出へ転換しました。特に10日の単日流出は約2.8億ドルと今年最大規模で、先週まで「支え」だったETFが一気に重しへ変わりました。
「米国ビットコインスポットETF、1週間で4626万ドルの純流出を記録」
金利面でも逆風が強まりました。8月の米卸売物価指数(PPI)が予想を上回り、消費者物価指数(CPI)もインフレの高止まりを証明。米10年国債利回りが5%を超える水準まで上昇しました。9月FOMCでの利上げ観測が急浮上し、金利を生まないビットコインには直接的な売り材料となりました。
「Bitcoin Drops Below $77,000 After Hotter-Than-Expected PPI Report」
さらに9月15日、米上院で暗号資産の包括的な規制法案「CLARITY法案」の討論終結動議が賛成49・反対50で否決されました。法案を前進させるには60票が必要で、大きく届きませんでした。
これまで「規制整備が進みつつある」という期待が相場を支える材料の一つでしたが、今回の否決で短期的な期待が剥落。BTCは一時7万5000ドル付近まで急落しました。ETF流出、金利上昇、規制の後退という3つの逆風が重なった週となりました。
「Crypto’s push into Wall Street suffers setback after Clarity Act fails to clear key vote」
※Trading Viewより
ストライブ、BTC購入を継続
企業によるBTC購入の動きは続いています。米資産運用会社ストライブ(Strive)が469BTCを追加購入し、保有量が2万5000BTCに達しました。Striveはビットコインを中心に据えた投資戦略を掲げる企業で、ストラテジー社と並ぶ「BTCトレジャリー企業」として注目されています。
特徴的なのは資金調達の方法です。今回の購入資金はすべて、毎平日に配当を支払う優先株「SATA」の発行で賄われており、その想定元本残高は10億ドルを超えました。
株式や社債を発行してBTCを買い続けるというモデルは、うまく回っている間は強力ですが、BTC価格が下落すると株価も下がり資金調達コストが上昇するという逆回転のリスクも内包しています。ストラテジーが先行して証明してきた手法をストライブがどこまで続けられるか、引き続き注目です。
「Strive Crosses 25,000 Bitcoin After an All-SATA Financed Buy」
量子コンピューターの脅威、一歩近づいた?
第206回でビットコイン・セキュリティ・コンソーシアムの設立をお伝えしましたが、その背景にある「量子コンピューターの脅威」が具体的な進展を見せています。研究者たちが、ビットコインとイーサリアムの暗号技術を破るために必要な量子計算の資源量のベンチマーク(目安)を、従来の半分にまで引き下げることに成功したと報告されました。
ただし誤解のないよう補足すると、これは「今すぐ暗号が破られる」という話ではありません。現在の量子コンピューターは実験段階にあり、実際の攻撃に使えるレベルには至っていません。ビットコイン側も耐量子暗号への移行に向けた研究が進んでいます。
今回の報告は「脅威が遠い将来の話ではなくなりつつある」という意味で注目すべき進展であり、長期保有を考える方は動向を頭の片隅に置いておくとよいかもしれません。
「Crypto researchers cut Bitcoin and Ethereum quantum attack estimate by 50%」
伝統金融、暗号資産インフラに本格参入
個別の企業がビットコインを買うという話とは別に、金融の「インフラ」レベルで暗号資産との融合が進む動きが相次いでいます。米株式取引所ナスダック(Nasdaq)がビットコイン取引所クラーケン(Kraken)の親会社に1億ドルを出資し、トークン化株式の取引インフラの共同構築に乗り出しました。
「Nasdaq to invest $100 million in Kraken parent to deepen tokenization push」
また、コインベース(Coinbase)とフィンテックのMoovが地域銀行や信用組合向けにステーブルコイン決済基盤を提供する提携を発表。さらにS&Pグローバルが暗号資産データ企業Kaikoに戦略投資を行いました。
「Coinbase, Moov to bring stablecoin payment infrastructure to community banks and credit unions」
3つの動きに共通するのは、大手金融機関が暗号資産を「投資対象」としてではなく「インフラ」として取り込もうとしているという点です。取引所、決済、データという金融の根幹に関わる部分に暗号資産が組み込まれていくことは、相場の短期的な上下とは切り離して考えるべき構造的な変化です。規制整備が遅れる一方で、市場の実態はすでに次のステージに移りつつあります。
「S&P Global leads strategic investment in crypto data firm Kaiko, extending Series B to $110 million」



