「銀行株はおすすめしない」は本当か?そう言われる4つの理由と失敗しない投資の考え

「銀行株はおすすめしないって聞くけど、本当なの?」

「メガバンクの株価が上がってきたけど今から買っても大丈夫?」

三菱UFJや三井住友などの銀行株は、高配当株の代表格として人気があります。ここ数年は業績も株価も好調で、5年前と比べると株価が数倍になった銘柄も。

それなのに、なぜ「銀行株はおすすめしない」という声が聞かれるのでしょうか。

結論から言うと、おすすめしないと言われるのには、もっともな理由があります。ただし、それは銀行株がダメという意味ではなく、買い方に注意が必要という話です。

この記事では、おすすめしないと言われる理由を整理した上で、失敗しない付き合い方まで解説します。


なぜ銀行株はおすすめしないと言われるのか

まず、大きな流れを押さえておきましょう。

銀行株は、2022年末ごろから大きく上昇してきました。きっかけは、日本の金利が上がり始めたことです。銀行はお金を貸して利息で稼ぐビジネスなので、金利が上がると儲けが増えます。この期待から、銀行株は買われ続けました。

ところが、ここにきて「おすすめしない」という声が増えています。理由は、株価が上がりきったことで、お得感が薄れてきたからです。

具体的に、どんな点が問題視されているのか。4つの理由を見ていきましょう。


おすすめしないと言われる4つの理由


【理由1】金利政策次第で株価が大きく動く

1つ目は、金利に業績と株価が大きく左右されることです。

銀行株が上がってきたのは金利上昇のおかげですが、裏を返すと金利次第で株価が乱高下するということです。

日銀が利上げを進めれば銀行の追い風になりますが、逆に利上げのペースが鈍ったり利下げが始まると売られます。

さらに、利上げが早すぎると今度は景気の悪化が心配され、売り材料になります。金融政策の動き一つで株価が振り回されやすいのが、銀行株の特徴です。


【理由2】PBRが1倍を大きく超え割安感が消えた

2つ目は、割安感がなくなったことです。

かつて銀行株はPBR1倍割れの代表格でした。PBR(株価純資産倍率)とは、会社の解散価値に対して株価が割安かどうかを示す指標で、1倍を下回ると割安とされます。

数年前のメガバンクは、このPBRが0.4~0.5倍という激安水準に放置されていました。

ところが株価が大きく上昇した結果、今ではメガバンク3社(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)のPBRは約1.5~1.7倍まで切り上がっています。

かつての解散価値より安いというお得感は、すっかり消えてしまいました。

安いから買われていた株が、普通の値段に戻ったことで上値が重くなっていると見られています。


【理由3】株価上昇で配当利回りが4%を割った

3つ目は、配当の魅力が薄れたことです。

銀行株は高配当が魅力でした。しかし、配当利回りは「1株あたり配当 ÷ 株価」で計算されるため、株価が上がると利回りは下がります。

各社は増配を続けていますが、株価の上昇スピードの方が速く、利回りは低下しています。

実際、2026年時点でメガバンクの予想配当利回りは、三菱UFJが約3.0%、三井住友が約2.8%、みずほにいたっては約1.9%と4%を下回っています。

高配当株として買うには、以前ほどの利回りが得られなくなっているのです。


【理由4】景気後退時の貸し倒れリスク

4つ目は、景気に弱いという構造的な弱点です。

銀行は企業にお金を貸しています。景気が良いときは問題ありませんが、不況になると、お金を借りた企業が倒産して返済できなくなる貸し倒れが増えます。

貸し倒れが増えると、銀行はお金を積み増す必要があり、その分だけ利益が圧迫されます。

つまり銀行株は、景気の波をもろに受ける景気敏感株なのです。米中対立の激化や予想外の経済ショックなど、景気が悪化する場面では売られやすい側面があります。



長期で有望と今が買い時は別の話

ここまで4つの理由を見て、「やっぱり銀行株はダメなのか」と思ったかもしれません。

しかし、大事なのは銀行株が長期で有望かどうかと今この瞬間が買い時かどうかは、まったく別の話だということです。

長期的に見れば、日本の銀行株には期待できる要素があります。日本が長く続いたデフレを抜け出し、緩やかなインフレと金利のある世界に移行しつつあることは、銀行にとって追い風です。

さらに、メガバンクを中心にROE(自己資本利益率)の目標を掲げて経営効率を高めたり、増配や自社株買いといった株主還元を強化したりする動きが続いています。長期の高配当投資の対象として、注目であることは間違いありません。

長期で有望だからといって、割高になったタイミングで慌てて買う必要はありません。


銀行株を新規で買う・失敗しない3つの基準

では、これから銀行株を買うときに判断したい3つの基準を紹介します。


【基準1】配当利回り4%以上を目安にする

配当目当てで買うなら配当利回り4%以上を一つの目安にする考え方があります。

「今は利回り3%だけど、これから増配されるはず」と期待して低い利回りで買うと、思惑が外れたときに苦しくなります。

あくまで現時点の配当額をもとに、利回り4%以上で買えるかを基準にすると堅実な判断ができます。

現在のメガバンクは利回りが4%を割っているため、この基準に従うなら「利回りが上がるのを待つ」という判断になります。


【基準2】市場全体が急落した局面を狙う

値上がり益も狙いたいなら、市場全体が急落したタイミングを待つ、という戦略があります。

株価は、個別の会社が良い・悪いとは関係なく、市場全体が不況になる場面で大きく下がることがあります。過去のコロナショックのような暴落局面です。

暴落局面では、優良な銀行株も一緒に安くなります。

銀行株のような景気敏感株は、全体の急落局面で買う方が、高値づかみを避けやすくなります。日頃から資金を準備しておき、チャンスが来たら動けるようにしておくのが理想です。


【基準3】長期保有・買い増し前提で少しずつ

もし「5年先、10年先を見て持ち続ける」という覚悟があるなら、今から少しずつ買っていくのも一つの方法です。

その場合、一度に資金を投入するのではなく、時間を分けて少しずつ買う分割購入が賢明です。買った後に株価が下がっても、より安い価格で買い増すことができ、平均の取得価格を抑えられます。

値動きに一喜一憂せず、長期でじっくり付き合う姿勢が前提になります。



銀行株を持っている人はどうすべきか

すでに銀行株を長く保有している人は、どう考えればいいでしょうか。

結論から言えば、長期保有を前提に持っているなら、上値が重いという理由だけで慌てて売る必要はないと考えられます。

前述の通り、日本の銀行株は長期的にはインフレ・金利上昇の追い風を受ける立場にあり、株主還元も強化されています。

数年前の安い時期から持っている人にとっては、含み益も大きく、配当を受け取りながら保有を続ける選択も一定の合理性があります。

もちろん、株価が良い水準まで上がったと感じたら、一部を利益確定するのも自由です。大切なのは「新規で今買うべきか」と「すでに持っている株をどうするか」を分けて考えることです。

この2つは、まったく別の判断だからです。


まとめ

「銀行株はおすすめしない」という言葉は、半分正しく、半分は誤解です。

正しいのは、株価が上がりきった結果、割安感が薄れて配当利回りも下がり、今から新規で買うには妙味が薄れているということ。金利や景気に左右されやすい弱点もあります。

誤解なのは、銀行株そのものがダメという意味ではないことです。

長期的には、日本の銀行株はインフレと金利のある世界で有望な銘柄に違いはありません。したがって、配当利回り4%以上を目安にしたり、市場全体の急落を待ったりと、買うタイミングと基準を意識することが大切です。

すでに銀行株を持っている人は慌てて売る必要はなく、これから買う人は焦らず良い局面を待つ。銀行株とは、落ち着いた距離感で付き合うのが、失敗しないコツだといえるでしょう。

 

独立系ファイナンシャルプランナー

藤崎 竜也

「独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。2019年から教育資金や老後資金を蓄えるために投資を始める。実体験をもとに、専門用語をわかりやすく解説するのが得意。2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を取得し、現在は金融ジャンル(資産運用・投資・不動産・保険)をメインに執筆している。

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