キオクシアホールディングス<285A.T>の決算が7月31日に迫っています。株価の方は激しく揺れ動く展開が続いており、7月30日には安値36020円まで売られる場面がありました。
相場格言に「半値八掛け二割引」という言葉がありますが、それを当てはめると6月22日につけた高値11万2700円からの水準は36064円となります。キオクシアが大幅に下げ始めたころから、同格言をよく耳にするようにはなっていましたが、実際にはさすがに36000円までは下がらないだろうと個人的には思っていました。よもや現実にそこまで下がってくるとはと驚かされました。
もう一つの驚きは、「半値八掛け二割引」の水準でピタリと下げ止まり、一時大きく反発したことです。30日の取引では安値36020円を付けた後、45040円まで上昇する場面がありました。その後は地合いの影響もあり、再びマイナスに転じるなどまだ完全に底打ちしたと言えるほどの安定感は感じませんが、多くの人が「半値八掛け二割引」を意識していたのだと感じる値動きでした。
キオクシア日足チャート

そんなキオクシア株ですが、決算さえ通過すれば値動きも落ち着いてくるだろうという声を市場関係者や投資家からは聞きます。5月の本決算と1Q予想発表時には、利益の伸び具合に衝撃を受けましたが、それをもとに2Q以降のアナリスト予想は大幅に引き上げられており、コンセンサスを超えることは簡単ではありません。
さらに、直近の半導体銘柄の値動きを見ていると、市場予想を上回ったのに売られるといった動きも散見されます。そうした警戒がさらに足もとのキオクシアの株価について、上値を抑える要因になっている面もあるでしょう。
また、配当に関するアナウンスがあるかどうかも注目されます。同社では基本路線として2027年度から配当を開始する方針を掲げています。一方で、キャッシュフローが想定以上に強い場合には2026年度下期からの前倒しも検討するとしており、今期中の配当に期待する向きがあります。下期配当の実施については、アナウンスがあるとすれば上期時点、つまり次の四半期のタイミングの可能性が高いとは個人的に思っていますが、配当性向など何らかの基準について示されるようなことがあれば、好感する動きが見られるかもしれません。
決算が大注目ではありますが、市場関係者の間で、もう一つ注目されていることがあります。それは米国の金融市場において進められている、キオクシアを対象とした個別株レバレッジ型ETFの上場申請についてです。証券取引委員会(SEC)の公開資料からもそれを確認することができます(URLは申請中のうちの一部)。
これが実現すれば日本企業を対象とする個別株レバレッジETFの初めての事例となりますが、市場関係者の間では懸念の声も上がっています。レバレッジ型ETFは、日次の目標倍率を維持するために毎営業日ごとに、資産の機械的な再配分を行う構造になっています。この取引規模が市場に推測されることで、ヘッジファンド等による先回り売買が誘発され、対象株の価格変動が本来以上に拡大するリスクが指摘されています。
こうした歪みについては、韓国市場での過熱が先行事例として挙げられます。同国では半導体銘柄を対象とした商品への資金集中から市場全体の変動性が極端に高まり、金融当局が規制の導入を前倒しする対応を余儀なくされました。その結果、国内の関連株にも連鎖的な下落が生じるなど、影響が現れ始めています。
東京証券取引所では、7月29日現在個別株のレバETFは上場していませんが、米国市場を通じた国内株への波及は避けられません。企業本来の業績とは異なる要因で株価が揺さぶられる展開に対し、今後の動向を慎重に見極める必要があります。



