このところフランスの情勢が不安定です。報道番組でも取り上げられているようにデモが大規模化しており、歴史的建造物や庁舎への放火、店舗での略奪など目を覆いたくなる状況。現時点で2000人以上が拘束されたようです。
今回の暴動が欧州各地に波及しており、イタリアやベルギーなどでもデモが発生しているとのこと。日本と欧州の距離自体は遠いものの、経済、金融など多方面で密接に関係していますので、少なからずマーケットには影響が見られます。
なお、今回のフランス暴動の経緯について各メディアの報道をまとめると、以下のような流れになります。
・9月17~21日:パリ郊外クレテイユの高校で、教員不足に抗議して生徒が行動を開始
・9月下旬:パリ郊外から全国へ拡大
・9月28日:逮捕者164人。首相が極左政党LFIの扇動を非難
・10月1日:1000校以上に波及
・10月5日:ランスで15歳が警察の手榴弾で手を失う。
・10月6日:全国デモ
・10月7日:閃光手榴弾の使用を停止
・10月8日:政府が代替教員の配置を表明。包括策は10月末に発表予定
・10月13日:再び全国デモ
・10月17日:生活費抗議の「黄色いベスト」と合流。暴動・略奪に発展
・10月18日:マクロン大統領がテレビ演説で暴力を非難
・10月19日以降:政府が関係者を集めて対策を協議中。夜間外出禁止令を実施
金融市場にも影響
フランスの政治不安をきっかけに、金融市場でもフランス国債を売る動きが強まりました。日本や米国では10年債利回りの上昇(長期金利の上昇)が続いていましたが、10月中旬から10年債利回りがストンと低下。10月21日時点で日本は2.8%台まで下げており、日米の国債が買われて価格が上昇(利回りは低下)している証拠となります。
日米はインフレ懸念、利上げ継続路線から10年債利回りは上昇基調にありましたが、それ以上に安全資産としての側面が強まったためと言えます。長期金利の低下は企業の借り入れコスト低下につながるほか、イールドスプレッド(10年債利回り-1株益利回りや配当利回り)が拡大することで株式市場にとってはプラスに働きやすくなります。
一方で、欧州発の景気懸念からリスクが大きい株式などから、国債に資金を移そうという動きもあると考えられ、手放しでは喜べません。AI投資が続くのか?といった懸念もくすぶるなか、投資の難易度は一段と高まっていると言えます。

※各種データを基に弊社作成(9/2を100として指数化 ~10/20まで)
フランス暴動が落ち着いたら?
いつ終息するのか分からず混迷を極めますが、国家として取り返しのつかない状況とならず落ち着いていった場合は、揺り戻しが考えられます。フランス国債に資金が戻り、一方で資金の退避先だった日米の国債からは資金が流出。これまでのシナリオであるインフレ懸念と利上げ基調による長期金利の上昇が起こるかもしれません。
そうなった場合、株式市場にはマイナスの影響が想定されます。フランスが落ち着きを取り戻すのは良いことに間違いありませんが、投資の側面では違った様相となる可能性もあるので、注意深く動向を見ていく必要がありそうです。



