2026年に入ってから、金利上昇が続いています。長期金利の代表的な指標である10年国債利回りは、4月30日には節目とされていた2.5%を超え、一時2.52%をつけました。1997年6月以来、29年ぶりの水準です。
このごろよく聞く「長期金利の上昇」とは
この金利上昇は、原油価格の上昇や外国為替市場での円安などインフレ圧力の高まりがあると考えられます。市場では、将来の物価や金利の見通しが現在の長期金利に反映されるからです。
たとえば、原油価格が上昇すると、ガソリンや電気料金など幅広いコストが上がり、物価全体を押し上げる要因になります。物価が上昇すると、将来の金利も高くなると見込まれるため、長期金利は上昇しやすくなります。
また、円安も輸入物価を押し上げるため、同様にインフレ圧力として働きます。こうした動きを受けて、市場では将来の金利上昇が意識され、長期金利の上昇につながります。
また、3月の日本銀行の金融政策決定会合では政策金利は据え置かれたものの、市場では今後の利上げの可能性を意識する動きも見られます。
このような環境の下で、数年前まではゼロ%近辺だった長期金利がどのように推移しているのか、実際にグラフで確認してみましょう。

グラフを見ると、2023年頃から緩やかに上昇していた長期金利が、2024年以降は上昇ペースを速めていることがわかります。特に直近では上昇が加速しており、市場環境が大きく変化していることがうかがえます。
金利と不動産投資信託(REIT)の関係
不動産投資信託(REIT)は、一般的に「金利敏感資産」とも呼ばれ、金利の動きの影響を受けやすい特徴があります。実際には、同じ金利環境でもREITの種類や保有物件の特性によって値動きは異なります。たとえば、オフィスビルや商業施設、物流施設などに投資するREITがあり、それぞれ収益構造も異なります。
ここではビギナー向けに、金利が上昇するとREITにはどのような影響があるか、大きな枠組みで説明しましょう。金利がREITに与える影響は、主に2つの側面が考えられます。
まず1つ目は、金融機関の貸出金利が上がり、REITの価格を下げてしまう可能性です。REITは、投資家から集めた資金のほかに、金融機関からも資金を借りて不動産投資を行っています。金利の上昇で利息の負担が増え、その分、REITの利益を圧迫します。
REITは、収益分配金の利回りが高い点が大きな魅力です。収益が縮小すると、投資家に還元できる分配金も低くなります。これを懸念した投資家がREITへの投資を控えると、市場ではREIT価格が下落します。
もう1つは、債券の金利上昇によって相対的にREIT投資の魅力が低下する可能性です。債券投資で高い利回りが得られるのであれば、あえてリスクをとってREITに投資をする必要がありません。リスクを考慮したうえで、債券利回りと比べて十分に高い配当利回りが得られないのであれば、資金はREITから債券に移ってしまいます。
これらのメカニズムを、下記の【図】で整理してみましょう。

それでも単純ではないREIT投資の判断
とはいえ、市場にはさまざまな考えを持った投資家が集まり、取引を行っています。「金利が上昇しているから、REITの投資は控えよう」とか「金利が下がったからREITは買いだ」といったように、単純ではないのがマーケットの動きです。
REITに限らず、株価もそうですが、先取りをする投資家によって価格がすでに織り込まれてしまう傾向にあります。景気を読み、為替の動きをチェックし、先々の金利の動向を見据えてREITや株式の取引を行うのが投資家です。教科書通りに価格が動くとは限りません。
また、インフレになれば、一般的には賃料も上がります。すると、REITの収益も増加します。賃料アップによる収益増が大きければ、金利負担が増えたとしても大きなダメージにならない場合もあるでしょう。
これらに限らず、経済はさまざまな要因が絡み合っています。お互いに影響を与え合って価格が変動しています。投資ビギナーのみなさんには、「AだからB」という判断に引きずられることなく、市場の変化を経験として受け止め、肥やしにし、ご自身の判断基準を少しずつ養っていくことが大切です。
【参考サイト】
財務省トップページ>国債>国債の関連資料・データ>国債金利情報
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/interest_rate/index.htm





