NYマーケットダイジェスト・7日 株高・原油高・ポンド高・ユーロ安

(7日終値)

ドル・円相場:1ドル=136.01円(前営業日比△0.06円)

ユーロ・円相場:1ユーロ=138.17円(▲0.26円)

ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0160ドル(▲0.0022ドル)

ダウ工業株30種平均:31384.55ドル(△346.87ドル)

ナスダック総合株価指数:11621.35(△259.50)

10年物米国債利回り:2.99%(△0.06%)

WTI原油先物8月限:1バレル=102.73ドル(△4.20ドル)

金先物8月限:1トロイオンス=1739.7ドル(△3.2ドル)


※△はプラス、▲はマイナスを表す。


(主な米経済指標) <発表値> <前回発表値>

6月米企業の人員削減数(前年比) 58.8% ▲15.8%

5月米貿易収支 855億ドルの赤字 867億ドルの赤字・改

前週分の米新規失業保険申請件数 23.5万件 23.1万件


※改は改定値、▲はマイナスを表す。


(各市場の動き)

・ユーロドルは3日続落。ロシア産天然ガス供給への不透明感が高まる中、天然ガス価格が上昇すると、エネルギー高が欧州の景気を一段と冷え込ませるとの警戒感が高まった。インフレ高進と欧州中央銀行(ECB)の金融引き締めによるユーロ圏景気の減速懸念から、本日もユーロ売りが出やすい地合いとなった。

 米10年債利回りが約1週ぶりに3%台に上昇したことも相場の重しとなり、一時1.0144ドルと2002年12月以来およそ19年半ぶりの安値を更新した。


・ユーロポンドはユーロ安とポンド高が進んだ影響で、一時0.8445ポンドと5月23日以来の安値を更新した。ジョンソン英首相が辞任の意向を示したと伝わり、政治的な不確実性の後退を好感したポンド買いが優勢となった。

 英国では今週に入り、財務相や保健相がジョンソン氏の方針や政治手法を批判して辞任。これをきっかけに2日間で保守党議員およそ50人が政務官など政府のポストから辞任する異例の事態となっていた。市場ではジョンソン氏辞任で中期的に政治が安定するとの期待が広がった。


・ドル円は小幅ながら4日続伸。21時過ぎに一時135.57円付近まで下押ししたものの、アジア時間に付けた日通し安値135.55円が目先サポートとして意識されると買い戻しが進んだ。米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いも出て、4時前には136.11円付近まで上げた。市場では「前日NY時間高値からの下押しレベルが135.53円。135円台半ばが意識されている」との声が聞かれた。もっとも、ユーロやポンド絡みの取引が中心となったため、ドル円自体は大きな方向感が出なかった。

 なお、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事は「インフレは高すぎる。下がっているようには見えない」「インフレを抑える必要がある」と述べたうえで、「7月の会合で0.75%、9月にはおそらく0.50%の利上げを実施するだろう」との考えを示した。


・ユーロ円は3日続落。原油や天然ガスなどの上昇で、エネルギー高騰によるユーロ圏経済への悪影響を懸念したユーロ売りが出た。2時30分前には一時137.99円と日通し安値を更新した。


・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。ジョンソン英首相の辞任表明を受けて、英政治安定への期待から英株中心に欧州株相場が上昇。米株にも買いが波及した。WTI原油先物価格の上昇でシェブロンが買われたほか、資源高が業績の追い風となるキャタピラーに買いが集まった。ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株も値上がりした。

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸した。


・米国債券相場で長期ゾーンは続落。米国株相場の上昇を背景に、相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。足もとで相場上昇が続いていただけに持ち高調整目的の売りも出やすかった。


・原油先物相場は3日ぶりに反発。ロシアとカザフスタンを結ぶパイプラインが30日間の操業停止となったこともあり、3日ぶりに原油先物価格は反発した。もっとも、本日発表された米エネルギー省(EIA)在庫統計で、原油が大幅に積み増しになったことが判明すると、上値が重くなる場面もあった。


・金先物相場は8日ぶりに反発。連日下落していたことで買い戻しが優勢となり、8日ぶりに反発した。もっとも、引けにかけて米金利の上昇の勢いが増し、ユーロドルが2002年12月以来のドル高水準となったことで、ドルで取引される金先物は割高感から上げ幅を大幅に縮小して引けた。

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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