Form 13Fって何?
著名投資家ウォーレン・バフェット氏がいる投資会社バークシャー・ハザウェイは11月14日、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の株式を約41億ドル分購入したことを明らかにしました。バークシャーが保有するTSMCの米国預託株式(ADS)は9月末時点で約6010万株となります。
これを受けて、15日の株式市場では台湾でTSMCの株価が買われたほか、東京市場でも半導体関連に買いが入りました。2022年に入り、半導体関連株は需要のピークアウト懸念を受けて、大きく売り込まれてきましたが、「オマハの賢人」とも言われるほどの投資家であるバフェット氏がTSMC株を購入したことで、半導体関連についても明るい見通しを持った方がいらっしゃるのではないでしょうか。
ところで、バフェット氏などの著名な投資家、あるいはヘッジファンドが〇〇の株を購入した、あるいは売却した、といった内容が報じられることがありますが、なぜ他人のポートフォリオがわかるのでしょうか。
それは米国証券取引委員会(SEC)が100億円以上を運用する機関投資家に対し、四半期ごとに保有銘柄を報告することを義務付けているからです。これを「Form 13F」と言います。
SECのホームぺージ(https://www.sec.gov/divisions/investment/13ffaq)を見ると、この「Form 13F」に関する内容やQ&Aなどを確認することができます。
実際にバークシャー・ハザウェイがSECに提出したForm 13F(https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1067983/000095012322012275/0000950123-22-012275-index.htm)をもとに、バフェット氏のポートフォリオを見てみましょう。これは米国の電子開示システムEDGAR Systemから検索することで見つけることができます。日本でいうところのEDINETのようなものですね。というより、日本のEDINETは米国のEDGARをモデルに作成されたそうです。
これを見るとポートフォリオの42%を占めるのがアップルで、保有額は1237億ドル(約17兆3180億円)です。そして前述したTSMCもちゃんとリストに入っています。保有割合は1.4%程度で、提出時点で上位10位前後に入る組み入れ比率となっていますね。同じくらいの組み入れ比率ですと、ゲームソフト開発会社のアクティビジョンなどになります。
リストを見た時、株に詳しい方なら一つ、気づくことがあると思います。それは「Form 13F」には、米国内の株式(もしくはADR、ADS)のみ表記されている点です。これは「Form 13F」のルールで米国以外の発行体の株式を報告する義務がないためです。
ですから、直近でバフェット氏が売却したことで話題のとなった中国の自動車メーカーBYDや、購入時に話題となった日本の商社なども同リストには入っていません。この点は「Form 13F」を見る際に注意しなければならない点と言えるでしょう。
もう一つの注意点として、四半期ごとの提出となっているため、公表された時点ではすでにポートフォリオが変化している可能性があります。バフェット氏のような長期投資を前提としている投資家だけでなく、さまざまな投資スタイルの運用主体が存在するため、「〇〇ファンドが保有しているから」というような理由で安易に自分もその銘柄を購入すると、実はその頃にはとっくに売却していた、ということもあり得ないわけではありません。
とはいえ、多くの金額を運用するさまざまな投資家が、どんな株を保有しているのか、それがどのように推移しているのかを知ることは相場の動向や資金の流れをつかむのに役に立つことでしょう。ぜひ参考にしてみてください。