【ボリンジャーバンドの活用法~後編】

「逆張り」と「順張り」に使える

ボリンジャーバンドは、投資の熟練者向けとされる「順張り手法」でも、投資の初心者に向いている「順張り手法」でも有効なテクニカル分析手法なのです。


前編では、相場の自律反発や自律反落を狙う「逆張り手法」の利用方法、上昇トレンドや下落トレンドの波に乗るタイミングを教えてくれる「順張り手法」の利用方法について説明しました。


ボリンジャーバンドの特徴は、標準偏差(σ、シグマ)という概念が入っている点です。金融市場では一般的に標準偏差をボラティリティと考えますが、後編では、ボラティリティの低下を示す「スクイーズ」とボラティリティの増加を示す「エクスパンション」、「バンドウォーク」などについて説明します。


スクイーズとエクスパンション

価格推移はもみあいとトレンドを繰り返します(図表1)。もみあいは出来高が減少し、ボラティリティが低下するため、バンドの幅(-2σ~+2σ)は縮小します。これを「スクイーズ」と呼びます。ボラティリティの低下を示唆しています。


一方、いずれは、その縮小したバンドを上か下かのどちらかにブレイクし、トレンド発生のサインとなります。トレンドが発生するとバンドが拡大し、これを「エクスパンション」と呼びます。ボラティリティの増大を示唆しています。


バンドの拡大後に縮小し始めると、トレンド転換の兆候(サイン)となります。株価の上昇や下落の勢いが一段落することで標準偏差(ボラティリティ)が小さくなるため、スクイーズが発生します。


スクイーズとエクスパンションは繰り返し起きます。つまり、低いボラティリティが高いボラティリティを生む(もみあいが次のトレンドにつながる)、高いボラティリティが低いボラティリティを生む(トレンドが一巡するともみあいになる)ことになります。

バンドウォークとヘッドフェイク

上昇トレンドにおける価格推移は+2σと移動平均線との範囲(図表2)、下降トレンドにおける価格推移は移動平均線と-2σとの範囲(図表3)で動くことが多いです。これを「バンドウォーク」と呼びます。バンドウォークは価格が一定のバンド内に沿って推移することをいいます。


移動平均線が片方の基準となるのは、上昇局面では株価は移動平均線を下回ることが少なく、下降局面では移動平均線を上回ることが少ないからです。


一方、まれに生じる現象に「ヘッドフェイク」があります。バンドがスクイーズからエクスパンションに変わる直前、一時的にトレンドと逆方向にブレイクアウトすること(図表2、3)です。ただし、必ず起きる現象ではありません。


まとめ

ボリンジャーバンドで売買タイミングを知る方向は2通りあります。「スクイーズ」が発生しているもみあい局面では-2σや+2σ付近への到達が「逆張りサイン」となります。


一方、ある日突然に-2σや+2σを終値でブレイクした際には、ブレイクした方向に「順張りサイン」となる可能性が高いことを心掛けることが肝要です。


ブレイクした後の「エクスパンション」でバンドウォークが続く限り、移動平均線を下値支持・上値抵抗と捉え、順張り戦略を継続することがポイントです。


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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