株主通信を参考に企業の特徴を把握しよう

最近、株式投資を始めた友人からこんな相談を受けました。

「テレビとかネットなどで専門家が注目銘柄として取り上げた企業について調べたいと思っているんだけど、何を参考にしたら良いかな?」という旨の相談でした。

 

「四季報が良いと思うよ」と回答しましたが、友人から「四季報をわざわざ購入するのも面倒だし、企業の概要や特徴などが記載されている資料を参考にしたいんだよね」と言われました。

 

筆者は証券会社に10年以上在籍していたことから、「四季報で十分だろう」と考えていましたが、投資初心者からすると「企業の情報を詳しく知りたい」と考えるのは当然だと思いました。

 

改めて考え直した結果、「株主通信」を勧めました。

今回は「株主通信」の特徴について説明します。

 

株主通信とは

株主通信とは、企業が株主に対して発行する事業報告書となります。

株主通信では、企業の概況、会社の方針、事業活動の状況、財務や業績動向などが記載されています。

ページ数は少なく、ビジュアルも見やすく作成されていることから、株主通信は投資初心者が企業の特徴を把握するのに適していると考えています。

 

もともとは企業が株主向けに冊子を作成し郵送していましたが、コストなどの関係から冊子の作成を廃止し、ホームページで記載する企業が増えています。

つまり、株主でなくてもホームページで内容を確認することができます。

「○○(企業名) 株主通信」とインターネットで検索すれば、閲覧することができます。

 

年2回(春・秋)に公表する企業が多い

ただし、株主通信は法律や規律で義務づけられた法定開示資料ではありません。

任意開示資料となるため、すべての企業が株主通信を作成しているわけではありません。

それでもオリエンタルランドや三菱商事など大手企業はおおむね作成しているとみられ、年2回(春・秋)公表している企業が多いです。

 

株主通信を作成していない企業に関しては、「統合報告書(アニュアルレポート)」などで確認してください。「統合報告書」は年度末や決算期に1年間の経営状況や財務状況に加え、企業理念や経営戦略などが記載されています。機関投資家向けの資料となりますが、比較的に閲覧しやすい資料となります。

 

株主通信で企業の特徴を把握しよう

企業のIR資料には、その他に決算短信や決算説明資料、有価証券報告書など様々な資料があります。

 

決算短信は数値が中心となり、投資初心者としては財務諸表や損益計算書の知識が無ければ理解するのにハードルが高いかと感じます。

また有価証券報告書は会社情報や事業概況、業績動向が詳細に記載されていますが、企業によっては100ページを超えることから、自分の関心のある情報を見つけづらく読むのに苦労する可能性は高いです。

 

一方、株主通信はコンパクトに重要な情報をまとめており、投資初心者が企業の特徴を把握しやすいと考えています。

 

株主通信であれば1社のみならず、複数の企業の株主通信を一気に閲覧し、企業の特徴を把握することができます。


株主通信で企業の概況や特徴、業績動向を把握したうえで、決算短信などの他の資料で詳細を確認しながら、その企業の理解を深めるのも良いかと思います。

注目する企業が見つかりましたら、まずは株主通信を閲覧してみてください。


日本株情報部 アナリスト

角屋 昌範

2005年に国内証券会社へ入社後、投資情報部や調査部に在籍。投資情報部では、米国や香港株式市場見通しの作成など海外金融市場に関する調査業務に携わる。調査部では、ネット関連セクターを中心に国内個別企業のアナリストレポートを執筆した。 国内証券会社などを経て2019年に入社。主に先物市場見通しなど「デリバティブコンテンツ」を担当。 CFP DCプランナー

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