みんなどうしてる? 確定拠出年金(中)掛金はいくら払っている?

確定拠出年金の制度が始まったのは2001年10月。20年以上の間には、何度も制度が見直されてきました。今年も大きな改正が施行され、より多くの人が確定拠出年金制度に加入できるよう、環境が整ってきています。筆者も、個人の家計相談などの現場で、iDeCo(個人型確定拠出年金)に興味を示す方が増えていると実感しています。


そこで、国民年金基金連合会などの公表資料から、3回にわたって「みんなどうしてる? 確定拠出年金」と題して、現状をご紹介しましょう。今回は、掛金についてです。


シリーズ 「みんなどうしてる? 確定拠出年金」

(上)加入者の状況

(中)掛金はいくら払っている?(今回)

(下)どんな運用をしている?


iDeCoの掛金は月額5,000円以上、変更もできる


個人型(イデコ=iDeCo)は、2017年1月に加入要件が緩和されました。公務員や専業主婦(夫)、配偶者に扶養されるパートタイマーなどの第3号被保険者が加わり、原則20歳から60歳までの全員が加入できるようになっています。


企業型の掛金は事業主が払っているのに対し、iDeCoでは加入者自身が払っています。iDeCoの掛金は月々5,000円以上1,000円単位。毎月ではなく1年単位とし、年1回以上の加入者自身が決めた月に、まとめて払うこともできます。また、掛金額は、1年に1回、変更できます。年ごとの状況に応じて、無理のない金額で老後の生活資金を準備できるようになっています。


iDeCoの掛金上限額は、立場によってさまざま


iDeCoの掛金は、社会保険の被保険者の立場によって、【表】のようにの上限額が決まっています。


自営業者は、定年退職という概念がなく、自分が退職の時期を決められます。長く働いて長く収入を得ることもできますが、会社員と違ってリタイア後の生活資金準備は自分でしなければなりません。そのため、掛金の上限額が多めになっています。


会社員については、勤務先に企業年金があるかないか、あるとしたら確定給付企業年金(DB)(厚生年金基金、教職員共済なども含む)か、または確定拠出年金(DC)なのかによって、iDeCoの掛金上限額が異なります。企業年金のない会社員は、より自助努力をする必要性が高いことから、同じ第2号被保険者の中でもiDeCoの掛金上限が多いというわけです。


なお、2022年10月の制度改正により、企業型確定拠出年金(DC)の加入者が、よりiDeCoに入りやすくなりました。


実際、掛金はどのぐらい拠出しているのか


これらの上限額を踏まえたうえで、現状で、みなさんはiDeCoの掛金をどのぐらい拠出しているのでしょうか。国民年金基金連合会の公表資料「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況(令和4年3月末現在)」から見てみましょう。


【グラフ】は、iDeCoの掛金を毎月定額で拠出している加入者の掛金額の分布です。


国民年金保険制度の第1号被保険者は、収入が毎月同じではない人が多いと想像します。また、収入の多寡も人によって差が大きいでしょう。第1号被保険者の中で、掛金が多い層を順にあげると、9,000円以下(構成比21.8%)、65,000円以上(同21.1%)、10,000円~14,000円(同20.4%)です。「少しでも積み立てておこう」「できる限り多く利用しよう」「キリの良い1万円で」といったところでしょうか。


会社員などの第2号被保険者も10,000円~14,000円のゾーンは多くなっています。やはり「キリの良い1万円」というところでしょうか。


第3号被保険者は専業主婦(夫)やパートタイマーなどでは、上限額が属する20,000円以上のゾーンが半数を超えています。専業主婦やパート主婦の方々からよく耳にするのは、「iDeCoをやっても所得控除を受けられないからメリットが大きくない」という言葉ですが、運用益が非課税になる魅力を感じている人が多いということでしょう。


参考までに、加入資格ごとの掛金平均額を【表2】でご紹介しておきます。

老後の生活資金設計は、人と比べたり揃えたりするものではありません。また、現在払える掛金の額も、現状の生活の中で無理のない金額で決めれば良いと思います。あくまでも、データは参考程度に見ていただければ幸いです。


次回は、『「みんなどうしてる? 確定拠出年金」(下)どんな運用をしている?

』をお届けします。


ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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