今回は騰落レシオに着目します。
騰落レシオは市場全体のトレンドを判断するために利用されます。
市場全体の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数から「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断するテクニカル指標となります。
騰落レシオの見方
騰落レシオは「値上がり銘柄数の合計」÷「値下がり銘柄数の合計」で算出されます。
5日間や25日間、75日間など様々な期間がありますが、一般的に25日間を利用することが多いです。
例:25日間の騰落レシオ
値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が同じの場合、騰落レシオは100%となります。
100%より大きければ値上がりした銘柄数の方が多く、100%より小さければ値下がりした銘柄数の方が多いことになります。
一般的には120%以上になると「買われ過ぎ」、70%以下となれば「売られ過ぎ」と判断します。
例えば、直近25日間の東証プライム市場の値上がり銘柄数の合計が3万、値下がり銘柄数が2.4万だったとします。
騰落レシオ(%)=3万/2.4万×100=125%となります。120%以上となるため、過熱感が強く「買われ過ぎ」の水準に達しているとの見方をします。
「買われ過ぎ」の水準を上回る場合もあり
ただし、120%を超えたらすぐに売り、70%を割り込んだらすぐに買いといった投資行動は避けた方が良いでしょう。
120%を超えたとしても、必ずしも天井をつけずに上昇局面が続くこともあります。
日経レバなど指数連動型ETF(上場投資信託)を保有している場合、120%を超えたからすぐに下落局面へ転換すると判断するのではなく、反落するタイミングを見極めながら売買を行う必要があります。
あくまでも「120%以上」は目安であり、「調整局面が近い」と捉えるようにしましょう。
2022年11月以降の日経平均株価の騰落レシオを確認すると、2月20日に142%台まで上昇し、「買われ過ぎ」の水準を上回りました。ただし、3月2日時点では120%を下回り、過熱感は後退しています。
日経平均株価の推移に関して、2月6日に27800円台まで上値を伸ばした後売りに押されたものの、27000円処で下げ止まり、高値圏で推移しています。
今後、調整局面に転じるか、再び上昇局面入りするか、動向を見極めたいところです。
2020年3月に40%台まで低下
また「70%以下で売られ過ぎ」の場合も同様となります。
70%を下回ったとしても反転せずに下落局面が続くこともあります。
実際に2020年3月にかけて世界中で新型コロナウイルスの感染が急速に広がり、世界の株式市場ではリスクオフの動きが加速。
TOPIXを推移を確認すると3月中旬にかけて急速に下げ足を速め、騰落レシオも「売られ過ぎ」の目安となる70%を大きく下回り、40%台まで低下しました。
基本的に「70%以下となれば反転局面が近い」と認識して構いません。しかし、非常時の場合は騰落レシオだけでなく、政治や経済情勢、他のテクニカル指標などを併せて確認しながら、「反転局面が近いか、しばらく弱気相場が継続するのか」を判断した方が良いと考えます。
一般的には「120%以上」「70%以下」となった場合に相場が転換するケースが散見されることから、「反転局面(調整局面)が近い」との判断をする際、騰落レシオの動向を参考にして下さい。