【VIXで市場心理を把握しよう】

VIXはボラティリティ指数

VIXは「ボラティリティ指数(Volatility Index)」の略称です。米国のCBOE(シカゴ・オプション取引所)が、米株価指数であるS&P500を対象としたオプション価格から推計される予想変動率(ボラティリティ)を基に算出している指数です。


一方、日経平均を対象に、2010年11月から算出が開始された指数が、「日経平均ボラティリティインデックス(日経平均VI)」です。


ボラティリティとは?

金融市場でよく聞く、「ボラティリティ」とは、予想変動率のことです。株価などの値動きの度合いを示します。


ボラティリティは、株価などの振幅が大きくなると、上昇する傾向があります。逆に、株価などの振幅が小さくなると、低下する傾向があります。


「恐怖指数」とも呼ばれている

VIXは、取引されているオプション価格から投資家が予想する将来のボラティリティを算出し、投資家心理を表す指標として使われています。


VIXの数値が高いほど、相場が荒れている状態で、投資家が相場の先行きに不確実性を感じていることを示唆しています。このため、VIXは「恐怖指数」とも呼ばれています。


逆に、相場のこう着状態が続いたり、値動きが小さいときは、VIXの数値は低下します。



リーマンショック時には一時「89.5」まで上昇

VIXは通常は10~20程度の範囲で推移します。S&P500が大幅に下落する際、概ね30~40程度まで上昇する傾向があります。


地政学リスクの高まりや金融システム危機、金利の急上昇などにより、投資家の不安心理が高まるとVIXは急上昇します。


S&P500が急落する場面では、40を超えるほどに不安心理が高まる局面も過去に何度もありました。ただ、VIXが最も高くなるところが、結果的には株価の底値となってきた経緯があります。


例えば、「100年に一度の世界的な金融危機」とされた2008年のリーマンショック時には、VIXは一時89.5近辺まで急上昇しました。


新型コロナショック時にも大きく上昇

図表で、2017年以降のVIXの動きをみると、2019年までは概ね10~20のレンジで推移し、大きく上昇する場面でも30程度の上昇にとどまっていました。



一方、2020年の新型コロナショックで状況は一変しました。週足の終値ベースではS&P500は高値から32%程度の急落を強いられ、VIXは一時65.5まで上昇する場面がありました(日足の取引時間ベースでは3月18日に「85.4」まで上昇した)。


現在は、S&P500が史上最高値から右肩下がりの調整局面にある一方、VIXは一時的に上昇しても30台にとどまっていますが、緩やかな上昇傾向にあることがわかります。


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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