株主優待に頼らずお得に買い物

昨今では、「公平性の観点から~」といった理由により株主優待制度を廃止する企業が増えています。株主優待は個人投資家の人気が高いですが、一方で機関投資家からすると、優待品をもらっても使い道に困るといった事情があります。優待よりも配当を増やしてほしいのが実情で、最近ではアクティビスト(物言う株主)による株主還元強化の提案も活発です。


企業側としては投資家層を増やしたいと思いつつも、優待品を準備して配送するといった一連のコストが高いといった側面があります。こういった事情が絡み合ってやむなく優待を廃止するようですが、優待廃止→株価急落というケースがたくさん見受けられます。

株価が下がるのはもちろん気分が良くないですが、優待目的の株主からするとひたすらがっかり以外の何物でもないでしょう。


株主優待廃止はどの銘柄にもあり得る


優待定番株だったオリックスが廃止の方針を打ち出したことを考えると、イオンや三越伊勢丹ホールディングスなどの人気銘柄も、将来的に優待をやめるといった可能性はゼロではありません。


また、業績が悪いと財務改善のために一時的に株主優待を停止することがあります。ほかにも、廃止とまではいかなくても優待内容を縮小させたり、長期保有の場合のみに限定するなど制度を変更するケースもあります。株主優待制度自体が縮小傾向である現状、優待はおまけ程度にとどめておき、値上がりと配当に期待した投資をする方が良いのかもしれませんね。

 

お得は優待だけじゃない


株主優待を使えばお得になるのは間違いないですが、企業のキャンペーンなども侮れません。例えば楽天市場やヤフーショッピングなどのセールで、いい買い物をしたという人は多いでしょう。

ほかにもチラシ、アンケート、LINE公式アカウントなど、さまざまな媒体で企業はお得情報を発信しているので、これらをうまく活用することで場合によっては株主優待に匹敵、もしくはそれ以上の割引率をたたき出すこともできます。


例1 マツキヨココカラ&カンパニー(3088)

 


上の画像は筆者がLINEに登録したマツキヨココカラの公式アカウントです。ドラッグストアのマツモトキヨシ、ココカラファイン、どらっぐぱぱすなどで使える割引クーポンですが、頻繁に配布してくれるので重宝します。期間中は何度でも使えます。


ちなみにマツキヨココカラの株主優待はグループ店舗で使える商品券です。最低単元で年間4,000円分、最大で10,000円分。23年5月9日(以下、現時点)の終値7340円で計算すると、優待利回りは4,000円分で0.5%、10,000円分で0.1%とそこまで高くありません。


例2 楽天グループ(4755)

 


上の画像は楽天市場のアプリです。1000円オフとありますが、これはちょうど「お買い物マラソン」が始まった時に配布されたクーポン。筆者は楽天ヘビーユーザーなので、ダイヤモンド会員特典の777円オフクーポンももらえます。(ほかのクーポンとは併用できません)


楽天はSPUというシステムによって楽天ポイントの獲得倍率が上昇しますので、上の例では10000円以上の買い物をすると実質20%以上の割引にすることも可能です。楽天グループ自体も株主優待制度を実施していますが、最低単元では楽天キャッシュが500円分もらえます。配当金と合わせると100株で年間1000円弱の還元ですが、最低購入単価は現時点で7万円未満。100株だけでも持っておくのはアリかもしれません。


例3 ライフコーポレーション(8194)

 


こちらはスーパーマーケット「ライフ」の公式アプリ。目玉は月初めに配布される終日5%引きクーポンです。月に1日しか使えませんが、買い貯めする時、価格が高めの食品を買うときなどには積極的に活用したいですね。このほか、特定商品を買うと追加ポイントがもらえるクーポンもあります。


なお、ライフコーポレーションは株主優待制度を設けていません。チラシやクーポンなどの機能を持つ公式アプリが優秀なので、生活圏内に「ライフ」がある人は、アプリを実質的な優待と思って利用するとお得に買い物ができそうです。


例にあげたのは筆者が生活する中で使っているお得サービスです。ほかにもたくさんあるでしょうから、いろいろと探してみると思いがけない「お得」が見つかるかもしれません。


日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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