東京ディズニーランドと東京ディズニーシー(以下、あわせて東京ディズニーリゾート)を運営するオリエンタルランドは6月23日、1日券「1デーパスポート」の料金を変更すると発表しました。
変更は10月1日入園分からで、最も混雑する時期の価格は、大人1日券で現在の9400円から1万900円と、1500円の値上げとなります。
東京ディズニーリゾートでは、混雑具合などに応じて価格が変わる「ダイナミックプライシング(変動価格制)」を導入しています。ダイナミックプライシングとは、例えばディズニリゾートでいえば、休日と平日、お盆などの繁忙期と閑散期で価格設定を変動させる制度です。
今回の値上げにより。これまで大人の1日券は7900~9400円の4段階だったのが、10月以降は7900円、8400円、8900円、9400円、9900円、1万900円と6段階に分かれ、中高生も6600~9000円の6段階となります。
一方で4歳から小学生までが対象の「小人チケット」の価格帯は、4700円から5600円と据え置かれました。この点は小さなお子さんを持つファミリー層にとっては、多少なりとも助かる部分ですね。ただ、大人の値上げだけでも十分お財布にはダメージではあります。
東京ディズニーリゾートに先駆けて、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンも、1日入場券「1デイ・スタジオ・パス」の最高価格を大人1万400円(税込み)に引き上げることを明らかにしています。東西の国内有数のテーマパークがそろって入場料を値上げし、ともに1万円を突破したことになります。
東京ディズニーリゾートの入場者数と入場料の推移
東京ディズニーリゾート公表データをもとにDZHFR作成
東京ディズニーリゾートの値上げを受けた反応などを見ていると、「高すぎる」「こんなに高くてはもう気軽には行けない」などといった声も聞こえてきますが、実際にはどうでしょうか。まだ先のことなので、断言はできませんが、個人的には入場料が高くなろうとも、同社の人気は変わらず、引き続き多くの人が訪れる人気のテーマパークであり続けるのではないでしょうか。
東京ディズニーリゾートが公表している同パークの入場者数と入場料の推移を見てみると、それがわかります。1983年の開業当時、1デーパスポートの料金は3900円でした。開業から数年後に4200円に値上げ。舞浜駅の開業や消費税導入などを経て、4400円、そして4800円へと値上げされていきます。その間、基本的には入場者数は増加を続けています。
1994年に若干減少しているように見えますが、それは全然の1993年に10周年記念があり、入場者数が増加した反動があったためでしょう。その後、消費税が5%になり、入場料も5200円まで値上げされたことで1997年は再び入場者数が前年割れとなります。
その後は1700万人前後での推移が続きますが、2001年に東京ディズニーシーがオープンしたことで、一気に入場者数が2200万人超まで増加。入場料を5500円に値上げしていますが、それでもこれだけ入場者数が伸びたのは、さすがに新パークの開業効果が大きかったと言えます。
その後も消費税8%などのタイミングで継続的に値上げを行い、入場料は6400円に。消費税が10%となった2019年には7500円まで値上げされました。2020年には東京ディズニーランドの「美女と野獣」などをテーマにした新エリアオープンし、入場料は8200円と大幅に値上げ。美女と野獣のアトラクションは2023年現在でも、最も人気のあるアトラクションの一つになっています。
2021年3月には8700円に、同年10月には変動価格制度が導入され、最も高い価格帯では9400円まで値上げが実施されました。直近の入場者数がコロナの影響を受けていることは説明するまでもありませんが、それ以外の期間については、値上げしてもずっと入場者数は増え続けてきたことがわかると思います。
東京ディズニーリゾートでは、パークの魅力を最大化するために、継続して大型投資を行い、新エリアや新アトラクションを開設してきました。その分、コストもかかりますが、それは入場者数と入園料の伸びでペイできます。そして、魅力あふれるパークを維持することで、ディズニ―を訪れる人は「また来たい」と思い、それがさらなる入場者数の増加につながってきたのです。
今回の値上げで、一時的には足を向けるのを控える人もいるかもしれません。しかし、東京ディズニーリゾートでは今まさに大規模拡張プロジェクトが進められており、2024年春をめどに「アナと雪の女王」や「塔の上のラプンツェル」をテーマにしたアトラクションやエリアなどがオープンを控えています。こうした新しい魅力を発信し続ける限り、今後も人気のテーマパークであり続けるでしょう。