民間調査会社の帝国データバンクは6月30日、「食品主要195社 価格改定動向調査」(https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230614.pdf)を発表しました。同調査によると、7月に値上げ予定の飲食料品が3566品目に上るもようです。
例えば、日清製粉ウェルナでは、小麦粉などを7月1日納品分から2~7%値上げしました。また、山崎製パンも、食パンや菓子パンの出荷価格を同日から平均7%値上げしています。
また、ハンバーガーチェーンのマクドナルドも、7月19日から都心部に立地する184店舗において、価格を見直し、「都心型価格」を設定。実質的な値上げを行う予定となっています。対象店舗では、ハンバーガーは従来の220円から240円に、ボックマックは540円から590円に値上げされることになります。
食品主要195社 価格改定の推移
帝国データバンク発表資料よりZHFR作成
こうした値上げが相次いでいるのは、政府による輸入小麦の価格引き上げが影響しているようです。品目別では、「パン」の値上げが1500品目超となり、全食品分野で最多となりました。
こうした動きにより、2023年に値上げされた品目は、すでに前年の累計を超えたもようです。前述した帝国データバンクの調査では、家庭用を中心とした飲食料品の年内値上げ品目数は、6月30日までに判明しているもので、累計2万9106品目に上っています。いまだ今年は半分を過ぎたところにも関わらず、前年の2022年通年の2万5768品目を超えてしまいました。
しかも、その昨年の数字はご存じのように決して少なかったわけではなく、「バブル崩壊以降で類を見ない、記録的な値上げラッシュ」(同資料より引用)だったわけですから、相当なハイペースで値上げが実施されていると言えるでしょう。
値上げの要因としては、原材料高が一番多く、次いでエネルギー高、放送・資材高、物流高と続いています。
エネルギー高という点では、6月以降、映画鑑賞料金も各社値上げを実施しており、TOHOシネマズでは6月1日から一般料金が100円値上げされ2000円に変更された。その後、松竹マルチプレックスシアターズと東急レクリエーションも追随してに一般2000円に値上げするとしています。
ちなみに8月以降の推移をみると、8月は乳価改定の影響を受けてパック牛乳やヨーグルトなど乳製品を中心に987品目が値上げ予定。また、9月もチョコレート菓子など1686品目が値上げされる予定です。
10月は、包装資材価格の上昇を背景に、日本酒やワインなど酒類を中心とした3385品目がすでに値上げを予定しており、今後の増加数次第では、5000品目超えの値上げラッシュとなる可能性も指摘されています。
帝国データバンクでは、足もと消費者の「値上げ疲れ」により、物価上昇に比べて家計の食費支出は勢いを欠いており、メーカー側も値上げに慎重になってきているとしています。しかし、電気・ガス代に加え、プラ製包装資材、物流2024問題への対応費用などのコストアップ要因から、緩やかながらも断続的に値上げが続く可能性があるでしょう。