日本経済新聞社は4日、日経平均株価を構成する225銘柄の定期見直しで3銘柄を入れ替えると発表しました。
レーザーテック<6920.T>、メルカリ<4385.T>、ニトリホールディングス<9843.T>を新規に採用し、一方で三井E&S<7003.T>、日本板硝子<5202.T>、松井証券<8628.T>を除外。10月2日の算出から入れ替えとなります。
日本を代表する株価指数でもある日経平均株価ですから、その構成銘柄の定期見直しは、投資家にとって一大イベントです。そのため、各証券会社からも事前に入れ替え候補銘柄の予想がなされていました。
各社の予想をまとめると、採用はおおよそレーザーテックが大本命、続いてメルカリ、ディスコ、ソシオネクストなどが並び、補欠候補としてニトリホールディングスが挙げられていました。そのなかでニトリの採用は少し予想外だったとも言えます。
一方で、除外候補は各社ともに三井E&S、日本板硝子、松井証券を挙げていて、こちらは完全に予想と一致しました。アナリストの面目躍如といったところですね。
ところで東京証券取引所に上場する企業の数が2000社以上もあるなかで、どうしてこれだけ高い精度で日経平均株価の構成銘柄で入れ替えとなる候補を予測できるのか、気になる人もいるのではないでしょうか。
実は日経平均株価を選定する基準を日本経済新聞社が定めており、その基準に沿って対象となりそうな銘柄をスクリーニングすることで、証券会社のアナリストの方たちは、入れ替え銘柄を予想しているのです。
この基準は、時代に合わせて何度も変更されており、今の最新のものはこちら(日経平均株価構成銘柄選定基準)になります。
最新の基準では、普段どれだけその株が売買されているかが重視される項目の1つとなっており、除外された3社はどれも普段の売買が少なく、その点で有力な除外候補となっていました。
採用の方では、前述したレーザーテックは東証プライム市場で売買代金トップの常連であり、メルカリ、ディスコ、ソシオネクストなども上位の企業です。それに比べるとニトリは出来高は少な目ではあるのですが、例えばそのかわりに、ディスコやソシオネクストを選んだ場合、新規採用のほとんどが半導体関連企業ということになってしまいます。
日経平均株価の構成銘柄にはすでに東京エレクトロンやアドバンテストなど、いくつもの半導体関連銘柄が採用されていますので、あまり同一セクターの企業を増やす過ぎると偏りが出る、との見方から流動性は落ちるものの小売セクターであるニトリが採用になったのではないかと推察します。
なお、ニトリの採用については、もう一つトピックがあり、分割採用という制度が初めて適用された対象となります。分割採用というのは売買代金が少ない銘柄について、一度に組み入れると株価への影響が大きくなることを考慮し、2回に分けて組み入れるようにする仕組みです。
指数算出用の株価は、実際の株価に株価換算係数を乗じて求める仕組みとなっており、ニトリの株価換算係数は0.5となっています。今回の入れ替えではこれを0.3とし、来年4月の定期見直しの際に、改めて0.5まで引き上げることで、組み入れの影響を分散させようというのが分割採用の主旨となります。
毎日のニュースなどで耳にすることも多い日経平均株価ですが、こうして常に構成銘柄の入れ替えや選定の基準を見直し、時代に沿った内容となるよう関係者が努力しているからこそ、長期にわたって有力な指数として継続しているのかもしれませんね。