2023年10月4日にNTTドコモは、マネックス証券の子会社化を発表しました。2022年12月に三菱UFJ銀行と共同開発した「dスマートバンク」の提携に続き、2年連続で金融サービスの強化を実現した形です。
ドコモは他社キャリアに比べて、金融領域のポイントサービス提携が遅れていました。しかし、今回の発表を受けフィンテック(金融とテクノロジーの結びつきによる新しいサービスのこと)にともない、ドコモは経済圏ビジネスの強化をすすめています。
本記事では、ドコモがマネックス証券を子会社化した背景や今後の予想について解説するので、参考にしてみてください。
ドコモのマネックス証券子会社化への背景・金融サービス強化がカギ
ドコモは携帯電話サービス4大キャリアのなかでNo.1のシェアを誇っており、低価格プランahamoを含めて幅広い年代に利用されています。以下画像は4大キャリアにおける、業界シェアの割合を示したものです。
画像引用元:通信市場の動向について|総務省
今までのドコモは、ほか3社と比べて経済圏ビジネスにおける金融サービスの連携が遅れていた側面があります。なお、au・ソフトバンク・楽天の主なサービスは、以下のとおりです。
au:Pontaポイント(au PAY・auじぶん銀行・auカブコム証券・au PAY マーケット・など)
ソフトバンク:PayPayポイント(PayPayカード・PayPay銀行・PayPay証券・Yahooショッピング・など)
楽天:楽天ポイント(楽天カード・楽天銀行・楽天証券・楽天市場・など)
楽天がはじめた経済圏ビジネスの大ヒットをきっかけに、ほか業界でも広く採用されるようになりました。
ドコモが提供するdポイントは他社キャリアと比べて証券部門の独自サービスはありません。今回のマネックス証券の子会社化を受けて、ドコモは経済圏の強化をはかるのではないでしょうか。
近年のドコモはau・ソフトバンクの登録者増加数に負けている
3大キャリアの登録者数を比べると、近年ではau・ソフトバンクの増加数にドコモは負けています。一般社団法人・電気通信事業者協会の2023年度事業者別契約数を参考にすると、2022年6月から1年間の加入増加数は、以下のとおりでした。
【2022年6月→2023年6月加入者の増加数】
・NTTドコモ:約272万件(加入者数:約8,797万件)
・au:約342万件(加入者数:約6,509万件)
・ソフトバンク・ワイモバイル:307万件(加入者数:約5,180万件)
業界1位のシェア数に変わりはありませんが、auとは年間で70万件近くも差をつけられています。5年後のシェア数が大きく変動するとは予測できませんが、このペースでいくと20~30年後に業界内順位が変化してもおかしくありません。
ドコモの登録者数が他社に劣る原因の1つに、dポイントにおける金融サービスへの利便性の悪さも含まれています。
dポイントの利便性向上が今後の鍵を握る
ドコモのdポイントのなかには、dカードをはじめ「電子書籍・dマガジン」や「映像配信・Lemino」など人気のサービスがあります。
ただし、証券サービスについては各社へのポイント連携のみで、ポイントの利便性については他社キャリアに劣っていました。
今回のマネックス証券の子会社化にともない、新アプリ開発を示唆する発言があります。dポイントサービス強化によって、ドコモキャリアへの加入者増加につながるか注目してみていきましょう。
口座開設数業界3位のマネックス証券は新規加入者を増やす狙い
ドコモによる子会社化により、口座開設数がネット証券第3位であるマネックス証券にも追い風になる可能性が高いです。
業界1位・2位であるSBI証券・楽天証券が国内株式の手数料無料化を発表したことで、価格競争が激化していました。2023年9月4日マネックス証券は国内株無償化に無理があると発言していましたが、今後は戦略を変えてくるかもしれません。
証券会社は手数料によって収益を得ていましたが、docomoと経済圏を構築すればほかでキャッシュポイントを作れるようになります。今後のサービス連携次第では、マネックス証券も国内株式無料化を打ち出す可能性があります。
2023年10月4日にドコモ子会社化を発表した直後、マネックスグループ(8698)株はストップ高になっています。
参照元:TradingView
2024年には新しいNISAの制度開始も控えているため、今後の動向に目が離せません。
ドコモのマネックス証券子会社化によって一般消費者はプラスの恩恵が得られる
NTTドコモがマネックス証券の子会社化を発表し、金融サービスの強化を狙っています。これは、経済圏ビジネスを拡大する一環であり、dポイントを通じた金融サービスの利便性向上が焦点にあげられます。
わたしたち一般消費者の目線でみても、今回のサービス強化によってdポイントの活用方法は広がる見込みです。
ドコモの経済圏構築と新しいNISA制度開始に向けた展望が注目されており、市場ではマネックスグループの株価も上昇しています。今後のドコモ・マネックス証券によるサービス展開に注目してみてはいかがでしょうか。