マザーズ指数はグロース250指数へ 新指数で何が変わるの?

11月6日より、これまで「東証マザーズ指数」として取引されていた指数の名称が変更され、新たに「東証グロース250指数」として生まれ変わりました。


取引初日は堅調な地合いにも恵まれ、前営業日比で4%を超える上昇ぶりとなりました。普段から株取引をしておらず、指数の変動をチェックしていないような方ですと、4%まらあまり大きな数字じゃないな、と感じられるかもしれませんが、これはとても大きな上昇で、年に数回あるかというほどの変動の大きさです。ともあれ、新たな名称の指数として絶好のスタートを切ったかたちとなりました。


指数といえば、よく聞くもののとして代表的なものに日経平均株価があげられると思いますが、名称変更前のマザーズ指数も個人投資家が注目する非常に知名度の高い指数でした。それがなぜ名称を変更することになったのでしょうか。


そもそもマザーズ指数は2003年から算出が開始され、ライブドアショックのある前、2006年には高値2799ポイントを付けました。開始時点が1000でスタートしたので、わずか3年ほどで3倍近く上昇したことになります。


しかし、ライブドアショックと続く2008年のリーマンショックにより、2008年には269ポイントまで下落。こんどは2年あまりで10分の1、いわゆる逆テンバガーの水準まで下げてしまいます。その後は、何度か1000ポイントを超える場面もありましたが、高値まで戻すことはないまま、名称変更前の最後の取引となった11月2日は700ポイント付近で終了。20年間で約3割の下落という結果となりました。


このように荒い値動きとなったのは、同指数が中小型の新興企業銘柄で構成されており、個人投資家を中心に取引されていることが要因の一つになると思います。マザーズ指数を構成していた銘柄に投資する個人投資家のなかには、企業の成長だけではなく、一時的な株価の値動きを狙って短期間に株の売買を繰り返す人も少なくありません。


1度買ったら何年も持ち続けるような人が多ければ、株価の値動きも緩やかになりますが、上がったり下がったりするたびに1日に何度も売買を繰り返すような投資家が多いと、それだけ値動きも荒いものになりやすい傾向があるように感じます。


また、日本の新興市場がいわゆるエントリー部門の役割を果たしている点も影響しているでしょう。市場再編が行われる前の、マザーズ市場、東証1部市場、東証2部市場と区分けされていたころから同様の傾向はありますが、旧マザーズ市場(現在のグロース市場)に上場する企業は、ずっとその市場にいるのではなく、ゆくゆくはプライム市場、以前でいう東証1部的な市場へとステップアップしていくことを目標とするケースが多いです。


実際、近年でもメルカリやそーせいグループ、ANYCOLORなどといったグロース市場でも時価総額の大きな企業は、次々とプライム市場に市場変更していきました。


業績成長が続いている有望企業がグロース市場を「卒業」していく一方で、毎年何十社もの企業が新規上場し、同市場に加わっていきます。このなかから、次の新しい成長企業が生まれてくることが望ましいわけですが、なかには赤字続きで目立った成長もなく埋もれていってしまう企業があることも否定できません。


そこで冒頭の話に戻ります。今回、新たな名称となったグロース250指数ですが、変わったのは名前だけではありません。新指数はグロース市場のなかから、時価総額などを基準に250社に銘柄を絞りこんで構成されます。


これまでマザーズ指数は500銘柄以上(2023年10月末時点)を対象に算出されていましたが、一気に半分ほどになり、構成銘柄の平均時価総額も大きくなります。これにより、小型過ぎる銘柄が取り除かれ、魅力的な企業の割合を高めることで、売買が活性化されることが期待されます。今後の新指数の推移に、今まで以上に注目したいと思います。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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