アクティブETF上場から3カ月 そのパフォーマンスは?(前編)

2023年9月7日より、「アクティブ運用型ETF(アクティブETF)」が東京証券取引所に上場してから、約3カ月が経過しました。


アクティブETFとは、例えば日経平均株価やTOPIXなどの指数や指標に連動した運用成績を目指す「指標連動型ETF」と異なり、連動対象となる指標が存在しないETFのことを指します。


東京証券取引所によるアクティブETFの説明を引用すると「アクティブ運用型ETFは、運用会社やファンドマネージャーが、予め定められた運用方針に沿って、その専門知識を生かしながら組入銘柄や資産配分を選択することで、ベンチマークを上回る投資成果を得る可能性を提供」する、とされています。


よりわかりやすくいうと、ファンドマネージャーなどの運用者が市場平均を上回るリターンを目指して、(テーマなどに応じて)自由に銘柄を組み合わせて設定したETFということになります。市場平均を下回るのならパッシブ運用で良い、ということになりますから当たり前と言えば当たり前ですが、従来では指数連動型のETFしか上場していなかったわけですから、新たな投資家層の取りこみなども期待され、非常に株式市場でも注目されていました。


同日に上場したのは、シンプレクス・アセット・マネジメントが設定した「PBR1倍割れ解消推進ETF」「政策保有解消推進ETF」「投資家経営者一心同体ETF」と、野村アセットマネジメント設定の「NEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信」「NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信」、三菱UFJ国際投信の「MAXIS 高配当日本株アクティブ上場投信」の6銘柄です。


その上場からおよそ1四半期が経過したということで、改めて6つの各アクティブETFと、そのパフォマンスについて振り返ってみたいと思います。


まずはPBR1倍割れ解消推進ETF(2080)について見ていきましょう。同ETFは東証がPBR1倍割れ企業に対し改善を求める改革を進めていることに伴い、PBRが1倍未満である銘柄のなかから、利益水準や財務状況、取引所における流動性など総合的に勘案し、銘柄を選定したETFです。こちらは上場初日に1004円で寄り付くと、上場直後は買いを集め1061円まで上昇する場面がありましたが、その後10月に地合いが崩れたことで956円まで調整する局面がありました。その後は再び始値を上回り、足もとでは1020円付近で推移しています。


PBR1倍割れ解消推進ETF日足チャート



次は政策保有解消推進ETF(2081)を見てみます。政策保有株式の純資産における比率が一定以上の銘柄のなかから、利益水準や財務状況、取引所における流動性など勘案し、選定されています。持ち合い株を多く保有しており、売却による改善余地のある銘柄を集めたETFということになります。こちらは足もとでは1015円付近で推移しています。


政策保有解消推進ETF日足チャート



3つ目は投資家経営者一心同体ETF(2082)です。こちらは取締役会構成員、およびその親族、資産管理会社等の議決権保有割合の合計が一定程度ある企業から選定されています。経営者の個人資産の多くがその会社の株式であれば、自社の株式価値を軽視せず、価値向上につながるという狙いがあります。こちらは上場初日に1000円で寄り付いてから、足もとでは967円とやや軟調な推移となっています。


投資家経営者一心同体ETF日足チャート


ちなみに蛇足になりますが、直近でMBOの実施を発表した大正製薬ホールディングス<4581.T>なども同ETFに組み入れられており、構成銘柄のなかから次にMBOをやりそうな企業を探してみるのもおもしろいかもしれません。構成銘柄はこちらから確認できます。


今週はいったんここまでとして、残りの銘柄についてはまた次週に紹介したいと思います。



日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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