ガイアの倒産から見るパチンコ業界の現状と未来

パチンコ大手のガイアが事実上倒産したニュースが広まりました。マルハン・ダイナムにつづき業界売上3位に位置していましたが、2023年10月30日に民事再生法の適用を申請したため、パチンコ業界へ大きな影響を与えています。


わたしたちの生活のなかでも、近隣のパチンコ店が閉鎖される状況を目にする機会は増えているのではないでしょうか。


ガイア倒産の背景をひもとくと、パチンコ業界の厳しい現状が浮かび上がりました。そこで本記事ではパチンコ業界の現状と未来について解説します。ぜひ最後までご覧ください。



パチンコガイア倒産の背景

パチンコ大手のガイアは、2023年10月30日に民事再生法の適用を申請し、事実上の倒産が決まりました。負債総額はグループ会社を含めて1800億円。2023年5月末時点におけるガイアの純資産は16億円でしたので、債務超過による経営難は深刻なものだと予想されます。


パチンコ利用客の減少が続いた経緯とあわせて、追い打ちをかける形で新型コロナウイルスによる外出自粛の影響により、顧客の獲得は難しい状況でした。また法人向けの電気料金や半導体価格上昇による遊技台の値段高騰も逆風に働き、以前より利益を確保しづらい状況だと予想されます。


「収益減少」と「コスト増加」の2つの影響によって、経営は立ちいかなくなり倒産しました。


パチンコ業界の現状と衰退した3つの理由

売上減少はガイアだけの問題ではなく、パチンコ業界全体にも大きくかかわっています。パチンコ業界の規模は縮小をつづけていて、以下画像のとおり2005年以降は年々減少しています。


 画像引用元:遊技産業レポート2023|パチンコ・パチスロ産業21世紀会


2005年は34.9兆円の市場規模がありましたが、2021年は半分以下の14.6兆円に縮小しています。


パチンコ業界の衰退の原因はいくつかありますが、本記事では3つの理由を解説します。


1. 娯楽の多様化

スマホの普及によってSNSやゲームアプリなど無料で楽しめる娯楽が増えたことにより、パチンコを趣味にする人が減少したのも市場規模縮小の大きな要因です。


筆者が学生時代のころはスマホがなく、身近な娯楽といえば映画館・カラオケ・ボウリング・パチンコなどに限られていました。


しかし、今ならスマホの普及によって手軽にインターネットへアクセスできる環境が整っています。またYouTubeやTwitterをはじめとしたSNSの登場によって、趣味・娯楽にかけるリソースが分散されているのも事実です。


以下画像を参考にすると、30年で急速にパチンコ参加人口の減少が進んでいるのがわかります。


 

画像引用元:遊技産業レポート2023|パチンコ・パチスロ産業21世紀会


1994年には2930万人もいましたが、直近の2021年には4分の1以下である720万人と大きく数を減らしていました。


スマホの普及によって無料の娯楽が増え、わざわざ店舗まで出向いてパチンコ・スロットで遊びたいと考える人が少なくなっていると予想されます。


2. 無料の攻略情報

インターネットの普及により、パチンコ・スロット情報を無料で入手できる機会が増えたことも業界にとって逆風です。


YouTubeやブログで攻略情報を手軽に調べられるため、事前知識がある状態でパチンコ店に来店する顧客層は増えています。各店舗のデータは無料公開されているので、知識のある人が勝ちやすい構造になりました。


結果的に、設定の低い台でプレイする人は減ってしまい、店舗の収益が上がりづらい状況が出来ています。


3. 規制の強化

パチンコ・スロットに大金を使うギャンブル依存症が社会的に問題になり、度重なる規制の影響を受けて市場規模を減らしてきた側面があります。


パチンコ・スロットの大当たり確率や最大出玉数は製造メーカーや店舗が自由に設定できません。射幸性を強く煽り過ぎないように最大出玉数が規制された結果、刺激的な台を好む人はほかのギャンブルへ移行するケースもありました。


また過度に射幸心を煽る広告は規制され、イベントが中止になったケースもあります。数々の規制によって新規集客の獲得や利益率の向上が難しくなり、以前よりパチンコ店の売上アップが難しい状況です。



パチンコ業界の未来は厳しい

ガイア倒産を背景にパチンコ業界の現状を調査すると、スマホやインターネットの普及が大きく影響を与えています。ほかの娯楽へ顧客を取られた結果、参加人数は減り続けた状況がありました。


大手パチンコ店は資金力があり、他事業への展開を模索しています。マルハンは2023年10月に高崎市で農業事業へ参入しました。ただし、資金力の低い中小企業は、以前として厳しい経営が続く可能性があります。


最後にパチンコ・パチスロ関連銘柄をいくつか紹介していますので、今後の動向に注目してみると面白そうです。


・6417 SANKYO

パチンコ遊技台の製造メーカー

 


出典:Trading View(以下同様)


・6730 アクセル

パチンコ・スロットに特化した高性能グラフィックス機能搭載SoCとメモリの開発・販売事業

 



・6430 ダイコク電機

パチンコホール向けホール用機器やシステムの製造・販売

 



独立系ファイナンシャルプランナー

藤崎 竜也

「独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。2019年から教育資金や老後資金を蓄えるために投資を始める。実体験をもとに、専門用語をわかりやすく解説するのが得意。2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を取得し、現在は金融ジャンル(資産運用・投資・不動産・保険)をメインに執筆している。

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