台湾総統選挙まで1カ月!そろそろ中国の介入がやってくる!?

沖縄県下でも観光地として人気の高い石垣島。ここから約300kmしか離れていない国が、中華民国こと台湾です。2024年1月、この台湾においてリーダーを決める選挙が予定されています。台湾総統選挙です。この選挙は、台湾だけの問題ではありません。


台湾はどのような経緯で誕生したのか

台湾は太平洋戦争後、中華人民共和国(中国)における政治的な主導権争いに敗れた政治勢力が海を渡り台湾で政権を樹立、以後半世紀に渡り中国国民党(国民党)として単一政党国家となりました。


1989年に当時の与党に対し批判的な声が高まると民主進歩党(民進党)を設立。自治体や国の選挙に勝利するほど拡大し、2000年に陳水扁総統が誕生、政権交代が実現します。以後台湾は2008年に国民党が政権を奪還、2016年に民進党が政権を再奪還と、8年ごとに政権交代が行われてきました。そして2024年1月に総統選挙が行われます。


8年ごとの政権奪還。順番からいえば、今回は民進党→国民党への政権交代があるはずです。



2024年台湾総統選挙の直前情勢

2023年12月の最新の情勢では、与党の民進党が有利とされています。民進党の候補者は現副総統の頼清徳(らい せいとく)、国民党の候補者は侯友宜(こう ゆうぎ)です。


ここでキープレイヤーとなる人物がいます。台湾民衆党の柯文哲(か ぶんてつ)です。二大政党制といってもすべての国民がどちらかを支持しているわけではなく(アメリカやイギリスも同じです)、第三軸として注目されてきました。


さて、ここで慌てているのが中国です。


中国は「ひとつの中国」を標榜し、今回の総統選挙でも当然国民党を支持しています。台湾民衆党が出馬すると、政権与党に対する批判票となるため、民進党有利となります。そこで2023年11月、国民党と台湾民衆党のあいだで候補者調整が行われ、一時は統一候補の調整で合意しました。


この交渉の裏に中国がいることは想像に難くありません。


ところが国民党も台湾民衆党も「総統候補は自分の党から!」と主張します。総統候補は1人なので、当然どちらかが譲歩しなければなりません。結局、統一候補の調整は破談となり、総統選挙は3人の候補者で実施されることが固まりました。


さて、慌てているのは中国です。このままでは与党民進党の優位は崩れないでしょう。


民進党では、ここから1カ月のあいだに中国が何か刺激策を取って来るか、警戒が強まっています。台湾海峡への軍事的な脅しや、台湾の有権者が民進党にマイナスイメージを有するような仕掛けなどが考えられます。水面下では熾烈な情報戦が展開されていることでしょう。


日本国内の投資家は「総統選挙後」に注目か

野党連合戦略が失敗に終わった段階でいえるのは、2024年1月13日の総統選挙自体は滞りなく終わるのではないか、という見立てです。


台湾は地形上、確かに日本にとても近いです。これらの情勢は日本近海での出来事のため、日本の株式市場や為替相場、カントリーリスクとしても大きな影響があります。個人投資家としては注視していきたいところですが、長年繰り返されてきた政治的駆け引きでもあるため、織り込み済みとなることにも注意です。


現与党である民進党首脳部の発言や、対する中国の軍事威嚇活動などを見ると、選挙の結果を持って緊張感が急に高まるということはないでしょう。民進党も国民党も、そしてキャスティングボードになる可能性がある台湾民衆党も、中国との距離感には政治家独自のスタンスがあります。各候補者の話を聞いていると、急速な台湾独立を主張する候補者は民進党にもおらず、党内では対中国融和派が今回候補者となっているといえるでしょう。



2024年の株式市場は荒れ相場か

この台湾総裁選挙と並行して、日本は日本銀行による利上げのタイミングを計ることになります。メディアを見ると4月に現行の金融緩和が修正されるのではないかといわれていますが、どうなるでしょうか。先日の日本銀行植田総裁の「チャレンジングな年末発言」があり、目を離せない状況が続きます。


一方で2024年にはアメリカ大統領選挙が実施されます。こちらも荒れ相場要素満載です。共和党の候補者は再びドナルド・トランプ前大統領が濃厚とされており、世界中で広がる右傾化も含めて自国第一主義が広がる可能性があります。ここにロシアとウクライナや、イスラエルといったカントリーリスクの動向も加わります。


株の格言の世界では、辰年として迎える2024年から2年間は辰巳天井(たつみてんじょう)として、株価が上昇基調となるという話があるようです。NISA新制度も始まり、相場推移は例年にも増して、生活に近いものとなるでしょう。まずは台湾総統選挙前後の動向に、注目するようにしましょう。


独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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