NISA「成長投資枠」の運用会社

前コラム『NISA「成長投資枠」の対象投信』では、2024年にリニューアルした少額投資非課税制度(NISA)「成長投資枠」の投資対象になっている投資信託の全体像をお伝えしました。本コラムでは、成長投資枠対象投信を運用会社別に集計し、解説します。


運用会社別に成長投資枠の投信を見てみると


2024年1月4日の新NISAスタート時において、成長投資枠で購入できる投資信託は、公募株式投信が1,807本、上場投資信託(ETF)が222本、上場不動産投資信託(J-REIT)が58本とインフラファンドが5本、合計2,092本です。


1,807本の公募株式投信は、72の運用会社から提供されています。成長投資枠の対象投信が30本以上の運用会社を【グラフ1】に示しました。



最も本数が多い運用会社は、三菱UFJアセット株式会社の171本です。そのうち66本が「eMAXIS」シリーズ。ノーロード(販売手数料が無料)のインデックスファンドを幅広く取りそろえた投信のブランドを展開しています。


次点のアセットマネジメントOne株式会社も同様で、151本のうち43本が「たわらノーロード」。ノーロードのインデックスファンドのシリーズです。


この2社は、ともに金融業界の再編で、複数の運用会社が合併して現在に至ります。三菱UFJアセットは、国際投信委託と山一証券投信委託や三菱系列や三和銀行系列の運用会社が一つになっています。アセットマネジメントOneは、機関投資家向けの運用を担っていた、興銀系列や第一生命系列の投資顧問会社と、第一勧銀系の流れであるみずほ投信投資顧問、新光投信が一緒になった運用会社です。


歴史のある運用会社や投資顧問会社から成り立っているため、そもそも投信の運用本数自体が多いことから、対象投信も多くなっています。同様に、大手証券、大手銀行系の運用会社が上位に名を連ねているのは、運用している投信の本数が多いためです。


数が多ければ良いというわけではありません。ありがとう投信株式会社、鎌倉投信株式会社、さわかみ投信株式会社など、対象投信が1本という運用会社が7社あります。セゾン投信株式会社、コモンズ投信株式会社がそれぞれ3本。紙幅の都合上、グラフでは示すことができませんでしたが、一点集中で魅力的な運用を行なう独立系投信の投信も、成長投資枠では購入可能です。


ETFも組成する本数が多い運用会社が上位に


2024年1月4日時点でNISAの成長投資枠で購入できる上場投資信託(ETF)は222本。ETFの全上場銘柄は309本(東京証券取引所、2023年11月29日時点)ですから、約7割がNISAの対象です。


運用会社別に対象ETFの本数を集計すると、設定するETFの本数が多い運用会社が上位に並びました。背景は、公募株式投信と同様です【グラフ2】。



「NEXT FUNDS」シリーズの野村アセットマネジメント株式会社が63本。「グローバルX」シリーズの運用会社であるGlobal X Japan株式会社と、「iシェアーズ」シリーズのブラックロック・ジャパン株式会社がそれぞれ32本、日興アセットマネジメント株式会社が31本と続きます。


J-REITとインフラファンドは、上場銘柄すべてが成長投資枠の対象


2024年1月4日時点でNISAの成長投資枠対象の不動産投資信託(J-REIT)は58本。上場銘柄すべてがNISAの成長投資枠で購入できます。REITの仲間であるインフラファンドは5本。こちらも上場銘柄すべてが対象となっています。


REITは不動産投資法人という会社のような組織を作って出資を募る、会社型投資信託。運用会社が複数の投資信託を設定する証券投資信託とは仕組みが異なり、1つの投資法人が1つのREITを作っています。


NISAの成長投資枠対象の投信は、投信協会のWEBサイトから、最新の一覧表をダウンロードして見ることができます(Excelファイル)。すでに1月5日以降に買付可能になる投信もアップされており、今後も届け出る投信があれば、対象の本数は増えていきます。


参考サイト:「NISA成長投資枠の対象商品」(投資信託協会)


ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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