ショートスクイーズでビヨンド・ミートが急反発

代替肉のビヨンド・ミートが急反発


先週の米国市場では、ダウ平均が0.1%安と3週ぶりに小幅反落となりましたが、S&P500が0.4%高、ナスダック総合が2.2%高とともに3週続伸となりました。


ペロシ米下院議長が台湾を訪問したことで米中間の緊張が高まったことや、米連邦準備理事会(FRB)高官からタカ派発言が相次いだことが嫌気されましたが、米7月ISM非製造業総合指数(PMI)などの強い経済指標を受けて景気後退(リセッション)懸念が和らいだことや、総じて良好な決算発表が支援となりました。


注目された米7月雇用統計では非農業部門雇用者数が予想の2倍以上に増加し、失業率も低下するなど総じて強い結果となり、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)でも大幅利上げが継続すると見通しが強まりましたが、米国経済が利上げに耐えられるとの見方が相場を支えました。



後半戦を迎えた米企業の第2四半期決算発表は、先週はS&P500の152銘柄が決算を発表し、そのうち79%の120銘柄で調整後の一株当たり利益が市場予想を上回りました。


決算が好感されたEPAMシステムズ、モデルナ、コンステレーション・エナジー、ペイパルなどが週間で2桁高となり、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、CVSヘルスも6-8%上昇。

一方、決算が嫌気されたボール、オクシデンタル・ペトロリアムなどが2桁安となり、イーライ・リリーが8%超下落しました。



こうした中、植物由来の代替肉を製造業・販売する米ビヨンド・ミート(BYND)が市場予想を下回る決算を発表したものの、株価は週間で19.6%高と急反発しました。


 


ビヨンド・ミートの第2四半期は予想以上に赤字が拡大


ビヨンド・ミートが8月5日引け後に発表した2022年第2四半期(4-6月)決算は、売上高が前年同期比1.6%減の1億4704万ドルとなり市場予想の1億4918万ドルを下回りました。

純損失が前年同期の1965万ドルから9713万ドルへと赤字が拡大し、調整後の一株当たり損失は市場予想の1.18ドルを上回る1.53ドルの赤字となりました。


2022年通期の見通しについては、売上高を従来の5億6000万-6億6200万ドルから、4億7000万-5億2200万ドルに引き下げました。

また、同社は従業員を4%削減し、年間コストを800万ドル削減すると発表しました。


決算発表を受けて株価は5日の取引で一時、前日比1.32ドル安(-4.2%)の30.07ドルまで下落しましたが、8.26ドル高(+26.3%)の39.65ドルまで上昇し、6.87ドル高(+21.9%)の38.26ドルと急反発して終了。

週間では19.6%高となり、年初来の下落率は41.3%に縮小しました。

 


業績回復期待を背景に、ショートスクイーズが株価を押し上げ


決算が市場予想を下回る結果となり、業績見通しも引き下げられましたものの、先行きの業績回復期待が高まったことや、空売り比率が浮動株の約34%と高水準に達していたことで、空売りの踏み上げ(ショートスクイーズ)を狙った個人投資家の買いが株価を押し上げました。


第2四半期の売上高は前年同期比1.6%減となりましたが、重量ベースの総販売量は14.6%増加しており、減収の要因は主として販売価格の引き下げや、値引き、ドル高の影響などでした。

同社は牛肉や豚肉などに比較して割高にある植物由来の代替肉の質の向上と価格の低下に取り組んでおり、目先の収益より価格低下や販売量の増加を目指す経営戦略は一部のアナリストが高く評価しています。


週明け8日の取引でも株価は一時、前日比6.25ドル高(+16.3%)の44.51ドルまで上昇し、1.05ドル高(+2.7%)の39.31ドルと続伸して終了。年初来の下落率は39.7%に縮小しました。




国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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