株式と投資信託のおかげで個人金融資産が最高額に

日本の家計が持つ金融資産残高が、5四半期連続で最高額を更新しています。2023年12月末時点の残高は2,141.4兆円(速報値)。9月末に比べて19.9兆円増え、前年同月比で104兆円増加しています。個人金融資産が増えている主な背景には、株式等と投資信託の値上がりが挙げられます。


家計の金融資産は、負債を差し引いた純資産も増加


日本銀行の「資金循環統計」では、3ヵ月ごとに、家計、企業、政府、海外部門の資金の流れと金融資産残高を集計し、公表しています。この統計での金融資産には、企業年金・国民年金基金等に関する年金受給権、ゴルフ場預託金、個人事業主(個人企業)の事業性資金なども含まれます。


2023年10月~12月の四半期に家計の金融資産が増えた理由は、国内株式等と投資信託の値上がり、そして普通預金への預け入れ額が多かったためです。国内株式等の残高は3兆円増え、投資信託は4.9兆円増えました。普通預金は14.4兆円増加しました。


家計の金融資産から金融負債を差し引いた「純資産」は、2023年12月末時点で1,753.8兆円。こちらも9月末に比べて18兆円の増加、前年同月末に比べると96.7兆円増えています。


金融商品に預け入れたり投資をしたりした金額から、解約や売却した金額を差し引いた「資金フロー」については、家計部門の10月~12月は11.4兆円の純流入。10~12月期は、一般に、家計からの資金流入が多くなる傾向ですが、前年同期に比べて純流入額は19.7兆円減少しました。預け入れや投資した額より、国内株式等の値上がり分4兆円と投資信託の値上がり分4.5兆円のおかげで、残高が増えた格好になっています。


2023年の年間を通した資金フローは、11.4兆円の純流入。金融商品別に見ると、普通預金と投資信託に資金が集まり、定期預金の解約と株式等の売却が目立ちました。


国内株式等と投資信託、外国証券の増加率が顕著


よく「日本の個人金融資産は、半分以上が現預金」などと言われます。【グラフ1】は、家計部門の直近の四半期ごとの金融資産の内訳の推移です。



過半数を占める現金・預金は、年ごとに微増・微減を繰り返しています。次に残高が多い保険・年金なども、ほぼ横ばいが続いています。


一方、残高増加に貢献しているのは、株式等と投資信託です。全体に占める割合が大きくないため、目立ちにくいかもしれません。そこで、各金融資産の残高増減率を見てみましょう【グラフ2】。



いかがでしょうか。一目瞭然です。特に直近の1年間は、株式等と投資信託が高い増加となっています。さらに、2023年後半に入ると外国証券も増加率が高くなっていることがわかります。


また、地味ですが債券の残高も増加しています。家計が保有する債権の大半は個人向け国債と考えられます。「個人向け国債10年」は変動金利です。金利上昇局面では半年ごとに受け取る金利が増えることから、人気を集めているのでしょう。


資金流入と値上がりでダブル貢献した投資信託


なお、投資信託の貢献は、値上がりだけではありません。【グラフ3】で、直近の四半期ごとに、家計部門における株式等と投資信託の資金フローを示しました。



株式等については、2023年は年間を通した累計で純流出になりましたが、投資信託は2020年6~9月期から14四半期連続の純流入です。投資信託は、資金の純流入と含み益のダブルで残高増加に寄与しています。ただし、2023年10月~12月期は、株式は純流出、投資信託の純流入額が縮小し、勢いが鈍化している印象です。


次の四半期は、2024年1月~3月となります。新しいNISA(少額投資非課税制度)になり、投資信託へのさらなる資金流入も期待できそうです。また、国内株式市場のみならず世界的に株式市場が最高値を更新した期間でもあります。


2023年12月末時点では、家計の金融資産の52.65%を現金・預金が占めていました。次の2024年3月末は現金・預金が50%を割るのかどうか、ちょっと楽しみになってきています。


【参考サイト】

●日本銀行>統計>資金循環

https://www.boj.or.jp/statistics/sj/index.htm 


ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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