先週はS&P500とナスダック総合が大幅に4週続伸
先週の米国市場では、ダウ平均が2.9%高と反発し、S&P500が3.3%高、ナスダック総合が3.1%高とともに4週続伸となりました。
前週末に発表された米7月雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想を大幅に上回る強い結果となったことで景気後退(リセッション)懸念が和らぐなか、7月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)などが軒並み予想を下回ったことでインフレのピークアウト期待が高まったことが、投資家心理の改善につながりました。
終盤を迎えた米企業の第2四半期決算は、先週はS&P500の23銘柄が決算を発表し、そのうち18銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りました。
決算が好感されたプリンシパル・ファイナンシャル、ウォルト・ディズニー、カーディナルヘルス、AIGなどが2桁高となり、ワンオーケー、ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ、21世紀フォックスも8-9%上昇しました。
一方、決算が嫌気されたイルミナ、タイソン・フーズがともに6%超下落しました。
ウォルト・ディズニーの4-6月期決算は、市場予想を上回る増収増益となったほか、動画ストリーミング「ディズニー+」の会員数も市場予想を上回りました。「ディズニー+」の値上げの発表も好感され、株価は週間で14.0%高と急伸し、S&P500の上昇率第6位にランクインしました。
ウォルト・ディズニーの4-6月期決算は予想を上回る増収増益
ウォルト・ディズニーが8月10日の引け後に発表した2022年第2四半期(4-6月)決算は、売上高が前年同期比26.3%増の215億400万ドルとなり、市場予想の209億5900万ドルを上回りました。コロナパンデミック前の2019年第2四半期との比較でも6.2%増加しました。
継続事業からの純利益は前年同期比53.7%増の14億900万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は1.09ドルと市場予想の0.96ドルを上回りました。
部門別売上高は、ディズニー・メディア&エンターテインメント・ディストリビューションが前年同期比11.3%増の141億1000万ドルとなり、ディズニー・パーク、エクスペリエンス&プロダクツは同70.3%増の73億9400万ドルと好調でした。
「ディズニー+」の好調持続や料金値上げも好感
ビデオ・ストリーミングの好調も評価されました。第2四半期の「ディズニー+」の有料会員数合計は1億5210万人となり、市場予想の1億4769万人を上回りました。
2021年第1四半期に1億人を突破した有料会員数は増加が続き、伸び率は足もとでも前年同期比30%台と高い伸びが続いています。
一方、動画ストリーミング大手のネットフリックスは第1四半期と第2四半期の2四半期連続で有料会員数の純減が続き、前年同期比の伸び率も5四半期以上、一桁台の伸びにとどまっています。
「ディズニー+」に、「Hulu」の4620万人とスポーツ配信の「ESPN+」の2280万人を加えた動画配信の有料会員数は2億2110万人となり、ネットフリックスの2億2067万人を初めて上回りました。
「ディズニー+」の料金引き上げも好感されました。12月8日から「ディズニー+」の月額料金を7.99ドルから10.99ドルに引き上げるとし、広告付きで月額料金が現在と同額の7.99ドルのプランも用意すると発表しました。
ウォルト・ディズニーの株価は昨年末の154.89ドルから7月14日の日中安値90.23ドルまで41.7%下落しましたが、先週まで3週続伸し、年初来の下落率は21.5%に縮小しました。
週明け15日の取引では、アクティビスト・インベスター(物言う投資家)のサード・ポイントがディズニーの株式を取得し、スポーツ配信の「ESPN」事業の分離などを求めていることが材料視され、株価は2.2%高と続伸。年初来の下落率は19.8%となりました。