5月は主要3指数がそろって反発し、史上最高値を更新
5月の米国市場では、ダウ平均が2.30%高、S&P500が4.80%高、ナスダック総合が6.88%高とそろって反発。昨年11月からの7カ月間で6カ月上昇となりました。
利下げ期待の後退などで4月に大きく下落しましたが、5月は利下げ期待が復活したことやエヌビディアなどの好決算発表銘柄が大幅に上昇し、相場をけん引しました。
上旬はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で次の一手は利上げではないだろうと発言し、先行きの利上げの可能性を否定したことが好感されたほか、好決算を発表したクアルコムが大幅高となり半導体株の上昇をけん引したことや、ハマスがイスラエルとの休戦案の受け入れを表明したことも追い風となり主要3指数はそろって堅調な推移となりました。
中旬は、注目された米4月消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びにとどまったことに加え、米4月小売売上高も前月比横ばいにとどまったことで年内の利下げ期待が高まったことが株価の支援となりました。
ダウ平均は17日に終値で史上初の4万ドル乗せを達成し、S&P500も15日に初めて5300ポイントを上回りました。
下旬は22日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が利下げに消極的なタカ派的内容だったことで利下げ期待の後退が重しとなりました。
一方、22日引け後に発表されたエヌビディアの決算は予想を上回る大幅増収増益となったほか、強い売上高見通しや1対10の株式分割も好感されました。
株価は月間で26.89%高と急伸し、上場来高値を更新しました。ナスダック総合は15日に約2カ月ぶりに史上最高値を更新すると、エヌビディアの急伸も追い風に28日までほぼ連日で最高値を更新しました。
月末31日に発表された米4月個人消費支出 (PCE) 価格指数は、変動の大きい食品、エネルギーを除くコア指数が前年比+2.8%と3月から横ばいとなり、市場予想の+2.7%を上回りました。
しかし、前月比では+0.2%と3月改定値の+0.7%から伸びが鈍化し、予想の+0.3%も下回りました。
米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注目するインフレ指標がおおむね予想通りとなり、インフレ高進懸念が和らいだことでダウ平均は31日の取引で574.84ドル高(+1.51%)と4日ぶりの大幅反発となりました。
セクター別ではエネルギーを除く10セクターが上昇
S&P500の11セクターは、エネルギーを除く10セクターが上昇しました。
月間騰落率上位は、ITが10.0%高となったほか、公益が8.5%高、コミュニケーションが6.6%高、不動産も4.9%高となりS&P500(+4.8%)をアウトパフォームしました。
一方、月間騰落率下位は、エネルギーが1.0%安と唯一下落したほか、一般消費財が0.2%高とわずかな上昇にとどまり、資本財、ヘルスケア、生活必需品も1-2%の上昇にとどまりました。
年初来ではコミュニケーションが20.4%高、ITが16.9%高、公益が14.2%となりS&P500の10.6%をアウトパフォームしました。一方、不動産が5.4%安と唯一マイナス圏となり、一般消費財が0.4%高と小幅高にとどまりました。
ダウ平均採用銘柄は25銘柄が上昇し、5銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は、5月は月間で25銘柄が上昇し、5銘柄が下落しました。
予想を上回る決算や1100億ドルの自社株買いが好感されたアップルが月間で12.9%高と急伸し、予想を上回る決算や肥満治療薬のポジティブな試験結果が好感されたアムジェンも11.6%高となりました。ウォルマートも予想を上回る決算や強い見通しが好感され10.8%高となり、上場来高値を更新しました。
一方、予想を下回る決算や弱い見通しを嫌気されたセールスフォースが12.8%安と急落したほか、ウォルト・ディズニーもエンターテインメント部門の赤字見通しなどが嫌気され6.5%安となりました。