日本株が上昇一服となる中でもREITは堅調
REIT指数は8月に入り、節目の1900pを超えてきました。8月7日の取引時間中に1900pを上回ると、2営業日後の12日には終値でも上回りました。
8月に強い動きを見せた日経平均は19日と20日は下落していますが、REIT指数は日本株の変調はどこ吹く風といった動きとなっており、19日、20日ともに上昇しています。また、この両日は終日1900pより上で推移しました。
昨年末から5割近く上昇した銘柄も
2025年8月20日のREIT指数の終値は1934.38pでした。昨年末、2024年12月30日の終値は1652.94pで、昨年末との比較では17.0%高となっています。また、右肩上がりのトレンドが続いているだけに、個別でも多くの銘柄が大きく上昇しています。
中でも動きが良いのがグローバル・ワン不動産投資法人(8958)で、同じ期間で47.5%上昇(分配金の影響は除く、これ以降の銘柄も同様)しています。チャートを見ると、今年に入って動きがガラッと変わったことが見て取れます。
同投資法人は競争力の高いオフィスビルに投資するスタンスを採っており、物件を絞り込んでいることが特徴的です。
ローカルREITも好調
東京以外のエリアに強みを持つREITも強い動きを見せています。阪急阪神リート投資法人(8977)は、同じ期間の上昇率が+39.2%、福岡リート投資法人(8968)は+28.7%となっています。
REITに対する注目度が低い状況下では、地方の物件を抱えるREITは選好されづらくなります。しかし、REITに対する注目度が高まってくると、相対的な分配金利回りの高さが魅力的に映りますし、エリア分散という点からも買われる要素が出てきます。関西圏に強みを持っている阪急阪神リートに関しては、大阪万博の開催も追い風になっていると考えられます。
ちなみに、阪急阪神リートはグローバル・ワンと同様に年明け早々から動きが良くなっている一方、福岡リートは4月辺りから上昇基調を強めています。
押しの半値戻しを達成
「REIT指数が上昇基調を強める」(2025年7月30日)の回では、2200p(2021年7月高値)から1611p(2024年12月安値)までの下げのほぼ半値戻しとなる1900pを超えられるかどうかを今後の注目ポイントとして挙げました。7月末の時点でもREIT指数は高値圏で推移していましたが、上昇ペースは鈍ることなく、あっさり半値戻しを達成しました。
長く下げトレンドが続いた後に息の長い上昇が続いているだけに、指数だけでなく個別でもおしなべて底上げが進む好循環が発生しています。
「半値戻しは全値戻し」という相場格言があります。大きく水準を切り下げてしまうと、売りが一巡しても切り返した直後は戻り売りに押されやすくなります。ただ、そういった売りをこなして上昇が続けば、買い意欲が強い(下値不安が少ない)との見方が次第に強まってきますので、ある程度の戻りを達成したところでは値が軽くなる傾向があります。そういった動きを言い表した格言です。格言にならえば、1900pは到達点ではなく通過点となる展開が期待できます。