2024年から開始された新NISAによって、投資を始めた人は少なくないと思います。
日本証券業協会は6月26日、「NISA口座の開設・利用状況」を公開しました。同資料によると、2024年1~5月における新NISAの利用状況では、証券会社10社(大手5社・ネット5社)の2024年5月末時点のNISA口座数は約1500万口座となりました。
このうち、2024年のNISA口座の新規開設件数は224万件となっています。2023年1~5月におけるNISA口座数1140万件と比較した場合、約1.3倍に増加。同期間の新規開設件数みた場合でも、2023年1~5月85万件から2.6倍に急増しています。
また、買い付け額についても、2024年1~5月の累計では、6兆6141億円と前年同期から4.2倍に拡大。内訳では、成長投資枠が5兆2241億円、つみたて投資枠が1億3899億円となっており、それぞれ2023年1月~5月累計1兆1194億円、4619億円と比べて4.7倍、3.0倍に増加しています。
5月単月でみると、証券会社10社のNISA口座開設件数は約27万件であり、買付額は成長投資枠約6035億円、つみたて投資枠が約3043億円。いずれも前年同月から大きく伸びています。
NISA買い付け額の内訳(単位 %)
日本証券業協会公開資料よりDZHFR作成
売買内訳をみると、2024年1~5月のNISA買い付け額のうち79%が成長投資枠。また、NISA買い付け額のうち44%が国内株の買い付けだったということです。1四半期前、つまり3カ月前の同調査によれば、成長投資枠による買い付けが85%、そのうち国内株の買い付けは46%となっていましたから、若干割合いが変化しています。3カ月前の調査では、新NISA開始当初に一括で投資した人の割合が大きかったので、徐々にそのバランスが変化してきているのかもしれません。
その意味では、つみたて投資枠、そして投資信託の割合が増加したというのは、いわゆる「オルカン」などのインデックス投資の割合が増えてきていると見ることもできそうですね。それでも成長投資枠を活用して投資をしている人の多くは国内株を購入しているようです。
一般にメディアで言われるような新NISAによって外国投資が増え、円安を助長しているとの指摘はある一面を表してはいるかもしれませんが、それ以上に全体で投資に向かう資金が増え、国内株にもNISAによる資金が流入している点も周知されてほしいと思います。
ちなみにNISAではどんな銘柄が多く買われているかというと、個別株のデータそのものは開示されていませんが、成長投資枠での株式買付額上位10銘柄はすべて国内株で占められていることは公表されています。
10銘柄のうち、配当利回り4%台のものが3銘柄、3%台が3銘柄、2%台が1銘柄、2%未満が3銘柄となっています。
業種別では情報通信2銘柄、機械2銘柄、銀行、サービス、卸売、食料品、輸送用機器、鉄鋼が各1銘柄となっています。3カ月前の調査では銀行が2銘柄、医薬品が2銘柄となっていましたが銀行が1銘柄になり医薬品はなくなりました。繰り返しますが銘柄は公表されていないのであくまで筆者の想像になりますが、武田薬品工業あたりがランク外となり、銀行では三井住友フィナンシャルグループあたりが外れた可能性があります。
また、同資料では、NISAによる市場への資金流入状況においては、株式の東京証券取引所における個人投資家による買い付け額および公募株式投資信託(ETF除く)の設定額は、2024年に入り、過去と比較して増加傾向にあると指摘しています。
NISAにおける買い付け額も過去と比較して増加しており、証券会社10社のNISAでの買い付け額のうち、株式については、東証での買い付け額に占める割合が2%超、公募株式投資信託については、設定額に占める割合が約20%と、過去と比較して高くなっているもようです。特に2024年になってから伸びているということで新NISAの影響の大きさを感じます。